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魔法少女リリカルなのは 平凡な日常を望む転生者

作者:blueocean
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第43話 ゼストさん、スカさん家に行く

『そうかい、修行はもういいのかい?』

ここはとある管理外世界。
そこには中年だが、年を感じさせないがっちりとした体をした男と、5,6歳位の小さな女の子が一緒にいた。

「ああ、ルーテシアもそれなりに魔法を使えるようになった。だから一度そちらに戻ろうと思う」

『分かった、もてなす準備をしておこう。楽しみにしておいてくれ』

「余計なことはしなくていい」

『つれないねぇ………まあ新しい子もいるから楽しみにしておいてくれ』

そう言われてゼストは回線を切る。

「行くぞ、ルーテシア」

「うん…………………」

こうしてゼスト・グランガイツとルーテシア・アルピーノはスカリエッティのアジトに向かった…………







「これは一体どうしたんだ!?」

まず、スカリエッティのアジトに着いたゼストは驚きを隠せなかった。
昔のアジトとは違い、怪しげな機械は全て稼働しておらず、静かだった。

まるでどこかに襲撃されたような…………

「ルーテシア、注意しろ………」

「うん…………」

二人はゆっくりと歩き出す。
すると………………

「声か?」

小さいながらも声が少し先の部屋から聞こえる。
あそこには大きなホールがあったはず。

思い出しながらゼストはその部屋へと入っていった。

「おかえりなさい、騎士ゼスト」

「あっ、ダンディーなおっさんと紫幼女が来たっス」

「こらウェンディ失礼だよ、お久しぶりですゼストさん」

「セイン………?」

「そうですけど覚えていませんか?」

「いや………」

「ルーお嬢様」

「ただいまウーノ………」

(何があったんだ………)

ゼストは大いに驚いていた。
前は質素な機械の壁だったのに対し、普通の家庭みたいなリビングになっている部屋。そして戦闘機人の子達の服装。

(まるで年頃の女の子達のようだ………)

「ルーお嬢、一緒にゲームしようっス!」

「ゲーム………?」

「地球で大人気のやつっスよ」

「やってみたい………」

ウェンディに近づいていくルーテシア。

「とその前にドクターが御二人にお話があるようなのでドクターのラボに行ってもらっていいですか?」

ウーノの提案に断る理由も無いので、二人はまずスカリエッティのラボに向かった…………




「やあ、久しぶりだね騎士ゼスト、ルーお嬢様」

「ドクターお久しぶり………」

「……………………」

「どうしたんだい、騎士ゼスト?」

「一体どういうことだ!!」

いきなり大声を上げたゼストにルーテシアも驚く。

「静かにしたまえ、ルーお嬢様が驚いているじゃないか」

「叫びたくもなる!!どうしたんだ!?アジトは碌に稼働していなければ、ナンバーズはのほほんと過ごしている。一体何があった!?」

「それを今から説明しようと思ってここに呼んだのだが………」

そして、スカリエッティは今までの経緯を説明し始めた………………





「なるほど、そんなことがあったのか………」

「ああ、研究は継続しても構わないと言われているが、それならやる必要ないからね。今は残りのナンバーズの稼働を優先的にね」

「………それでいいのか?」

「復讐なんかより、娘逹の成長を見ていた方が楽しいからね」

「変わったなスカリエッティ………」

「自分でもそう思うよ」

苦笑いしながらゼストに言うスカリエッティ。

「お前がそう決めたのならそうすればいい。俺は俺のしたいようにする」

「元からそうするつもりさ。そしてルーお嬢様」

「何?ドクター…………」

「君の母親、メガーヌ・アルピーノだが、もう少しで処置が終わる」

「処置…………………?」

「貴様!!まさか………」

「違うよ、君の母親は本当はレリックが無くても目覚めるんだよ」

「えっ……………!?」

「何だと!?」

そう言ってゼストはスカリエッティの胸ぐらを掴み、持ち上げた。

「貴様!!最初からルーテシアを利用するために!!」

「否定はしないさ、始めはそのつもりだったのだからね。だけどその必要も無くなったし、何より親と子供を離すなんて今の私には耐えられない。だからもう少し待ってくれ、そうすれば君の母親は目覚める」

「そう……………」

嬉しそうにもなくルーテシアが頷く。

「おや、反応が薄いねぇ」

相変わらずゼストに持ち上げられているのにも関わらずいつもと変わらない様子で言うスカリエッティ。

「私には『心』が無い……………だから嬉しいか分からない…………でもお母さんと会えれば…………」

「そうかい…………なら戻るといいね」

「うん……………」

とルーテシアが返事したと同時にゼストはスカリエッティを降ろした。

「おや、殺さないのかい?」

「今お前を殺せばメガーヌが帰って来ないかもしれないからな」

「そうか…………感謝するよ」

「だが、俺は貴様が許せない!!」

「当然だね、恨まれることを私はやった」

(……………コイツ、本当にジェイル・スカリエッティか?)

