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小ネタ箱

作者:羽田京
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一発ネタ
  神様になって世界を裏から操ります、黒幕は精霊です~箱庭の絶対者~その2

 
前書き
・続いてしまいました。
・ついつい他の作品に浮気してしまいます。充電中。
・神様視点、住人視点、歴史書視点の3つになっていますが、すべて時間軸がずれています。読みづらかったらごめんなさい。 

 
「ざんねん、君は死んでしまった」


 真っ白な空間で、突如頭の中に声が響く。
 ここは一体どこで、この声の正体は誰だ?


「おや、冷静だね。素晴らしい、君には素質がある」


 思い出せ。俺は何をしていた?
 そうだ、期末テストが終わった帰りにゲームを買いに行った。
 その帰り道、目の前で子供が車道に飛び出して、トラックに轢かれそうになるのを目撃した。
 俺は、とっさに子供を庇って……経験したことのない衝撃、身体がバラバラになる感覚。
 泣きながら俺に縋りつく子供の姿が、最期の光景だった。無事でよかったじゃねえか。


「うし、思いだした。俺、死んだんだな」
「その通りだけれど、君は本当に冷静だね。普通、死んだらショックじゃないのかい」
「過去は過去、気にしてクヨクヨするよりも、俺はいまに全力を注ぐ主義なんだ。親父の教えでな。親孝行できなかったのは申し訳ないけれど。で、だ。俺を呼んだ目的はなんだ」
「頭も回る。やはり君は逸材だ――神様転生って知ってるかい」


 てなわけで、喜び勇んで神様転生を承諾した俺は、異世界――リ=アースというらしい――の神様になりました。
 どこかの貴族の息子に転生して、大好きな内政チートをやりつつ、ハーレムを造る計画だったのに。
 神様『に』転生したのね。詐欺だ。
 どうして俺が呼ばれたのか。それは、この世界が何度も滅びかけるほど不安定だからだ。
 当然、リ=アースの神様も、何とかしようと努力したんだが、うまくいかなかった。
 そこで彼女は、賭けに出た。新しい神様を呼んだんだ。


「―――それが俺。だいたいあってる?」
「ええ、勝手に呼び出してしまって悪いと思ってるわ。けれども、お願い! 世界を救って」
「いいよ」
「えっ? 本当にいいの?」
「男に二言はない。一緒に世界とやらを救ってやろうぜ?」
「……ありがとう」


 ほろりと涙を流している目の前の幼女こそが、リ=アースの神様だ。
 軽く話を聞いたが、本当に苦労してきたのがよくわかる。
 たった一人で、世界を見守ってきたのだ。なにせこの世界は、二度も滅びかけている。
 そして、このまま放置していれば、三度目の滅びを迎えるだろう。なんて厄介な世界なんだ。
 ところで、お互い自己紹介したのだが、彼女には名前がなかった。
 呼びづらいから、名前を付けてくれと頼んだら、俺に頼まれた。


「リ=アース……"Re: Earth"の神様だから、ちょっと安直だが『レース=テッラ』なんてどうだ?」
「うーん、気に入ったわ。私はいまからレース=テッラよ。レースって呼んでちょうだい。よろしくね、ヤト」


 あ、俺の名前は、八戸矢斗といいます。神様ネームは、ヤトにしました。 
 お互いを知るために、雑談を交わす。名前を呼ぶだけでも親近感がわくものだ。
 俺とレースは、一心同体の相棒。喧嘩して世界が滅んだら洒落にならん。
 会話が盛り上がってひと段落ついたところで本題に入るとしよう。


「ではレース、今世界はどうなっているんだ」
「いまはね、アストラハン統一帝国が大陸を支配しているわ。時間が経つにつれ腐敗していってね。一部の魔法使いが帝国を牛耳っているの。魔法至上主義っていうのかしら? さらにヒューマン至上主義でもあるから、平民や他種族が弾圧されているのよ。もう、酷いもんだわ」
「ふむ、魔法を使える王侯貴族だけに、富と権力が集中しているのか」


 詳しく話を聞くと酷い酷い。魔法というのは、血筋がものをいうらしく、貴族がその血筋を独占しているのだ。
 帝国黎明期に貴重な戦力となった魔法使いが貴族になったわけだ。
 魔法を使えない平民は、貴族に搾取される他ない。いや、平民はまだいい。彼らはヒューマンだからだ。


