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FAIRY TAIL~水の滅竜魔導士~

作者:山神
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空中迷宮

『大魔闘演舞予選『空中迷宮(スカイラビリンス)』開始!!』

カボチャがいきなりそう言う。

「競争なら急がねぇとな」
「オオッ!!」

グレイさんとナツさんはそう言って走り出そうとする、

「仕方ない。行くぞ」
「うん!!」

続いてエルザさんとルーシィさんも2人を追いかけ走り出す。しかし、俺とウェンディは走り出すことができない。

「どうした?シリル、ウェンディ」

立ち止まって声をかけてくれるエルザさん。

「シャルルとセシリーが・・・」
「心配なんです・・・」

俺とウェンディは倒れてしまっている大切な友が心配でこの場を離れてしまうことに躊躇していた。

「2人なら大丈夫!!」
「あい!!オイラたちがしっかり見てるから!!」

そう言ってくれたのはリサーナさんとハッピー。

「2人はとにかく、予選通過を急いで!!」
「そういうことだ、行くぞ。シリル、ウェンディ」
「・・・セシリーたちをお願いします」
「早くゴールしてすぐに戻って来ますから!!」

俺とウェンディはリサーナさんとハッピーにペコッと頭を下げると4人の後に続く。
セシリーたちが心配だけど、今はとにかくギルドの皆さんのために頑張って予選を通過しないと!!

「迷宮の入り口だ!」

俺たちの走っている木の階段が球体みたいな形をしている迷宮の中へと続いているのをグレイさんが見つける。

「いや、フィオーレーへの入り口だ!!チーム妖精の尻尾(フェアリーテイル)、行くぞ!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」

ナツさんの掛け声に返事をする俺たち。俺たちはそのまま、迷宮の中へと飛び込んでいった。

「中は立体的な迷路になっているのか」

グレイさんがそう言う。迷宮の中は重力がないかの如く至るとこに階段や門、さらには時計のような備品まで置かれていた。

「だぁー!!こういうのは苦手だぁ」
「しっかりしてよ、先着8チームに入れなかったらフィオーレーどころじゃないんだから」

ナツさんとルーシィさんがそう言う。

「だよな!!ここ抜けて剣咬の虎(セイバートゥース)の奴等をぶちのめすんだ!!」
「奴等より先についてやろうぜ」
「絶対1位で予選通過しましょうね」

ナツさん、グレイさん、俺がそう言う。

「基本は東に進めばいい。会場は東の方だった」
「よく見てるわねぇ」
「さすがです、エルザさん」

エルザさんがどの方角にドムス・フラウがあるのかしっかり見ていたことに感心しているルーシィさんとウェンディ。

「つーかどっちが東なんだよ」
「フフッ、ここは俺に任せてください」
「「「「「?」」」」」

グレイさんが周りを見回しながら東がどこなのか探していたので俺がそう言う。まぁぶっちゃけ、俺には東だろうが西だろうが関係なくドムス・フラウにたどり着く道を見つけることができるんだけどね!!

「ちょっと待ってください」

俺は目の魔水晶(ラクリマ)を解放しドムス・フラウがどこにあるのかを探す。

「見つけた!!あっちです!!」

俺はドムス・フラウが見えた方向を指さす。ちょうどその方向に向かうのに最適な階段があったので俺たちはそこを走り出す。

「目指すはドムス・フラウ!!」
「全員、私にしっかりついてこい!!」

ナツさんとエルザさんがそう言い、俺たちはエルザさんを先頭に走り出す。

「それにしても、この真っ直ぐドムス・フラウに向かってわけにはいかないみたいね。この構造じゃあ・・・」
「なんか天地がひっくり返ってねぇか?」
「華灯宮メルクリアスが逆さまになってますよ」

ルーシィさん、グレイさん、ウェンディが隙間から見える外の景色を見てそう言う。俺たちは上に向かっている階段を走っているはずなのに、なぜか外は地面が上になっていた。もしかしてこの迷宮重力無視してるのか?そこまでやるなんてすごいなぁ、運営。

「げぇ!!行き止まりじゃねぇか!!」

ナツさんがそう言って立ち止まる。俺たちの走っていた階段は一度そこで途切れてしまっていた。だが、近くにはまた色々な道があるし飛び移ろうと思えば飛び移れるような・・・

