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炎髪灼眼の討ち手と錬鉄の魔術師

作者:BLADE
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”狩人”フリアグネ編
  十章 「魔術使い」

 さて、三日目となるとそれなりに落ち着きを見せるものなんだな。人間の適応力って本当に凄いものだよ。
 ――何が三日目かって?
 当然、シャナと俺にとっての高校生活だ。
 いや、シャナを突然放り込まれた不幸なクラスの三日目……だな。
 まぁ、俺には二度目の学生生活だけどさ。

 そう言えば、この高校に来て分かった事が二つある。
 それは、この学校の教師の大半が、ただの職業として教師を選んでいたという事と、生徒もただの惰性で高校に通っているという事だ。
 シャナの行動は、結果的に教師に職務に対する理念や情熱、といったものを確かめる事となった。
 大半の教師はその様なものを持ち合わせていなかったが、それでも少数の教師は今まで失われていた熱意を取り戻したみたいだ。
 シャナが良い刺激になったのだろう。さながら処方箋のようなもんだ。
 まぁ、処方された薬は、劇薬と言ってもいいものだったけどさ。
 けど、おれも改めて『藤ねえ』の偉大さが分かった気がする。
 何だかんだで、生徒にも慕われる良い先生だったからな、あの虎は。

 だが、どうやらこの高校の授業について一方的に教師だけを悪くも言えないようだ。
 なにせ、授業を受けている生徒にも全く熱意が感じられない。
 確かに、一般的な高校生を相手に、熱意を持て、と言うのは無理な話だとは思う。
 こういうことは社会に出てから、嫌でも後悔することだからな。
 それでも、シャナに対して四苦八苦している教師を観察して楽しむような事は許される事ではない筈だ。
 いや、それは俺にとってクラスメートの授業態度を認めたくないが故の言い訳にすぎない。
 要するに俺は『何故、自分のために学ばないのだろうか?』と言いたいだけだ。
 『衛宮士郎』の人生において、面倒ごと、と言うものが存在していないのが理由だろう。
 ―――俺は早く一人前になりたかった。
 他人を救うためには、その為の能力が必要だからだ。
 人に頼られたときには当然、俺自身の力で解決出来なければならなかった。
 人の為になるためには、人に迷惑をかけるわけにはいかないからだ。
 それが原因で、点数が優れない事態もあったんだけどな。
 特に英語………、あろう事か虎の授業だ。
 まぁ結局、聖杯戦争の辺りから他人に面倒を掛けっぱなしだけどさ。

 とにかく、そんな理由で少しでも自分の為になるであろう事態には手を抜けなかったのだ。

 ――話がズレたな。

 要は、教師だけが悪者でもないって事さ。
 この授業態度はなんとかならないですかね、シャナさん。
 四時間目の終わり頃、自分の周囲には興味の無さそうなシャナを見て少し期待してみた。



  ◇



 昼休みになったが、もうクラスメートもシャナになれたのだろう。
 用事もなく出ていく奴はいないみたいだ。
 池、佐藤、田中の三人と吉田も、俺とシャナと一緒に昼食を取るのが当たり前かのように机を寄せてくる。
 こういう環境の変化ってのは、実に嬉しいもんだよな。
 初日の俺とシャナ以外に人が居ない状態が、まるで嘘みたいだ。
 やっぱり昼飯時はこうでないといけないよな。
 同じ空間を共有して飯を食うってのは、それだけで飯が旨く感じれるもんだ。
 これって何物にも変えられない、最高の調味料だと俺は思うぞ?
 そう偉そうに言っておいて早々だが、非常に情けない事態に気付いた。
 料理が趣味の俺としては誠に遺憾だが、俺の昼飯はまた購買のパンになりそうだ。
 何故かって?
 また買うのを忘れたからだよ。
 生憎、朝からコンビニに寄って昼飯を買う習慣なんか、今まで経験したことなかったんだ。
 坂井悠二には悪いけどな。
「衛宮、くん。今日も………お弁当、忘れたんですか?」
「あぁ、そうなる……。という事で悪い、皆は先に食べといてくれ」
「早く買ってこいよ。待っといてやるからさ」
 池にそう言われて、俺は購買に走った。

 ちなみに、机を寄せた段階で弁当がない事を思い出す俺を見ていた、吉田。ものっ凄く気の毒そうな顔をしていたんだが、何故だ?