ゼストは彼の変わりように心から驚いていた。


出会った頃はこんなにも慈悲深くなかったし、こんなに清々しくも無かった。
歪んで、人ともかけ離れ、周りからマッドサイエンティストと言われる変態だった彼が……………

「ゼスト………………」

ルーテシアに声をかけられゼストは我に返る。

「…………分かってる。お前の話を信じ、様子を見ることにする」

「それで構わないよ。もし私が裏切るような事をしたら私を殺したっていい」

真顔で言うスカリエッティにゼストは顔をしかめた。

「さて、話は終わりだ。ルーお嬢様はウェンディ達と遊んできなさい。ウーノ、ルーお嬢様をリビングに連れていってくれ」

「分かりました、ドクター。さぁ、ルーお嬢様行きましょう」

「うん…………ゼスト、行ってくる…………」

「ああ……………」

ウーノと手を繋ぎ、ルーテシアは部屋から出ていった。

「さて騎士ゼスト、一杯どうかな?」

「酒か?」

「そうだよ。トーレに貰った日本酒に私もすっかりハマってしまってね。騎士ゼストもどうだい?」

近くに置いてある冷蔵庫から氷を取り出し、2つの小さなガラスのコップに入れる。

「俺はいい」

「固いこと言わずに………ととっ」

スカリエッティはゼストの了承無しにコップに日本酒を入れ、ゼストに渡した。

(酒なんて何時振りだろうか?)

そう思い、ふと昔を思いだす。

あの時は自分がストライカーとして地上の部隊で戦っていたとき。
思い出すのは自分の部下のクイント、メガーヌ、そして上司兼親友のレジアス。

クイントが酒に酔って夫の愚痴を言い始め、それを流しながらメガーヌが俺とレジアスの仕事の話に耳をかたむけていた。
思えば俺とレジアスは酒を飲む場でも仕事の話ばかりだった。あれほど地上の未来について熱心に語っていたレジアスが何故違法なことに手を染めてしまったのか?しかも友人である俺に相談なしに…………

それはいつか確かめなければ…………

「騎士ゼスト?」

「ん?ああ、済まない。いただこう」

俺はスカリエッティがくれた酒ということもすっかり忘れて酒を飲み始めた……………








「ルーお嬢様!行ったっスよ!!」

「竜撃砲……………」

「ウェンディ、避けて!!」

「うおっ!?いつの間にブレスが目の前に!?」

「邪魔だ、ウェンディ!………コイツを喰らえ!!」

「全くあいつらは…………」

目頭を抑えて呟くトーレ。

あなた、最近時間があればお酒を飲んでばかりいますね。
現に今も飲んでいますし…………

「ウーノお姉さま、ディエチと買い物へ行ってきますわね」

「分かりました、けれどクアットロ、ディエチ、くれぐれも遅くならないで帰ってきて下さいね」

「分かってるよウーノ姉…………」

ディエチが言って二人は部屋を出ていきました。
クアットロはあの事件以来、服に気を使うようになったのですが、外のものに興味を持ったのか、定期的に近くの街に行くようになりました。ディエチを連れて…………