「ナツ、シリル。お前たち何ともないのか?」
「あぁ、よくわかんねぇけど気持ち悪くなんねぇ」
「そういえば、全然吐き気がしませんね」

エルザさんが俺とナツさんに質問をするので答える。言われてみればこんなにグチャグチャな迷宮なのに俺とナツさんは乗り物酔いを起こさない。乗り物じゃないといえば違うんだろうけど俺たちはそんなの関係なく気持ち悪くなるからなぁ。

『説明しましょう!!』

突然、俺たちの前にさっき予選開始の合図を告げたカボチャが魔水晶(ラクリマ)ビジョンで現れる。

『予選においては乗り物酔い、高所恐怖症の方も平等に競えるよう、空中迷宮(スカイラビリンス)全体に魔法を施してあるのです!!』

それだけ言うと魔水晶(ラクリマ)ビジョンが消える。わざわざ俺たちのために出てきてくれたのかな?いいカボチャですね。

「ほほぅ」
「トロイアみたいなもんか」

エルザさんとナツさんがカボチャの説明を聞いてそう解釈する。

「ナツとシリルの他にも、乗り物に弱い魔導士がいるってことかしら」
「情けねぇ話だな」
「聞こえてんぞそこ!!」
「2人共ひどいです!!」

ルーシィさんとグレイさんがコソコソと俺たちの乗り物酔いのことを話していた。情けないなんてひどいですよ。俺は前までは大丈夫だったのに・・・

「とにかく、さっきシリルがドムス・フラウを確認した方向へ向かうぞ」
「しゃあ!!」
「「オオッ!!」」
「「はい!!」」

エルザさんの言葉に俺たちはそれぞれ反応し気合いを入れる。とりあえずはドムス・フラウをさっき見た方向へと向かって俺たちは走り出す。
























ガチャッ

しばらく走っていると扉を見つけたためそこを開けてみる。

「ぬおおおお!?」
「なんだこりゃ!!」

ナツさんとグレイさんが扉の中を見て驚いている。それをそのはず、さっきまでの階段とは少し変わっており、螺旋階段のような模様になっていた。ただし模様だけで通路は真っ直ぐみたいだけど・・・

「なんだか目が回りそうですね」
「あっちが上なのか下なのかもわかんないわね」
「でも、この道の先にドムス・フラウが見えますよ?」

ウェンディとルーシィさん、俺がそう言う。目を使って見ると確かにこの方角にドムス・フラウがあるんだもん。

「そういうことなら問題ないな。行くぞ!!」

エルザさんがそう言い俺たちはその中を走る。なんか螺旋の道を真っ直ぐ進んでるからかなり違和感がある・・・

「でもこれ、どこまで続いてるの?」
「それは知りません」

俺はドムス・フラウしか見えてないから途中の道がどうなってるかなんてわからない。誰かさんのせいで修行出かなかったからね。

「気にすんな!!行き着いた先がゴールだ!!」

ナツさんは加速し目の前に見える扉を勢いよく開ける。

「・・・って、おいーーーーー!!!」

その先には道がなかったらしくナツさんは落ちそうになってしまう。

「危ない!!」

俺はそんなナツさんを掴んで急いで引っ張り上げる。

「サンキューシリル!!」
「いえいえ」

ひとまずナツさんが落ちなくてよかった。はぐれたら大変だもんね。

「しかし、どうなってんだこりゃ?」

ナツさんは自分が落ちそうになったところを見下ろす。

「競技名通り、迷宮ってわけなんですね」
「そいえば、命落としても責任はとらないって言ってたけど・・・」
「こっから落ちたらクロッカス目掛けてまっ逆さまってこった」
「「ひぃぃぃ!!」」