 無事に食料を確保し、購買から俺が戻った俺が所で、弁当の蓋を開けつつ、池がとんでもない事を切り出した。
「ところで平井さん」
「なに?」
 無愛想な声でシャナ。
 いつもより一層増して無愛想である。対人関係を友好的なものにしよう、という心配りも一切ないところが実に彼女らしい。
 アラストールと話をしづらいとの事で、シャナは他人と同席したくないとの事だ。
 だが、そんなことは俺の知ったことじゃない。
 他人と触れあう良い機会だし、無理矢理同席をさせる事にした。
 俺が消えちまうまでに、せめて一般社会を生きる処世術くらいは覚えて欲しいし。じゃないと、消えるに消えれねぇよ、俺も。
 けど文字通り、一緒に食べているだけってのは味気がないよな。
 ちなみにだが、今日も食べているのはメロンパン。
 本当に好きなんだな、メロンパン。

 そんなシャナにも慣れたらしい池は、俺を箸で指す。
「いったいコイツのどこが気に入ったんだい?」
 ―――どこをどう考えたら、そんな結論に至るんですかねぇ。
 いきなり何を言い出すんだか、コイツは。首をやっちまった時に、頭のネジでも飛んだのか? いや、本人の知らないところでケガさせちまったんだし、罵倒するのはバチ当たりかもしれないが。
「なんでさ? それより池、行儀が悪いぞ」
「あ~、悪い悪い。けど衛宮、俺は平井さんに訊いてるんだ。ちょっと黙っててくれないか?」
 俺には用はないってか。全く、何が知りたいんだ?
 佐藤も田中も興味津々だし。
 けど、無駄だと思うぜ? だって相手はシャナなんだ。
 案の定、当のシャナは顔色一つ変えずに逆に訊き返す。
「気に入った? なんの事よ」
「だって、昨日も放課後にずっとデートしてたろ」
「………でーと?」
 何を聞くかと思っていたけど、そんな質問をされるなんて思ってなかったよ。というか、俺とシャナが昨日一緒に居たって、なんでお前が知ってるんだ。
 だが残念だったな池。シャナはデートが何なのか、全く知らないみたいだぞ。
 それもそれで問題ありだけどさ。シャナがホイホイと悪い人に着いていかないか、お兄さんは心配だぜ。
「もしかして……、尾行けたのか?」
 ジトッと池を睨み付ける。
 まぁ、気付かなかった俺も悪い。面倒ごとに巻き込みかねなかったんだ、今後はもう少し周囲に気をつけとかないとな。
 それにしても、殺気くらいは感じ取れるようになったんだが、一般学生の視線を感じ取れてないようじゃ、まだまだ修行が足りないな。
 だが、ジトッと池を見ていると、別の所から返事が返ってきた。
「ご、ご、ごめんなさい………。私が、二人がどこに行ったのかな、って。その、池君に、訊いたから……」
 『元の平井ゆかり』は吉田と仲が良かったのか?
 昨日の感じからして、確実にクラスメートよりは深い仲だよな。
 一応、坂井悠二の記憶とも照合してみるが、『彼の記憶』からも彼女の記憶は薄れつつあるようで詳細は分からない。
 だが、恐らく仲は良かったと思われる。
 何か悩み事でもあったのか? 
 なんだか深刻そうだけど、『今の平井ゆかり』はアレだしな。
 チラりとシャナを見る。
 駄目だ、とてもじゃないが一般人は相談なんて出来そうにない。
 流石に、いきなり大太刀を振り回す事はないだろうけど、視線だけで人を殺せそうだもん、コイツ、
 親しい女子同士でしか話せない相談事だったんだろうけど、残念ながら他の人を探した方が良いと俺は思うぜ、吉田。
「まぁ、追いかけたのは後になってからだよ。最初からつけようとしてた訳じゃない。御崎大橋でちょうど追い付いたんだけど、面白そうだから観察してたんだ」
 観察……、ねぇ。
「お前らがどこかに寄ったら声をかけようと思ってたのに、延々と歩いてただけだったろ? その内、吉田さんが疲れたから、皆でジュース飲んで先に帰った、それだけさ」
「折角のデートだってのに。もっと他に楽しみようはなかったのか?」
「この甲斐性なしめ。全然見ごたえが無かったぞ。もっとサービスしろ」
 池の説明を頼んでもないのに佐藤と田中が補足する。
 結構、過激なことを言ってるけど、なんならお前らがやってみるか? 俺はいつでも代わってやるぜ?
「お前ら……」
 しかし、昨日はトーチの灯を見る事ばかりに集中していたからな。
 結構、追跡組の人数が多かったみたいだけど、完全に気が付かなかった。
 敵と遭遇しなくてホントに良かったぜ。なに、やってんだよ俺。
 色んな意味で、あちゃ~、と頭を抱える俺とは逆に、そもそも何が話題になっているか理解していない(ようにしか見えない)シャナが、涼しい顔で吉田に訊く。
「なにか、私に用でもあったの?」
「う、ううん。そうじゃ、なくて……」
 そんなシャナの問いに、複雑な表情になり顔を伏せる吉田。
「じゃあ、コレに用が?」
 無論、コレとは俺の事である。
 だからコレってなんだよ、コレって! いい加減、モノ扱いするなってんだ。
 シャナがそう言うと吉田の顔が紅くなった。
 紅くなったっていっても、今朝のシャナのように怒り狂ったからでも、俺が想像した色っぽいシャナの様でもない。
 また、体調を崩したのか?
 吉田は体もそんなに丈夫じゃないらしいし………。
「もしかして、熱っぽいんじゃないか吉田? 昨日の今日だし、まだ体調が悪いんじゃ――」
 顔を伏せた吉田の顔を覗きこむ。
「だ、大丈…夫。衛、宮くん。その、顔が……近い」
 すると、俺の顔を見るなりさらに顔を紅くした。
 どっちかって言うと、風呂でのぼせたとか、オーバーヒートしてるとか、そんな感じみたいだな。
 シャナの奴、もしかしたらアラストールと話が出来ない腹いせに、吉田に熱気か何かを飛ばしてたんじゃないか?
 フレイムヘイズ的な感じで。
 全く、この炎っ娘め。
 とにかく、最後の方はよく聞こえなかったけど、本人が大丈夫って言ってるしな。