 リ=アースには、多様な種族が暮らしている。
 もっとも数が多いヒューマン。
 獣の力をもつ獣人。
 魔法に秀でた美しいエルフ。
 鍛冶に愛されたドワーフ。
 数は少ないが強大な力をもつ魔族。
 大陸全土を支配しているアストラハン統一帝国は、ヒューマンの国だ。
 彼らは、他種族を亜人と蔑み、奴隷として酷使していた。その待遇は、俺に怒りを沸かせるに十分だった。


 よし、帝国を滅ぼそう。
 

 同じことをレースは考えたらしく、世界の均衡を保つため魔王を生み出した。
 共通の敵が存在すれば、仲間意識が芽生えると考えたからだ。
 だが、それは失敗に終わる。
 帝国が勇者を召喚し、あっさりと魔王を倒してしまったからだ。
 放っておいても腐敗した帝国はいずれ倒れるだろう。しかし、それではだめなのだ。
 身分や種族の差別は憎悪の連鎖をうむ。膨れ上がった憎悪は、世界を破壊するだろう。
 困ったレースは、俺を召喚したわけだ。


 ここでうれしい誤算が起きる。
 平民や奴隷の扱いに憤った勇者が、帝国に反旗を翻したからだ。
 こいつは使える。俺は、勇者をうまく利用して、新たな『都合のいい』文明を造ることを決意した。





「――――≪グロウ・プラント≫  ふぅ、これで今年も無事に冬を越せそうだな」
「全くです。いやはや、精霊魔法様様ですな。麦がみるみる成長していきますね」
「その代り、味がなあ」
「ははは、成長促進の代償ならば仕方ありません。飢えて死ぬよりずっとましです。それよりも、姫様の方が心配です」
「エリィは文句も言わず食べているよ。みんな飢えずに済んでうれしいって、笑顔でさ」
「姫様……立派にご成長なさって、うぅ」
「泣くなよセバスチャン」


 赤茶けた大地はかつての姿を変え、緑あふれる草原となった。
 開墾も順調に進み、広大な農地が広がる。
 この地へ来て早5年。最初は、冬越えだけで精一杯だった――いや、ノームが現れなければ、全滅していたかもしれない。
 俺は土の精霊ノームと契約して、最初の精霊使いとなった。
 精霊魔法はとても便利で、大地に栄養を与える魔法、農地を耕す魔法、植物を成長させる魔法など生活に密接していた。
 勇者時代にお世話になった魔法は使えなくなったが、それを引いても精霊魔法には大助かりだ。


「しかしタロウ様お一人に頼ってしまい申し訳が立たず」
「気にするな、といいたいところだけれど、俺一人じゃだめだよな。で、ノーム的にはどうよ?」
『そろそろ新たな精霊使いがうまれるとおもうぞ。開拓民たちは、実に善良な人々じゃな。これなら、一気に増えるじゃろ』
「そういってくれると助かるよ。彼らは、腐った帝国に嫌気がさして、こんな辺境までついてくれた仲間だ。悪人であるはずがないじゃないか」
「タロウ様、ノーム様はなんと?」
「ああ、俺にしか精霊が見えないんだっけ。ノームは、みんなが善良だからこれから精霊使いは増えていくだろうって言ってる」


 おお。なんと恐れ多いと再び感涙するセバスチャンをみて、苦笑してしまう。
 彼はもともとエリー付きの侍従長だった。
 素人の俺が解放戦争なんて大それた真似ができたのは、彼がブレーンとして影に日向に活躍してくれたからだ。
 もういい歳だというのに、まだまだ現役です、と言い放って俺たちの世話をあれこれとしてくれる。
 本当に頭が上がらない存在だ。


「た、タロウ様、大変です!」
「みんな慌ててどうした? まさか、また魔物が攻めてきたのか!」
「違います違います。ほら、この手を見てください」
「契約の指輪!? そういえば、精霊がたくさん増えている……?」


 この後は、大騒乱のあとみんなで宴会を開いて大騒ぎした。
 土の精霊ノームと契約したものが、三名。それに加えて、サラマンダーと契約したものが出た。 
 ここで精霊の容姿に触れると、ノームはいかにも頑固なおじさんの恰好をしていて、サラマンダーは筋骨隆々の青年の姿をしている。
 男ばかりで残念、と思っていたら、ウンディーネとシルフとアウラは、女性らしい。ノームに聞いた。
 これで開拓村の食料生産はぐんと上昇した。
 味を犠牲にして促成栽培していたが、余裕がでたことで、うまい飯を食えるようになった。
 