俺とウェンディはあまりの高さに抱き合って落ちた時のことを想像してしまう。間違いなく死にますよね?運営の人たち怖すぎるんですけど。

「慎重に道を選ばなきゃならねぇってことだな」
「下見たってゴールにはつかねぇぞ!!見るのはドムス・フラウだけだ!!」

辺りの道を見てどの道をいけばいいのか模索するグレイさんとただ一転にだけ集中するナツさん。ドムス・フラウ見えてるのは俺だけなんですけどね。

「メモを取りながら進んだ方がよさそうだな」

そんな中エルザさんだけは冷静にそう言う。

「メモ?」
「スタート地点から我々がどう進んだか、どんな場所を越えたか、現在地を把握せねば容易には進めんぞ」

確かに、ただがむしゃらに進んでたってこんな迷宮の中だと迷子になってしまう可能性もあるし・・・

「グズグズしてられないもんね」
「なるほど、マッピングって奴だな」
「いいですね!!効果的だと思いますよ!!」

ルーシィさん、グレイさん、ウェンディがそう言う。だけど・・・

「メモを取ると言いましても・・・」
「どこがどこだかさっぱりわかんねぇぞ」

俺とナツさんはこの複雑な迷宮でメモをどう取ればいいのかわからずにそう言う。

「文句を言っている暇はない。とにかく今までの道をメモに記すんだ」
「それはいいんですけど・・・」

メモを取るのは俺も賛成だけど、肝心なことを忘れている気がする。

「そのメモ用紙はどこから調達するんですか?」
「「「・・・あ!!」」」

俺の意見にナツさん、グレイさん、エルザさんが大事なことを思い出す。何も考えずに出てきちゃったからメモ用紙なんて持ってないし、皆さんも同じだと思うんですけど。

「大丈夫!!私、小さいけどメモ帳を持ってるから」
「あたしも!!いつ小説のネタが思い付いてもいいように携帯してるんだ!!」

ウェンディはカバンから、ルーシィさんはポケットからそれぞれ可愛らしい模様のメモ帳を取り出す。

「さすがだ2人共!!」
「よくそんなもの持ってたな」
「よくわかんねぇけどやるじゃねぇか!!」
「ナイスウェンディ!!ルーシィさん!!」

2人のファインプレーを称える俺たち。ウェンディまでメモ帳持ってるなんてビックリだな。女子力高い人ってみんな持ってるのかな?エルザさんは絶対持ってないのはわかってたけど。

「よし!!ではさっそく・・・」
「洗い出してみるか!!」

俺たちは2人からメモ用紙をもらい、さっきまでの道のりを書いていくことにした。
























「ドムス・フラウはあっちです!!」

俺は目を使って今一度ドムス・フラウの場所を確認する。

「この迷宮メモ取りにくい・・・」
「どこも特徴があるようでないからな」
「ファイトです!!ルーシィさん!!」

ルーシィさんがメモを取りながら愚痴を溢す。ちなみに今はルーシィさんしかメモを取っていない。理由はナツさんとグレイさんが「地図の書き方わからねぇ」ということでまず脱落、次にウェンディが「ペンのインクがなくなってしまいました」ということで書けなくなり、俺とエルザさんが書いたら「読めねぇ」と皆さんに言われたので結局まともに書けそうなルーシィさんがメモを取る担当になりました。

「ん?」

ルーシィさんがメモを取っているとナツさんが何かに気づく。

「おい、エルザ」
「ああ、何か聞こえたな」

ナツさんとエルザさんがそう言う。俺も耳を澄ませてみると確かに何か声が聞こえる。それも争っている感じの・・・仲間割れかな?

「そういえば・・・」
「他のギルドの連中もこの中にいるんだよな」

ウェンディとグレイさんがそう言う。そして、俺たちの目の前に見覚えのある男たちが現れる。

「おいおい、マジかよ」
「あのツラ・・・」
妖精の尻尾(フェアリーテイル)かよ」
「ありえねぇ」

その男たちは俺たちを見てそう言う。

「あいつら・・・」

ナツさんはそいつらを見て嫌悪感を露にする。その遭遇した奴等は俺たち天狼組がいなかった7年の間にマグノリアに作られた魔導士ギルド、黄昏の鬼(トワイライトオーガ)だった。