「なら良いけどさ。具合が悪くなったら、すぐに誰かに言えよ。何かがあってからじゃ手遅れだし」
「………うん」
 小さく頷く吉田の顔を最後にもう一度確認し、俺は吉田から離れる。
 そんな俺と吉田をニヤニヤと面白そうに佐藤と田中が見ていた。
 何が面白いんだか、全く。
 そして数瞬の沈黙が流れる。
「で、結局コイツに用なの?」
 沈黙を破ったシャナは、吉田に再び質問した。
「え…? あ――」
 伏せたままでも紅い顔と分かる様子の吉田は、絞り出すように言葉を紡いだ。
「あの、衛宮……くん。昨日、その………格好良かった、です」
 そう言って、吉田は息を継ぐ。
 ちょっと苦しそうだぜ、吉田。呼吸をするの忘れてなかったか?
 やっぱり体調崩してるんじゃないか? とは言えさっきの手前、もうなにも言えないし。
「まぁ、実際に行動したのはシャ――平井さんだ。俺は何もしてないぞ?」
 シャナと言いかけて、言い直す。
 危ない危ない、名前を間違えるところだった。
 学校でのシャナは『平井ゆかり』だったな。
「そんな事ありません!」
 そう言う俺に、折角苦労して継いだであろう息を、全て吐き出すように吉田は言う。
 その声は『叫ぶ』とまでは言えないものだった。それでも、普段の吉田が滅多に出す様な声量ではないらしく、教室にいる生徒が驚いて彼女の方に振り向く。
「格好良かったです、とっても!」
 周囲の生徒の注目の中、吉田は続ける。
「私を助けてくれたり、先生にきちんと物を言ったり、凄く格好良かったです。本当です!」
 そう言ってくれるのは嬉しいけど、また倒れちまいそうで危なっかしいよ。
 それに、ここまで気迫のこもったお礼を言われた事なんてそうそう無い。なんとも返事に困るな。
「あ~、その、ありがとう……で、良いのか? とりあえず落ち着けよ、吉田」
 俺がそう言うと吉田はまた黙りこんでしまった。

 …………………。
 ……………。
 ………どうすれば良かったんだ。

 再び教室は静まり返ってしまっとぜ、おい。
 俺か?
 俺が悪いのか!?

 だが、俺としても他に何て言えば良いか分からなかったんだ。
 許してくれよ。
 すると、今までこの空気をよそにメロンパンを食べていたシャナから不意に声がかかった。
 あいにく、救いの手ではなかったけどな。
「もう食べ終わった?」
「え? なんだって?」
 俺が聞き返すよりも先にシャナは席を立って言う。
「行くわよ」
 鞄とお菓子をたんまりと詰めまくっていた袋を手に取ったシャナは、思いっきり俺の手を引いてくる。
 何故か不機嫌な顔で。
「ほら、なにグズグズしてんの」
「ちょっと待てよシャナ。いきなり何だ?」
「うるさい、黙って来なさい」
「何処にだよ!?」
「いいから! 来なさい!」
「なんでさ!?」
 何を言っても無駄だなこりゃ。
 シャナに引っ張れながらも机から鞄を取る。
 仕方がない、午前中に使った教科書は置いていくしかないな。
「悪い、吉田。また今度、話を―――うわッ!?」
 一応、俺が鞄を取るのを待っていたらしいシャナは、俺が鞄を持ったのを確認すると引っ張る力を強めてきた。
 引っ張り過ぎだぜ、おい。腕がちぎれちまうよ!!
 吉田に詫びる間もなく、シャナに振り回されるようにしながら俺は教室を後にした。