いつも強引に連れていくような気がしますが、ディエチも買い物嫌いでは無いので嫌がってはいないようです。

「セイン、回復薬を分けてくれ!!」

「えっ!?私無いよ!!ルーお嬢様は?」

「私もない……………」

「ちなみに私もないっス!!」

「威張るな!!」

ウェンディ、セイン、ノーヴェは暇さえあればゲームをしています。
何かやっとG級を受けられるって更に気合が入ってましたが、何の事かサッパリ。

あの3人はこれでいいのか正直分かりません。
恐らく駄目な気がしますが……………

今度、零治君に聞いてみることにしましょう。

「あら、もうこんな時間。食事の準備に取り掛かろうかしら…………」

そう呟いて、ウーノは台所に向かった………









「ただいま!」
「ただいま………」

リビングにそんな声が響く。
時刻は7時前。ウーノもとっくに食事の準備を終え、4人(セイン、ノーヴェ、ウエンディ、ルーテシア)のやっているWIIを見ていた。

4人は飽きたのか、途中からWIIで遊び始めていた。

トーレはソファーに気持ちよさそうに寝ている。

今帰ってきたのは買い物に行ってきた2人だ。荷物を持ってきていない所を見ると、2人とも先に自分の部屋に荷物を持っていったようだ。

「おかえりなさい二人共、今帰ってきて悪いのだけれどドクターとゼストさんを呼んできてもらっていいですか?」

「分かったウーノ姉」

「ディエチ、私も行きますわよ」

二人は部屋から再び出ていった。

「さて。セイン達も一回ゲームやめなさい、ご飯にするわよ」

「みんな……………ご飯」

「そうっスね」

「お腹減った〜」

「飯何かな?」

WIIを終わらせた4人がテーブルにつく。

「みんな、お皿とか準備して。それと、寝てるトーレを誰か起こして上げて」

それを聞いて3人は顔をしかめる。
まず、最初に行動を起こしたのはセインだった。

「ルーちゃん、一緒に準備しよう!」

「うん、いいよ……………」

セインはルーテシアの手を掴み、台所へ向かう。

「あっ、ずるいっス!!」

「私がルーの面倒を見る!!」

ウェンディとノーヴェがセインからルーテシアを奪い、喧嘩を始めた。
これで分かったと思うが、セイン、ノーヴェ、ウェンディはルーお嬢様と呼ばなくなった。

セインはルーちゃん、ウェンディとノーヴェはルーと。
今まででかなりフレンドリーになっている。

「誰でもいいからトーレ起こしてきなさい………」

ウーノは溜息をつきながら喧嘩している3人に言ったのだった。




結果………………………

「ふぇ〜ん…………」

「セイン、元気出して……………」

「うぅ、ルーちゃんありがとう……………」

頭に大きなタンコブを作って泣いているセインをルーテシアが慰めている。

「すまなかった…………」

「トーレ、あなた一週間禁酒ね」

「ま、まてウーノ!それだけは!!」

腕を掴み、一生懸命懇願するトーレ。

「駄目です、あなた飲みすぎなんです。少しは自重なさい」

そんな…………と絶望しているがウーノはそっぽを向いている。

「そう言えばクアットロとディエチは?」

呼びに行ってから2人は帰ってきてない。
流石に遅すぎるような…………

「ノーヴェ、ウェンディ、おかずつまんでないで食べる準備をしておいて。私はドクターを呼んでくるわ」

「分かった」

「OKっス〜」

ウーノは2人に任せてスカリエッティのラボに向かった………………





「さてと………………」

ドクターのラボの前に来てみましたが、部屋の中がものすごく静かです。
もしかして寝ているのかもしれません。けれどそれならクアットロとディエチはどこに………

そう思いながらラボにウーノが入っていった。


「うっ、酒臭い…………」

ラボの中は酒の臭いで充満していた。

「ドクター……………」

ドクターにしては珍しく酔いつぶれたようだ。
床に大の字になって寝ている。

騎士ゼストはラボにあるソファーに座って寝ていた。
取り敢えず私はドクターを騎士ゼストが寝ている反対側にあるソファーに運ぶことにしよう。

「……………ウーノか?」

「騎士ゼスト、起こしてしまいましたか?」

「いや、構わない。…………少し眠っていたようだな」

「はい」

「全く、お前のドクターときたら飽きずに娘達の自慢と愚痴をずっと聞かされたぞ」

「も、申し訳ありません…………」

「まぁ、俺も中々楽しかったから構わないが…………時にウーノ、妹達を余り甘やかしすぎるのはいけないな」

「うっ…………やはりそうなのでしょうか?」

今度真剣に零治君に相談することにしましょう。

「そうだ。食事が出来たのですが、騎士ゼストはどうしますか?」

「俺はこのまま休む。食事はいい」

「分かりました。よければお風呂はどうですか?」

「風呂?」

「湯あみですよ」

「……………そうだな、せっかくだからそうするか」

「では、案内しますよ」

私はソファーにドクターを寝かせ、騎士ゼストを風呂場へと案内した。




「そう言えばクアットロとディエチは…………」

「あの二人ならスカリエッティが酒を飲ませてダウンしたからラボにあった仮眠室に寝かせているぞ」


「く〜く〜」

「すぴー」

仮眠室には一つのベットに一緒になって寝ているクアットロとディエチがいた……………

 
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