「相変わらず貧乏くせーギルドだぜ」
「ヒャハハッ!!ダッセー!!」

黄昏の鬼(トワイライトオーガ)の内の2人が俺たちを見てそう言う。

「お前らも参戦してたとはな」
「そりゃこっちのセリフだ。万年最下位のギルドさんよぉ」
「今年の妖精の尻尾(フェアリーテイル)は違うんだよ!!」

金棒を担いだ男(シリルは名前を知りません)にそう言われ、ナツさんが反論する。

「ほう?どこが?」

男はそう言って背中の金棒を取り出す。

「ちょっとちょっと!!ここで戦うの!?」
「皆さん落ち着いてください!!」

ルーシィさんとウェンディは今すぐにでもバトルを始めそうな俺たちを見てそう言う。

「へっ!!魔法の使用は自由!!制限なしだぜ?ここで潰してやる」
「懲りねぇ奴等だ」
「燃えてきた」
「この間同様ボコボコにしてあげますよ」

相手がそう言うのを聞いて魔法の体勢に入るグレイさん、ナツさん、俺。

「本気でバトル!?」
「あわわわ・・・」
「ライバルは少ない方がいいからな」
「そりゃそうだけど・・・」

ルーシィさんとウェンディはまさか戦うことになるとは思ってなかったらしく慌てている。
その内に黄昏の鬼(トワイライトオーガ)が俺たちに突進してくる。

「俺たちが見てんのは・・・」
「打倒剣咬の虎(セイバートゥース)!!」
「そして、妖精の尻尾(フェアリーテイル)をフィオーレ一のギルドにすること!!」

ナツさん、グレイさん、俺はそう言い突進してくる敵に立ち向かう。

「「「邪魔だぁ!!」」」

俺たちの一撃を受けて黄昏の鬼(トワイライトオーガ)は落ちていく。
それと同時に、突然俺たちのいる場所が大きく揺れ始める。

「なんだ?」
「おいおいおいおい・・・」
「何よこれ!?」
「地面が・・・」
「違う・・・」
「まさかこれって・・・」

揺れ動く迷宮、俺たちの足場がさっきまでとは違う角度へと変わっていく。

「迷宮自体が回転してるんだ!!」
「「「「「何ー!?」」」」」

俺たちがいる場所だけでなく、この迷宮全てが回転して足場の角度を変えているらしい。言われてみるとそんな気もするけど、それってまずいんじゃ・・・

「回転って・・・どういうことだよー!!?」
「きゃあああああ!!」
「ナツさん!!ルーシィさん!!」

迷宮が回転したことでナツさんとルーシィさんが重力へと引っ張られ落ちていってしまう。よく見ると他のギルドも何チームか下に落ちていっている。

「Z軸回転だ!!」
「みんな!!側面に移動するんだ!!」

エルザさんとグレイさんは落ちそうになるのを何とか足場だったところを掴んで耐えている。

「きゃあああああ!!」
「ウェンディ!!」

俺は運良く柱を掴んでいたため落ちずに済んだがウェンディが重力に負けて落ちていきそうになる。

ガシッ

俺はなんとかその手を掴みウェンディをキャッチする。

「大丈夫?」
「うん、ありがとう」

ひとまず俺とウェンディも大丈夫そうだ。しかし、ルーシィさんとナツさんがすでに落ちていってしまっている。

「まずいぞ!!場外に出たら失格になっちまう!!」
「「えぇ!?」」

グレイさんが落ちそうになる2人を見てそう言う。なんとかしないとだけど俺は両手が塞がってるしグレイさんは片手での造形はできない。エルザさんも今から助けにいくには無理あるし・・・

「私に任せてください!!」

そう言ったのはウェンディだった。

「何か作戦があるのか?」
「はい!!シリル!!落とさないでね?」
「もちろん!!」

俺はしっかりとウェンディの手を握る。ウェンディはそのまま口に魔力を溜めていき・・・

「天竜の・・・咆哮!!」

ブレスを放つ。
そのブレスはナツさんたちの“脇”をすり抜けて近くの足場に当たると、反射したのかナツさんたちの方へと戻っていく。

「「うわあああああ!!」」

反射されたウェンディのブレスを受けてナツさんとルーシィさんは押し戻されていく。そして2人は近くにあった階段へと掴まることができた。

「ナイスウェンディ!!」
「助かったわ!!ありがとう!!」

ナツさんとルーシィさんはこちらに手を振りながらそう言う。ちなみにさっきのブレスで俺とウェンディは体が浮かび、近くにあった踊り場に上ることができた。一石二鳥とはまさにこのことですね。

「みんな無事か!?」
「オオヨッ!!」
「うん!!」
「はい!!」
「大丈夫です!!」

グレイさんとエルザさんも自力で足場へと上ったみたいだった。そしてほどなくして迷宮の回転が止まる。

「止まった」
「しっかしむちゃくちゃだな。なんつう仕掛けだよ」

エルザさんとグレイさんがそう言う。

「100以上ある参加チームを8チームに絞るのだ。これくらいが打倒だろ」
「今のでかなりの数が振るいと落とされたってわけか」

俺が地上の方を見てみるとそこには場外へと落とされてしまったギルドのメンバーたちが魔法陣の上でがっかりと肩を落としていた。相当数落ちたみたいだな。でもまだまだ無事なギルドも残っていると思うけど。

「ん?何これ?ひょっとして地図?」

俺が下を見ているとルーシィさんがそう言っているのが聞こえるのでそちらを向く。ルーシィさんが見ていたのはエルザさんが拾ったらしい手書きの地図だった。

「のようだが・・・」
「ラッキーじゃねぇか!!これとうちらのメモを合わせればより精度の高い地図になる!!」
「オオッ!!」

グレイさんの気づきに俺が声を上げる。地図さえあれば俺が遠くを見るときに通路のイメージも何となくだが掴めるかもしれない。これはいける!!