  ◇



 教室を出た勢いのまま、俺達は廊下を何故か走っている。
 流石に手は放してくれたが、シャナに引っ張られているように行動している事は変わらない。
 逃げたら何をされるか、火を見るよりも明らかだしな。
「で、俺が何かしたか? なんか凄く不機嫌みたいだけどさ」
 ついつい、声に不満が混ざってしまう。
 当たり前だろう?
 会話こそ途切れてしまったが、皆で食事をしていたんだから。食事中に席を立つなんて、あまり行儀が良いとは言えないしな。
「うるさいうるさいうるさい。別に何でもないわよ」
「俺には、そうは思えないんだけどな」
 すると、突然シャナの蹴りが飛んできた。
 急ブレーキをかけてそれを回避。 シャナの奴め、ちゃっかり俺の未来位置に狙いやがって。あのまま走っていたら当たってたじゃないか。
「危ないだろシャナ! 今の直撃コースだっただろ!」
 まぁ、当たらなかったから良しとしとくけどさ。
 ――それよりだ。
 ミニスカートで蹴りは良くないぞシャナ。主に俺の精神衛生的に。
 チラッとナニかが見えたような気がしたが、気にするな俺。
「何でもないって言ってるでしょ! これから一戦やらかすかもしれないんだから、余計な事は考えなくて良いの!」
 一戦やらかすかもしれない……か。
 つまり今朝、シャナが言おうとしていた計画とやらを実行するという事だろう。
「いよいよってことか。それじゃ、学校を出たら朝の話の続きを聞かせてくれー。何も知らないんじゃ、協力のしようもないからな」
 学校で聞こうとしたんだが、ちょうど良いタイミングがなかったからな。計画について俺は何も知らない。
 すると、シャナが不敵に笑う。
「分かったわ。私も今朝の事で聞きたい事があるから」
 その後は特に会話をする事もなく、俺たちはそそくさと校舎から走り出た。