 ところで、この東方フロンティアに広がる樹海――俺たちは死の森と呼んでいる――は、強力な魔物ばかり生息している。
 正直開拓民では、敵わない。熟練の魔法使いと勇者の俺だけで対応している。


「魔物が襲撃してきたぞ!」


 この日も、魔物が攻めてきた。たしかに、ここいらの魔物は、とんでもなく強い。
 けれども、魔王すら倒した勇者の敵ではない――――はずだった。


「くそっ、回り込まれたぞ!」


 魔物の群れに真っ先に切り込んだのは、うかつだった。いつもなら、これで味方の士気があがる。
 だが、いつの間にか足の速い魔物が、迂回するように押し寄せてきたのだ。
 急いで避難所に向かうが、間に合いそうにない。最悪の事態を想像した俺が見た光景は、魔物と互角の戦いを繰り広げている精霊使いの姿だった。
 土の壁で非戦闘員を守り、炎を浴びせて焼き払う。
 元農民の彼らが、魔物と渡り合っているのだから驚きだ。
 とくに、サラマンダーと契約した元近衛騎士――エリーについてきた――は、鬼神のごとき活躍だった。
 サラマンダーは、炎を操るだけではなく、身体能力まで強化してくれるらしい。


 新たに生まれた精霊使いによって、開拓は加速していくことになる。





【精霊と魔法の相違に関する批判的論考  著チルミー・フィル・キュンメル】

 精霊魔法とは、人間が使う魔法とは全くことなる技術である。
 まず、魔法とは何か。それは、人がもつ進化の可能性である。
 人類は最初から魔法を使えたわけではない。
 事実、科学文明や神聖文明で魔法を使っていた記録はない。


 魔法使いとは、繰り返される淘汰の果てに現れた、進化した人類なのである。
 優れた血統と才能を持つ人間だけに許された奇跡こそ魔法なのだ。
 聖王エルドリッジは、その最たる例である。
 アストラハン統一帝国による世界統一という人類初めての偉業の原動力となったものは、魔法であった。
 魔法は、敵を打ち払い、傷をいやし、便利な道具を生み出した。 
 我々の魔法文明は、選ばれし人類の究極の発展形なのである。


 話を戻そう。では、なぜ精霊魔法は魔法とは異なるのか。
 それは、精霊と契約すると、人類の魔法が全く行使できなくなるからである。
 精霊は契約者の魔力を糧に、数々の精霊魔法を行使する。
 しかし、魔法の細かい制御は精霊任せであり、柔軟性に欠けるという大きな欠点をもつ。


 呪文を唱えるだけで、手軽に使える点をメリットと唱えるものもいるが、大いなる過誤である。
 何もかもを精霊に任せてしまっては、精霊のいいなりなることと同義である。
 精霊が契約者に反旗を翻す可能性とて皆無ではないのだ。
 人がもつ魔法という可能性を捨ててまで、精霊に迎合する昨今の情勢に、筆者は危機感を禁じ得ない。
 優良種たる魔法使いこそ、人類の導き手に相応しいと強く主張するものである。




【誰でもわかる精霊魔法  著アウレリア魔法大学教育出版部】

 精霊魔法とは、精霊と契約した人間だけが使える特別な魔法のことです。
 ただの魔法と異なり、精霊と協力して魔法を使うことで、誰でも簡単に魔法が使えるようになります。
 

 では、どうすれば契約できるのでしょうか。
 一般には、善行を積んだ人間の前に、精霊は現れるといいます。
 精霊側から契約をもちかけられ、承諾すると、契約の指輪を与えられます。
 この契約の指輪は譲渡可能で、先祖代々受け継いできた精霊使いもいます。
 精霊は善良な人間を好みます。たとえ、精霊使いになれても、悪行を積むと、精霊は去ってしまいます。
 ゆえに、精霊使いは信用されるのです。


 精霊魔法は、6種類の属性に分かれています。

 火のサラマンダー
 土のノーム
 水のウンディーネ
 風のシルフ
 光のアウラ
 闇のシェイド

 それぞれに特徴があり、扱える精霊魔法も全く異なっています。
 一度に契約できる精霊は一人までなので、複数の属性使いは、滅多に表れることはありません。
 次章で、個別の属性をみていきましょう。 
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