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『僕と僕』

作者:零那
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『人形』



僕は人形になる技を修得した。

僕自身の気持ちを殺す。
僕の中の僕を黙らす。

そんなどうでもいい技。

でも、イタミを消してくれる優れた技。

僕は生きることに疑問を抱いた。

自殺なんかもしてみたり。
死ねなかったけど。
何回もした。

其の度に、失望した。

そんな時、必ず僕の中の僕が言う。

『死ねないのは生きてくべき何かがあるからだって知ってる?』

身に降りかかる災難や悲劇は、生きてく為の試練。
起こるべくして起こる。
運命には逆らえない。
運命は決まってる。

何かで読んだり聞いたりしてた。
其の度に理不尽だと思ったし悔しかった。

勝手に産み落とされたなら、死ぬときくらい自分で決めたい。
でも其れすら許されない。
逃れられない試練。

そんな試練に挑むべきなのか耐えるべきなのか...

どちらでもなく、ひたすら無である人形になりきると決めた。

迫り来る魔の手に、人形が壊されてしまうとも知らずに...


 
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