  ◇



 学校から出た俺達は、御崎市西側に位置する御崎高校から反対側の東側、すなわち市街地に向かいながら歩いていた。
 東側市街地は、敵の潜伏していると思われる場所の在処がある可能性が、俺の見立てでも最も高い。
 なにせ、こっちに来た初日、この街の構造上、どう布陣するかはある程度、想定しやすいことは確認しているからな。
 なんの因果か、この御崎市の構造は、かつて俺が生まれ育った冬木市とよく似ている
 街を中央で二分する大型河川、真南川に対して未遠川。
 川で真っ二つに分けた東側は、御崎市の都市機能が集中した市街地であり、同様に冬木市では都市機能の発達した新都がある。
 極めつけに御崎市は西側に住宅街が広がるが、冬木市では同様に深山町がある。
 ここまで似通っていると、逆に不気味に思う位だ。
 この御崎市と冬木市とで共通している街の構造は、戦闘を行う際に非常に防戦に向いた作りになっている。
 何故ならば、移動の際には必ず橋を通る必要があるからだ。
 市を縦断している河川の配置上、仕方のないことなのだが、こいつが非常に厄介になる。
 橋ってのは必ず入り口と出口が各一ヶ所ずつしかない。つまり否応なく一本道だ。その上、遮蔽物のない開けた空間で、戦闘の際には絶対に正面からのぶつかり合いになる。
 となると、鍵になるのは物量だ。とどのつまり消耗戦、こいつは誰もが避けたい、最悪の内容だ。
 じゃあ、どうすれば良いか。
 敵よりも先に橋を押さえてしまえば良い。
 橋を押さえてしまえば敵の行動は監視しやすい上、敵の行動の妨害や、部隊の分断がしたければ橋を落としてしまえば良いからな。
 となると、拠点が必要になる。橋を警戒し、必要ならば敵を排除する為の重要な拠点だ。
 拠点の敷設場所は、なるべく高くて橋に近い場所が望ましい。橋自体に設置出来れば、高い場所である必要もないから条件が最も易しくなる。だが、橋ごと落とされる危険性が高く、最善策とは言えない。
 そうなると、自然に条件が該当するのは東側に集中する。
 西側には高層建造物が少ないからな。候補の的を絞られやすい。
 よっぽどの事情のない限り、橋の警戒のしやすい場所が豊富な東側が陣地としてベストだ。
 まして今回はただの戦闘ではなく、敵は大掛かりな計画の進行中と思われる。
 アラストールの話だと都喰らいには、聖杯の降霊の様な霊脈等の場所選択の制約はない。
 静かな西側で派手なことをすれば、すぐに分かる。
 灯台もと暗し……という可能性もあるが、短期決戦であることはフリアグネも重々承知の筈だ。
 ならば都市機能が充実している上に、少々、派手なことをしても気付かれにくい東側に陣取るのが定石だろう。
 シャナも多分、そう考えたから市街地に向かっているはずだ。
「先に私から質問させて貰うわよ」
 学校を出て十分程した所で、シャナから切り出してきた。
「了解。けど、何かシャナの気になるような事したか、俺?」
 まぁ、今朝の件についてだから、確実に何を訊かれるか分かってはいるんだが。
「――お前が今朝、贄殿遮那を防いだ剣と、お前自信の戦闘経験についてよ」
 やっぱり、そうくるよな。
 さて、どう言えば良いんだか………。
「と、言うと?」
 無難に質問を質問で返す。
 正直に言うとだ、投影については、まだシャナには言いたくない。
 フリアグネを倒した後に彼女と敵対する可能性は否定出来ないからだ。
 俺達が望もうが望まないがな。
「あの時、弾き飛ばした白い方の剣を私が回収しといたのは知ってるわよね?」
 確かに、あの『とてもハイレベルかつ、しょうもない戦い』の後、気が付いたときには夫婦剣は二刀纏めて、俺の隣に置いてあったからな。
 誰がどう考えても、シャナが回収してくれたとしか考えられない。
「あぁ、あの時はお礼を言えなかったけどな」
 ありがとう、と言おうとしてシャナが続けてくる。
「普通の剣だったら破壊されてた筈よ。なのに、あの剣は贄殿遮那を完璧に受け止めてた。それに、剣だけじゃない。あの後、お前は私の攻撃を防ぎきった。それどころか、ホントは私がやられてた筈。お前……一体なんなの?」
 応戦した武器が干将と莫耶で良かった。普通の剣なら死んでたぜ、俺。
 シャナと戦う事なんてない、そう思いたい。
 そう信じたいが、万が一の為に用心はするに越したことがない。
「あの剣は………中々の物だったろ? 用意するのに苦労したんだ」
 ある意味で嘘は言っていない、本当に用意するのに苦労した。
 なにせ五分近く掛けて投影したからな。
「戦闘の経験もある。まぁ、人様に誇れるような実力じゃないけどな」
 これも嘘じゃない。
 俺には才能がないからな。
 いつも、死と隣り合わせの綱渡りの様な戦い方だし。
「まぁ、確かに良い剣だったわ。戦い方も、守りに長けていてかなりの時間を持ちこたえれそうだったし。それに、流れに乗せての搦め手って普通はなかなか出来ないものよ」
 流石はシャナだな。
 俺の戦い方の特徴をもう掴んでいるか。
 ただやられっぱなしじゃなくて、常に反撃の隙を伺っていたのもバレバレか。
「無傷では居られない戦い方だけどな」
「まぁ、肉を斬らせてって奴みたいだし、私は苦手なタイプだわ。剣については、まだ隠してる事があるみたいだけど、今のところは訊かないでおいてあげる」
 確かに搦め手は苦手そうだ。だけど、いかに策を労しようと力業で捩じ伏せそうでもあるな、シャナは。
「そうしてくれると助かる。また今度、ちゃんと話すよ」
 今度……か。自分で言っておいてなんだけど、機会が有れば良いけどな。
 フリアグネを倒した後で、俺が消える前……微妙なラインだ。
「当然、今もあの剣を持ってるわよね?」
 さて、どう返すか。
 持ってるって言えば持ってるし、持ってないとも言える。
 夫婦剣の運搬手段を考えてなかったから、実は手元にない。
 投影で用意するつもりだったけど、ソイツの説明は出来ない。
 これも、なんとか誤魔化すしかないな。
「あぁ、自分の身くらい自分で守るつもりだ」
 なら良いわ、と言ってシャナは俺に向けていた視線を外す。
「私が聞きたかったのはそれだけよ。それで、お前は何を訊きたい訳?」
 思いの外あっさりと質問を終えるシャナ。
 妙に聞き分けが良くて気持ちが不気味である。
 まぁ、俺としては話しやすくて良いんだけどさ。
