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普通だった少年の憑依&転移転生物語

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【ソードアート・オンライン】編
  092 未来のメインヒロインは


SIDE ???

(あれ? ボクは確か死んだよね?)

思えば、〝あの人〟に守られてばかり──〝あの人〟の背中に隠れるばかりの人生だった。

―や~い、〝イチエン〟―

―〝イチエン〟って覚え易い名前って羨ましいよなー! ハハハハハ!―

あの時の事は今でもはっきりと思い出せる。

〝あの人〟に会うまでは気が弱かったボクは、自分の名前でからかわれている時はよく泣いていた。……いま思えば、ボクに対する嫉妬も含まれていたのだろう。

(ボクは自分の名前が大嫌いだったっけな。……〝あの人〟に会うまでは)

―〝イチエン〟を笑うな! 母さんが言っていたぞ。1円を笑う者は1円に泣くって!―

〝イチエン〟を否定出来ていない辺り、不器用な庇い方だったと思うケド、それでも嬉しかった。皆──それこそ、ある意味問題児であったボクの事を気に入らない学校の先生までボクの名前をバカにしたからだ。……尤も、ボクの事をバカにした学校の先生については社会的に抹殺してやったケド。

(嗚呼、一番最初に助けてもらったのは小学3年生の時だったっけ)

〝あの人〟にそう言われてボクは自分の名前がほんの少しだけ好きになった。

(それから〝あの人〟と一緒に居ることが多くなって)

〝あの人〟側は心地好くて──その内、〝抱いてはいけない気持ち〟を抱くようになった。……勿論、〝あの人〟には伝えてはいない。

中学に上がって、ちらほらと女子から告白されるようになった。……が、そういうヤツに限って、〝あの人〟の悪口を言うし──下心も見え見えだった。……ボクは所謂、天才と云うヤツだったのだろう。1つの事象を見聞きすれば10の事を知る事が出来たし、その10の事柄から幾つかの結果を推測する事も出来た──それでホイホイと告白してきたのだろう。

(でも……それでも……)

「彼も──ボクも死んでしまったんだよなぁ……」

〝あの人〟がボクを突き飛ばした時は何事かと思ったケド、ボクらが居た場所に落下してきた鉄骨。〝あの人〟が助けてくれた。

……が、〝あの人〟が死んでしまった。それに戦慄いたボクは後退り、いつの間にか車が行き交う車道に飛び出していた様で──

「そう悲しそうな顔をするでない。……待たせたの、(にのまえ) (まどか)よ」

突然この白と黒の空間に響く鈴の音の様に澄んだ、ボク以外の声音。

「誰?」

後ろを向くと正に〝絶世の美女〟を体現したかのような女性が居た。

……ボクはこの女性を見た時、〝識らない〟ケド〝知っている〟そんな妙な感覚に捕らわれる。

(うーん、なんだろ? この喉の奥に魚の小骨が引っ掛かったみたいな感覚は)

「妾は人が云うところの〝神〟と云う存在での。……予定外の事故が原因──今回の場合はあの鉄骨の落下事故が原因で死んでしまった人間を転生させて回っておる。……そして勿論、お主もこれに該当する」

「えっ? じゃあ──」

「そう、お主の言う彼──升田 真人も今さっき、転生させてきた」

「よかった……!」

神サマの言葉を聞いて、一番最初に浮かんだ感情は〝安堵〟でその次に〝歓喜〟だった。

(また……会えるんだ……!)

ボクはこの状況は察しがついている。……神様転生。神様が人を不注意などで殺めてしまった時、殺めてしまった人間をその人間が元居た世界以外──大抵はマンガやアニメ、ライトノベルの世界などに転生させる。……それが神様転生。

「その表情じゃ大体察しはついている様じゃのう。右手に持っているサイコロを振ってみぃ」

「っ!?」

ボクはいつの間にか握っていた右手の中に有る違和感に驚愕するが、相手は〝神〟である事を思い出して勝手に得心する。

神サマからの指示を思い出し、見た目普通のサイコロを振るう。……出た目は5。

「5つか。特典を言うがいい」

「往く世界の情報はある?」

「特典を使って決めぬ限りは往く世界はランダムじゃ。……よくある二次創作みたいに、マンガやアニメ、ライトノベルの世界のどれかだとしか言えぬ」

「……じゃあ、1つ目は〝真人君と同じ世界に転生させて〟」

「あやつと同じ世界じゃな。あい、判った」

「2つ目。【烈火の炎】の八竜で。……出来る?」

アニメ等の世界なら〝力〟は必要だ。

「出来る。【烈火の炎】の八竜だな。……承知した──火竜の印は他者には見えない様にしておこう」

「……ありがとう。……じゃあ3つ目。転生した真人君と同じくらいの年齢にして」

「御安い御用じゃ」

「4つ目は誰が転生者か判る様に」

「判った。……それにしても、他の転生者達と比べてお主は欲が少ないのぅ、感心感心♪」

神サマは、喜色満面の笑みで言う。

「最後に……ボクを女にしてくれ」

「……正気か?」

「うん」

(今度は──今度こそは真人君と……!)

