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最後の突撃

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第一章

                       最後の突撃
 いきなりだった、確かに以前からキナ臭くはあったが。
 ドイツ軍は西と北から大挙してポーランドに雪崩込んで来た、まずは空から来てだった。
 次に戦車と装甲車だった、彼等が来てだった。
 そしてだ、ポーランド軍を崩してだった。恐ろしい勢いで突き進んできていた。その勢いにその崩されたポーランド軍は。
 まさに為す術がなかった、ただ攻められるままであった。しかし。
 その中でだ、彼等は敗れながらも言うのだった。
「このまま負けてたまるか」
「ドイツの連中を押し返すぞ」
「俺達を甘く見るなよ」
「やっとロシアとかから独立したんだ」
 だからだというのだ。
「絶対に守り抜くぞ」
「ドイツの奴等を押し返せ」
「こっちには騎兵隊がいるんだ」
「ポーランド騎兵を知らないとは言わせないからな」
「負けてたまるか」
「ドイツ軍が何だ」
「空から陸から来ているがな」 
 彼等とて負ける気はなかった、それでだった。 
 ドイツ軍への反撃を考えていた、それは部隊単位でも個人単位でもだった。彼等の目は決して死んではいなかった。
 それはこの騎兵大隊も同じだった、大隊長のトマス=ナストゥラ少佐は副隊長のアイザック=マリシュ大尉に北の方を馬上から見つつ問うた。
「もうすぐここにもだ」
「連中が来ますな」
「そうだ、ドイツ軍がな」
 自身の横にやはり馬上にいるマリシュに対して言った言葉だ。
「来るぞ」
「連中は恐ろしい速さで来ているとのことです」
「戦車や装甲車でな」
「はい、しかもです」
「昨日辺りの基地がやられた」
 陸軍の基地も空軍の基地もだ。
「連中の爆撃でな」
「と、なればです」
「明日にでもだな」
「はい、来ます」 
 そのドイツ軍がというのだ。
「連中の機械化部隊が」
「そうだな、戦車や装甲車がドイツ軍の主力か」
「恐ろしい突進であっという間にです」
「陣地も何もかもを蹴散らしてか」
「こちらの銃弾は全て跳ね返します」
「それでだな」
「はい、我が軍はです」
 ポーランド軍、他ならぬ彼等はというのだ。
「敗北を続けています」
「そうだな、しかしだ」
「はい、このまま負ければです」
「折角独立した」
 一次大戦が終わってだ、ナストゥラはその口髭、カイゼル髭にしたそれを右手でいじりながらマリシュに言った。
「それならな」
「このまま独立を守りたいですから」
「連中を押し返す」
 そのドイツ軍をというのだ。
「やってやらないとな」
「そういうことですね、では」
「攻めるぞ」
 ナストゥラはマリシュに顔を向けて言い切った。
「逃げずにな」
「撤退命令も出ていませんし」
「やってやる、攻めてだ」
「連中を追い返しましょう」
「逆にベルリンまで攻め込んでやる」 
 強い声でだ、ナストゥラはこうも言った。
「そうしてやる」
「そうしてやりましょう、絶対に」
「斥候が帰ったら作戦会議だ」
「はい」 
 マリシュもナストゥラの言葉に頷いてだ、そしてだった。
 彼等は大隊の野営地に戻った、そして斥候が戻って来たところで彼の話を聞いてそうしてであった。ナストゥラは部下達に大隊長として言った。 
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