「それじゃあ遠慮なくさせてもらうぞ。確か、トーチは分解されると存在の力に戻るんだったよな?」
「何度も言ってるでしょ」
 今さら何よ、といった具合に返される。
「なら、損傷したトーチは存在の力を補充すれば修復出来るのか?」
 鋭いわね、とシャナ。
「出来るわ。封絶の後、損傷した世界の修復に存在の力を使うの」
「なるほどな。それはミステスにも適用するのか?」
 言うまでもなく、このミステスというのは俺の事だ。
 自分の身体の在り方を完全に把握しておきたかったからな。
「ええ。ミステスは宝具が入ってるっていうだけで、トーチと大差はないの」
 つまり、いくら負傷しようが治せるって事だ。
 まぁ、今の俺が安全に運用出来るもう一つの宝具を使えば、あるいは修復に存在の力が必要ないと思うが。
 けど、あの加護がこの体にも適用されるかは分からない。
 まぁ、性能の低下もあって不死に近い蘇生能力もないんだ。アレを過信は出来ないな。
 だが、外から治せるんなら話は別だ。
「サンキュ。という事は、いざとなれば俺を盾に出来るって事だな」
「………お前、それはどういう意味なの?」
 意味が分からない、という風にシャナは視線を向けてくる。
 シャナにしては察しが悪い。真っ先に言いそうな事なんだけどな。
「言葉通りの意味だ。どうせ俺は消える身だ。それに消える前に傷付いたって直せるんだろ?」
「えっ………?」
 えっ、じゃないだろ、大丈夫かシャナ。
 なんでシャナもともかく、他の皆もそうなんだ。皆が気乗りしなかったり、嫌だと思うことを進んでやってやる、って言ってるだけなんだけどな。
 別に俺は嫌だと思えないし、思った事もないから、適役だと自分で分かった上で言っているだけなんだが。
「どうせ治せるんだし、俺が敵に組み付きでもして、俺ごとぶった斬ればシャナも楽だろ? シャナは楽だし、敵も倒せる。周りに被害はない、万事キレイにカタがつくじゃないか」
 この類いの話をすると、悲しいかな、初回は何故か必ず相手と口論になってしまうのだ。
 なんでだろうね。訳が分からないよ。
「シャナだって言ってただろ? 俺は物なんだって。道具は利用してこそ意味があるじゃないか」
 シャナは一瞬、何故か怪訝な顔する。だが、すぐにいつもの顔に戻った。
「頑なに否定してたお前が言う台詞? 本当に変な奴ね……。まぁ、良いわよ。どうせお前は、ただのミステスなんだから」
「そういう事。それじゃ俺の話もそれだけだ。ここからは朝の話の続きをしよう」
 忘れてはいけないが、今は戦闘の前だ。
 そろそろ作戦会議の続きをしないとな。
「………分かったわ。それじゃ、朝の続きだけど。現状、連中は都喰らいを企んでいようがいなかろうが、大量のトーチが必要な訳でしょ?」
「そんなこと……俺に訊くまでもないんじゃないか?」
 俺よりもシャナの方が詳しいんだし、と返す。
「お前がちゃんと把握しているか確認したのよ! とにかく、目的はハッキリしてないけど、何を準備しているのかは分かってるって事」
 ウーッと唸るシャナ。
「そいつは、ご丁寧にどうも」
 やんわりと受け流す、手慣れたもんだな俺も。
 フンッと鼻をならしてシャナは続けた。
「奴等の計画にはトーチが必要………。なら、増えた分を減らしてやれば邪魔が出来るでしょ?」
「減らすって………、そんなに簡単に出来るのか?」
 そもそも、そんなに簡単に邪魔が出来れば、計画として破綻しているとしか思えない。
 邪魔されれば困る計画なのに、簡単に妨害出来るんなら、立案段階でその計画は失敗していると言っていい。
「簡単よ、お前がさっき質問してきた内容―――、それがそのまま答えになるわ」
 簡単って言い切ったぜ、おい。意外に抜けてるのか、フリアグネの奴。
 だけど、さっきの質問内容?
 俺がしたのは、破損したトーチに存在の力を補充する事で修復出来るか、って話だ。
 トーチは存在の力を緩やかに消費して、最後には人知れず消えていく。
 要するに、いきなり熱湯でなく、水から加熱するが如く、気付かないうちにって奴だ。
 昔のバラエティー番組の如く、いきなり熱湯に突き落とすのが都喰らいだ。
 そいつに俺の質問内容、トーチは治せるか……か。
 消えかけているトーチに存在の力を補充するってことか?
 そもそも熱湯にしなければ良いってことで、沸騰しかかった湯に水を足す様に。
 いや、それだと何もしなくても少しずつ消えていく筈のトーチが、消えずに残ってしまうな。
 現状で、これ以上トーチが増えないとしても、消えていく筈の彼らを残してしまったら、結果的には数が増える事になる。
 それじゃ本末転倒だ。フリアグネはトーチを増やしたいんだからな。
 という事は……だ。
「トーチを人間に戻す方法があるのか?」
 正直、俺にはこれしか考え付かないんだが。
 だが、俺がそう言うと、シャナは大きくため息をついた。
「そんな方法がある訳ないでしょ。逆よ逆」
「逆って言われてもなぁ………。ん? 待てよシャナ、まさか――!?」
 修復の逆という事は、つまり。
「そうよ。修復の逆――トーチを元の存在の力に戻してやるの」
「―――――なっ!?」
 それはすなわち、本来は自然に消えていく存在のトーチを意図的に消すという事だ。
 さっきの熱湯理論に置き換えると、水を沸騰させない為に、敢えて火力を上げて、一気に蒸発させてしまうというだ。
「そんな事をしたら、連中が本当に都喰らいを企んでるんだとすれば、計画に拍車がかかるじゃないか」
「いいえ、かかる事はないわ。確かに世界には歪みが生まれる。けど、都喰らいみたいに、街を一つ巻き込むような大きな揺らぎは生まれない」
「………」
 なんと返せば良いのか、即座に思い付かない。
「なるほどな、妙案だが確かに効果的だ」
 迷っていると、シャナの計画を聞いたアラストールが称賛の声を上げた。
 アラストールが、ああ言うからには、確かに効果的な作戦なんだろう。
 なんせ、この道のプロだろうからな。
 だが、俺はその計画に賛同が出来ない。最良ではあっても、最善だと思えないんだ。
「シャナ、アラストール、残念だけど俺はその計画に協力出来ない」
「どういう事よ」
 俺の返事を聞いてシャナは、少し声を低くして訊いてきた。
「確かに効果的な作戦なんだろう。アラストールの太鼓判もあるしな。だからといって、トーチを消して良いって訳じゃないだろ? それじゃ、俺達もフリアグネと一緒になるじゃないか」