「……なら良い」

神サマが呆れた表情で頷いたのを確認した瞬間、ボクの意識は一瞬の浮遊感の後闇に沈んでいった。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

「此処は──ぐっ! があっ!」

『此処は何処』と言い切る前に酷い名状し難い頭痛と、頭にナニか得体の知れないモノを突っ込まれている様な不快感がボクを襲う。

(痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! 痛い! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! イタイ! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい! いたい!)

頭は頭痛のお陰で正常に働かない。働いてくれない。……でも、頭痛の最中に出て来る〝覚えてない〟のに〝覚えている〟、家族──らしき人物との会話の端に挙がる単語の数々から1つの、正答である可能性が一番高い答えを弾き出す。

「ボクの名前は〝結城(ゆうき) 乃愛(のあ)〟。〝レクト〟の──所謂(いわゆる)社長令嬢で、〝結城(ゆうき) 明日奈(あすな)〟の双子の姉。……〝レクト〟、〝結城(ゆうき) 明日奈(あすな)〟…。……もしかしなくても【ソードアート・オンライン】の世界?」

どうにも、ボクは──ボクだけではなかったか。ボクと真人君は【ソードアート・オンライン】──通称【SAO】の世界に転生したらしい。

「さてさて詳しい記憶は…」

今さっき突っ込まれた記憶に検索を掛けてみれば、様々な情報が上がってくる。……年齢は10歳になったばかりで、重めの風邪をひいていたらしく、そこはかとない国内有数の病院に入院している模様。

「あっ…。……この()が妹の明日奈(あすな)…」

腕に違和感──というよりかは圧迫感(?)を覚え、その正体に目線を遣れば、明日奈がベッドに椅子に腰掛け、然も〝寝落ちしてしまった受験生〟の様な風体で寝ていた。

(……大分心配を掛けてしまったらしいね…)

「ん…。お姉ちゃん?」

ボクと明日奈はソックリの双子──一卵性双生児である。私とソックリの──明日奈の亜麻色の髪を撫でる。……明日奈は髪を触られている違和感で起きてしまったらしい。

(……それにしてもちょっと参ったかな。殆ど二次創作の知識しか無い。確か、〝あの人〟──真人君は二次創作とかそっちの方向には疎かった筈)

それに、二次創作云々の知識に疎い真人君の行動はあまり読めなくて、それも心配になる。

……これについては勘違いも(はなは)だしかったのだと──真人君がよもや〝二次創作云々の知識〟について知悉(ちしつ)していて、更には多重転生を経ているなんて事実は後々になって知るのだが、今はそんな事を知る(よし)なんて無かった。

閑話休題。

「お姉ちゃん…、……お姉ちゃんっ!」

(さて、どうしたものか…)

今はただ、その双眸に、それこそ文字通り[目一杯]に涙を溜めている愛らしい妹──未来のメインヒロインを(なだ)める方法について思案するのが先らしい。

SIDE END

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

SIDE 升田 真人

「いぃぇぁぁ!」

「おっと、甘い甘い。……剣道は勢いだけじゃないぞ。例えば──こんな風にな?」

「あでっ!? ……参りました」

俺と対峙している少女──もとい升田 直葉は烈帛(れっぱく)の気合と共にチャンバラ用・スポンジ製の竹刀を振るってくるが、いくら〝剣〟を使うのが得意では無い俺ではあるが──さすがに先達の矜持(きょうじ)があるので、そこは軽く捌いてやる。

こんな事に──直葉に剣道を教えているのには、大した理由は無い。直葉がテレビで女性剣士を見て剣道にハマっただけである。

……ちなみに和人は〝剣道(こっち)〟──もしくは〝武〟の才能は無かったらしく、早々に諦めて──こう云っては何だが、マシン造りの方に流れてしまった。……〝そっち(機械)〟の才能は、母さん曰く〝遺伝〟らしい。俺の目から見ても和人の機械──ないしはコンピューター関連の才能は〝バカ高い〟。

もちろん、直葉の〝剣道(こっち)〟の才能も目を(みは)るところがある。

(6歳でマシンを組み上げるとは思わんわな)

「おーい」

「母さんか」

和人の機械に関連する才能に軽く戦慄したのを思い出しながら、5人家族の庭にしてはやたらと広い庭で剣道──〝ごっこ〟をしている俺と直葉に、母さんが声を掛けてくる。

「あ、今日もやってるわね。何なら実家の方に行ってみない? お父さん──あなた達からしたらお爺ちゃんか。……お爺ちゃん、ちょっとした道場持ってたし、剣道の道具も有ったはず」

「行くっ!」

「……俺も行こうかな」

母さんの提案に即答する直葉。俺もいくらか興味があったので行く事にした。……これが後の〝スーパー剣道女子高生〟誕生の瞬間なのだが、〝未来〟を知る気の無い俺にはどうでも良い事である。

SIDE END 
 

 
後書き

あの子が再登場(?)しましたが、設定的に無理矢理になってないか心配です。 
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