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moon light fantasy

作者:ケンケン4
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変わるガエル

城の中心部は大きな裁判所になっている。そこにフォルツとヒカル、それにニナは大きな轟音と共に飛び込んだ。
裁判所の扉はまるで細切れの様にバラバラになって床に転がる。

「消えろよ……‼︎」
「……。」
「おっじゃましまーす!」

三者三様で裁判所に飛び込む3人。するとそこにいたのは……。

「ヒカルくん!」
「……フォルツ。」

大きな鳥かごが被告人席に置かれており、その中に囚われてしまったフローラ、アリスがまるで囚われのお姫様の様にへたり込んでしまっていた。
そして裁判所の裁判長の大きな椅子に座っていたのは……。

「静粛に!静粛に!」

……大きなカエルが裁判長の帽子をかぶってそこにいた。傍聴席に飛び込んだ俺達は一斉にカエルの傍聴人の視線が刺さる。

「うわっ、きもっ。」

ニナがそうボソッとつぶやくとカエル達はそんな俺達を一別した後にすぐに被告人席に置かれた2人を見て。

「死刑!死刑だ!」
「殺せ!殺せ!」
「絶望を与えて!殺せ!」

そんな声が傍聴席から聞こえてくる。しかしそんな声は一瞬で掻き消えた。
……ヒカルだ。
ヒカルはノーモーションからの一閃で。

「黙れよ、カエルども。」

カエルはヒカルの剣戟と剣の風圧で一瞬にして首と胴体がさよならー。した。
その風景を見て裁判長カエルは苛立った顔つきになり。

「……。全くうるさいね。『青天の霹靂』ヒカル。」

裁判長カエルはそう言うと裁判長の席からゆっくりと立つと恨めしそうに隣のフォルツを見つめる。

「貴方がフォルツ・レープリカね。知っているねこの物語に飛び込んでくるのは聞いていたけど物語を壊さないで欲しいね。」
「物語……?」
「そうね。」

裁判長カエルはそう言うと大きく手を拡げて。

「この物語は簡単なお話ね。2人の囚われ人がいたね。その2人は我がカエル裁判の正義の名の下に汚され、汚され、処刑されるという素晴らしい物語になるはずだったのにね。そのために美しい少女を2人捕らえたというのにそれをあの猫はこんな奴らを……。」
「貴様……!フローラをそんな目に合わせるつもりだったのか!」

ヒカルはそう言って裁判長カエルに飛び掛かろうとするがフォルツがそれを手で制す。
そしてフォルツは裁判長カエルを睨みながら。

「2つ聞きたい……。貴様。『七つの大罪』か?」

それを聞いて裁判長カエルはふん、と鼻息を整えると。

「そう。『調律無しの調律師』裁判長のマモンだね。」
「……。もう1つ。この絵本を創ったのは貴様か?」

それを聞くと裁判長カエルは嫌そうな顔をして。

「……この力が私の力じゃないとなぜわかったのね。」
「あいにくと知り合いにクソ見たいな魔法を使い、それを分ける奴がいたからな。
……ソーニャから貰ったな?」

それを聞いて裁判長カエルは嫌そうな顔をさらにしかめてフォルツをまじまじと見つめた。

「あの猫から貰ったのね。……おかげで私はこの世界の主として君臨し、最高のバッドエンドの世界を作れたよね。」

そう言うと裁判長カエルはすこし機嫌を良くして喋り始める。

「まあ、あの猫は最悪だけどこの力は良かったね。人々を本の中に閉じ込め少しずつ絶望を与えてバッドエンド。その時の絶望に駆られた人間の顔……!最高だったね。
……今回の獲物も極上ね?わざと2人を逃して美しい方を汚すこの快感。舌舐めずりしちゃうね。」

そう言って舌舐めずりして2人を見つめる。フローラはひっ!と自分の肩を抱き、アリスはぎゅっと唇を噛み締めた。
それを横目に見てフォルツは。

「そうか……。
ならお前を切る伏せる百万の理由にも勝る。俺の花嫁も酷い目に合わせようとした訳だしな。」

そう言ってマモンに向けて夢幻剣をゆっくりと突きつけるとマモンはニヤリとカエルの気持ち悪い笑みを浮かべて。

「ところでいいのかね?その大切な2人は……。」

するとマモンの取り出したのは何の変哲もない音叉。それをいきなりコーンと鳴らした。

「大変な目にあってしまうのにね。」

するとその音と共に大量の大きなカエルが一瞬にして現れ2人の入った鳥かごを舐め始めた。その舐めたところはジュウジュウと音を立てて少しずつ……少しずつ溶け始める。

「ヒ、ヒカルくん……!」
「フォルツ!」
「フローラ!」
「アリス!」

その状況にマモンはニヤニヤと笑いながら。

「さてさて鳥かごの鉄が全て溶けた時……どうなるかね?カエルさん達から酷い目に合うかもね〜?」
「……!」

その言葉を聞いてヒカルは黙ってフローラのいる鳥かごに群がるカエルを切り払おうとする。
しかしマモンが突如としてカエルらしからぬ俊敏な動きでヒカルの進路を妨害する。

「だめねー?あの子達が酷い目に合うまで私が貴方達の相手をしてあげるからねー?
……愛する者が目の前で汚される絶望をその身に刻むといいね。」
「悪いがフローラにそんな未来は来させない。」
「あいにくカエルは苦手でな。遠慮なく切り刻む。」

2人の王子様はそう言ってマモンという名の『7つの大罪』……もとい巨大なカエルを睨みつけた。  
 

 
後書き
題名が好評だったので第二弾!
寒いかなあ……。
なおスランプは喫茶店で文を書けば治る模様。 
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