 都喰らいの為にトーチを作り、そして大量に消し去ろうとしているフリアグネ。
 一方、その計画を妨害する為にトーチを消そうとしている俺達。
 一体どこが違うと言うのだろうか?
「一緒じゃないわ。それに放って置いたら、もっと多くの人間が……いえ、この街そのものが消えるかもしれないのよ? お前も言ったじゃない、道具は利用してこそ意味があるって。トーチは人間じゃない、ただの物よ。どうせ時間が経てば消える存在だし、少し早く消えるだけでこの街が助かるんなら―――」
「少々の犠牲はやむを得ない―――か」
 シャナが言い終える前に、言い放つ。
 全ての人間を救おうとしていては、結局、誰も救えない。
 なら、少しでも多くの人間を救うために切り捨てる選択も必要だ。
 ましてや、トーチは人間じゃない。
 そんな事ぐらい俺にだって分かってるさ。
 けど、簡単に諦めてしまっては駄目なんだ。
 諦めては……何もしなければ、結果が変わる訳がない。
 決して諦めず、最後まで可能性を模索する為に足掻かなければ、見えてこない方法もある。
 例え、どんなに陳腐な方法でも……な。
「それでもだシャナ。俺は全てを救う努力を諦めたくない。トーチになってしまった人達にだって、消えるその瞬間までは人間として生きる権利がある筈だ。勿論、シャナの言い分も正しいって分かってる。だから邪魔はしない、けど協力する事も出来ない」
「権利ですって? 笑わせないで。そんなのただの偽善よ。お前は全てを救う事が出来ない事を認めたくないだけ。いいえ、内心では自分でも無理だって分かってる。だから邪魔をする気はないんでしょ? 遅かれ早かれお前だってこの選択をするに決まってるんだから」
「そうだな、無理だって分かってる。けど、それは諦める理由にはならないだろ」
 バカな事を言ってるのかも知れないが、これが俺の決めた生き方なんだ。簡単に曲げる訳にはいかない。
「その考えが多くの犠牲を生み出すかもしれないって事は分からないの?」
「それも分かってる。だけど、可能性が万に一つてもあるのなら最後まで諦めたくないんだ。現実から眼を背けるつもりなんてない。もしもの時には、より多くの人を救える選択を取る。一人でも多く助けないと意味がないからな。その結果、恨まれたり、憎まれたりする事があったとしても、それは俺の責任だ。その罪は甘んじて受けるさ」
「その結果、お前が死ぬとしても?」
 実際、本当は死刑になってる筈だからな。何の因果かまだ生き延びてるけどさ。
「あぁ。けど、俺が死んだ程度で罪が償えるとは思えないけどな、死ねと言われれば死ぬかもな。ただし、俺がやる事、やらなければならない事をやってからだけど」
 ……………。
 沈黙が流れる。
 何にせよ、俺が言いたい事は全て言った。
 どうせ、すぐに消えてしまう男の戯れ言と言われれば否定は出来ないが。
 事実、そうだし。
「それじゃ、話は終わりね」
「そうだな、理解出来ないってよく言われるよ―――って」
 ――――はい!?
 なんと言いましたか、この方は?
 シャナの事だから、絶対に噛みついてくると思ってたんだけど……。
「悪い、もう一度頼む」
「話は終わり、って言ったの。計画に変更はないわ。お前も私の邪魔はしないんでしょ?」
 無表情でシャナ。
 シャナへの印象を改める必要があるな。思った以上に寛大な心の持ち主だったらしい。
 邪魔はしないとはいえ、好き勝手に物を言ったんだ。
 このまま無事で済む訳はないって覚悟していたんだが。
 それとも、単に俺に興味が無いだけか?
 事実、遠坂には幾度となく噛みつかれている。

