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魔界転生(幕末編)

作者:焼肉定食
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第34話 激闘(前篇)

土方の後ろに3人が身構えた。
原田が槍を斉藤は低い体勢で。そして、近藤は構えもなく仁王立ちで。
「フフフ、4人いっぺんにかかって来てもいいんだぜぇー」
高杉はにやりと笑った。
「さぁ、始めようか?」
土方は正眼を崩さずじりじりと間合いを詰めていく。
「なぁ、土方さんよ、天理心流っていうのは速い突きが真髄って聞くが、最初からそれを出した方がいいぜ?俺ぁー、楽しみなんだからよぉ」
高杉も近藤と同じく構えもなく自然に立っている。が、まったく隙がない。
土方もそれは理解していた。
もし、不用意に突っ込んでいけば、一瞬でやられてしまうだろう。っと。
だからこそ、基本。
剣を正眼に構え、隙を見せず間合いをつめる。が、その時高杉の方が走り出してきた。が、当然刀をもっている土方の方が間合いは長い。無手の高杉に比べれば。
が、いきなりの行動に土方はひるんでしまった。
風を切り裂くような音が土方を襲う。が、土方は辛うじて下にかがみこんだ。
高杉の右足の上段けりだった。
(くらえ!!)
土方はかがみこんだ状態で左足を狙いに行った。が、高杉はそれを察知していたのか左足だけで地面を蹴り後ろへと宙返りして土方の攻撃をかわした。
「おもしろい」
高杉はまたにやりと微笑んだ。高杉の左足には一筋の傷がついていた。土方の一撃がかすっていたのだ。
今度は土方が走り出し、一気に縦に切りつけた。が、高杉はなんなくそれを横にかわし、右の回し蹴りを土方のこみかみあたりに狙いを定めて放った。
土方もまたそれをかわすと、今度は下の方から上へと左腕一本で刀を振った。が、それも高杉は交わす。
互いの間合いでの一進一退の均衡した攻防が続いた。が、その均衡を破ったのは高杉の方だった。
今までは蹴り技を中心に展開していた高杉が拳も交えてきたのだった。速い突きを手刀そして蹴りが土方を襲う。
土方はどんどん防戦一方になっていった。しかも、高杉は土方の皮一枚を狙っているかのように攻撃していた。
(くそぉー、このままでは)
悪戦苦闘している状態だったが、土方の耳の傍を風切音が通り過ぎて行った。原田が高杉目掛けて投げた槍だった。が、それも高杉はなんなくかわしていた。
(しめた!!)
交わしたといえ一瞬のすきが生れた。土方はそれを見逃さなかった。高杉の間合いから脱出できる。が、高杉の蹴りが土方の胸目掛けて伸びてくる。
(くそ、読まれていた)
土方は刀の鍔の部分でその蹴りを受け止め、後ろへ飛んだ。まともに受ければ鍔で受けて交わしたとはいえ、高杉の強烈な蹴りは胸を貫いていただろう。
土方はごろごろと後ろ伝振り返しで転がっていった。そして、数回咳き込んだ。
胸に激痛が走った。
(あばらがやられたか)
土方は激痛に耐え立ち上がった。
 
 

 
後書き
あけましておめでとおうございます。
今年も魔界転生(幕末編)をごひいきくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。 
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