『貴様は歪んでいるっ! そうしたのは戦争だ、聖杯戦争という戦いだっ! だから私は君を正す。世界などどうでも良い……、己の意思で!』
 って具合に。倒されるんじゃなくて、正されるだけで助かったが。
 結局、正されてないんだけどな!

「まぁ、そうなるんだけどさ。出来れば少し待ってくれないか?」
「この期に及んで何がしたい訳?」
 ジロリと睨んでくるシャナ。地雷を踏んだか! やっちまったぜ。
 前言撤回だ。それほど寛大じゃない。機嫌は悪いみたいだな。
「少しの間、一人でいるよ。俺が囮になってフリアグネを誘い出してみる」
「そんなの意味が無いと思うんだけど」
 どう見ても、見え透いた罠じゃない、と指摘される。
「俺もそう思う。けど、これ以外にフリアグネを誘い出す案が思い浮かばなかった。これで駄目なら、手遅れにならない内にトーチを消し始めてくれ」
 正直、これが最後の手段だ。
 これが失敗に終われば、もう手はない。
 フリアグネの居場所が分からない俺達は、向こうからのアクション待ちだからな。
 向こうは手下を使ってトーチを増産出来る以上、このまま膠着状態が続く訳もない。
「………。それじゃ、そうさせて貰うわ。今日は別行動で良いわね。お前はしばらくの間、囮をやりなさい。私は状況を見てトーチを消し始める。それで良いでしょ?」
 機嫌は悪いが話が分かるな、今日のシャナは。
 これはシャナに出来る最大の譲歩だ。無茶を承知で決行を遅らせてくれているんだから。
「何かが有れば、すぐにそっちに行くから。私が来るまで、すぐに消されるんじゃないわよ」
「分かった。チャンスをくれてありがとう」
 なんとか活かせれば良いんだが………。
「確実に無駄に終わると思うけど、精々がんばりなさい」
 かなりキツい言い方ではあるが、シャナなりに応援してくれている……のだと思いたい。
 聞いたままの意味で捉えてたら、結構ツラいからな。
「それじゃ、ここで別れよう。早速、囮になってくる」
「勝手にしなさい」
 そう言って、シャナはそっぽを向いてしまったので、行ってくる、と言って俺はシャナと別れた。



  ◇



「本当に嫌な奴。何が、諦めたくない、よ」
 少年と別れた少女は、自分を顕現させたる神器に話しかけてきた。
 その声はとてもではないが、機嫌が良いとは言えない。
「確かに、異様な輩だな」
 それに答える自分の声は何故か、何かを問う様な声だ。
 紅世からこの世に来てそれなりの月日が経つが、あのような少年には自分も出会った事がない
 自分から見ても、あのミステス衛宮士郎は異常だ。
 恐ろしいまでの自己犠牲。
 いや、自己犠牲という言葉が正しいとも思えない。
 ミステス……、いや普通の人間があんな提案を出せるものなのか?
 生物は本能的に自己の生命を優先するものだ。直せる、どうせ作り物だと自分の身体を軽んじる事が、ミステスだからと出来るものか。
 彼奴のあの思考はもっと本質的ものなのではないのだろうか。
 何故、そこまで他者を救おうとする?
 その果てに自分が死んでも構わないとまで言った。

 自分を捨てる事が出来るほどの自己犠牲、理想的なフレイムヘイズの在り方だ。
 あの少年は、ある意味で似た生き方をしていると言っていい。
 しかし、それは正常な人間が思い描くであろう生き方ではない。
 まして、あの少年はまだ若い。
 ――――分からぬ。
 そもそも、あの在り様は自己犠牲なのか?
 もしかすると、自分は本質的に何かを取り違えているのだろうか。
 何にせよ、事情が分からなければ何もかもが閉ざされたままだ。
 何があの少年をそうさせたのだろうか?
「フリアグネの奴を討滅したら、キッチリと話が訊けるのかしら?」
「それは我にも分からぬな」
 あの少年が全てを語ってくれるとは限らないが。
 それでも、何かが分かるだろう。
「だが、もしアレが蔵している宝具が我等の予想通りの物だとすれば、機会はいくらでもあろう」
「そうね。その為にも、フリアグネに奪われない様にしないと」

 これまで他者にあまり関心を抱かなかった子だが、あの少年には珍しく興味を持っているようだ。
 感情を表すのが苦手なのか、素っ気ない振りをしているが、これも経験だ。
 外界と触れることのない育成方針の弊害だが、こうして少しずつ自分の力で解決をしていくのも良いだろう。
 願わくはあの少年が、我等に全てを語ってくれる日が来れば良いのだがな。
 少年の在り方に触れることで、この子もまた成長するだろう。

 より研ぎ澄まされた、フレイムヘイズとして………な。 
 

 
後書き
皆様お久しぶりです。
ようやくの更新となったのですが、相変わらず進展の度合いは低いです。

相変わらずの突貫更新ですので、誤字・脱字が酷いかも知れません。
その際は、感想と共にご一報頂けると大変ありがたいです。
それでは、また次回にお会いしましょう。 
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