「コラァ!!それは!!」

俺たちが拾った地図を見ているとさっき落としたはずの金棒男がこちらを必死に踊り場に掴まりながら見ているのに気づく。

「お前たちのか?」
「返せ!!」
「お断りだ」

エルザさんは必死にしがみついていた金棒男を蹴り落とす。あれは間違いなく場外に出たな。失格です。

「なるほど、この予選の大体の趣向がわかってきたぞ」

エルザさんがそう言う。俺もこの地図を拾ったことでこの予選で何が求められているのかわかった!!ナツさんとグレイさんもわかったらしく俺たちは不敵な笑みを浮かべる。

「皆さん・・・」
「目が怖いよ・・・」

ルーシィさんとウェンディは俺たちを見て若干ひいてるけど今はそんなの構ってられない。俺たちがやるべきこと、それは・・・

「「「「敵を倒して地図を奪うんだ!!」」」」

他のギルドが作った地図を奪ってより精度の高い地図を作る。それさえできればこの予選の通過なんて楽勝だぜ!!

「競争というよりバトルって感じですけどね!!」
「バトルなら俺たちの得意分野じゃねぇか!!」
「そういうこった!!」

俺とナツさん、グレイさんは近くにいる他のギルドの魔導士たちを片っ端から倒していく。

「もらうぞ」
「どうぞ」

エルザさんも敵を倒して地図を奪っている。なんかやられた人たちエルザさんの格好見てすごく嬉しそうですけどね。

「おし!!これで6つ目だ!!」
「でもこれ、どうやって見るんでしょうか?」

ナツさんが地図を奪いウェンディがその地図を見ながらそう言う。確かにどのギルドも書き方がバラバラで解読に時間がかかるかも。

「ルーシィなら得意なんじゃねぇか?そういうの」
「しゃあ!!片っ端から地図を集めて、ルーシィに解読させんぞ!!」
「え?あたし?」

集めた地図はルーシィさんに渡して解読してもらうことにしました。というわけで俺たちは地図集め再開です。

「地図を」
「寄越しやがれ!!」
「7チーム分追加だ!!」
「水竜の鉄拳!!」
「天竜の咆哮!!」

俺たちは次々に敵を倒して地図を集める。するとさっき同様迷宮が回転し始める。

「また動くぞ!!」
「どこかに捕まってください!!」

俺たちは今度はうまく対処でき誰も落ちることなく済む。

「止まりましたね」
「だね」
「よーし!!争奪戦再開だ!!」

迷宮が動きを止めたのを見て俺たちは再び他のギルドの地図を集めるために動き出した。























「う~ん・・・」

しばらくして一通り地図も集め終わったので俺たちはそれを広げて解読を試みている。

「何度も回転してるから迷宮の表層を東に向かっても余計な手間がかかると思ったんだよねぇ」
「それでこの迷宮の真ん中に入ったんですか?」
「そうすれば簡単に東の方角がわかると思ったんだけど・・・」

俺たちは今は迷宮の一番中心部に入っている。確かにいくら東に向かっていっても迷宮が回転されたらまた方角がわからなくなりますからね。これって本当にゴールできるように出来てるのかな?

「でも、驚きですね」
「まさか中心部に、こんなのどかな光景が広がっているとはな」
「いや・・・つっても逆さまだけどな」

ウェンディとエルザさんとグレイさんが上の方を見上げてそう言う。本来なら上には空があるけど、今の俺たちの上には草原と遺跡のようなものが広がっていた。

「そして困ったことに、これではもはや東も西もない」
「コンパスまで目ぇ回してやがる」
「これだけ迷宮が回転してたらこうなっちゃいますよね」

エルザさんは自分が持ってきたコンパスを見てそう言う。コンパスはグルグルグルグル回っていてどこがどの方角かなんてわかるはずがなかった。

「シリルは何か見えないの?」
「回転しすぎたせいかわからないけどドムス・フラウがどこにあるのかさっぱり見つけられないんだよねぇ」

さっきまではおおよその位置が分かってたから簡単に見つけ出せたけど今はどこがどの方角かわからないからドムス・フラウを見つけるのに時間かかっちゃうんだよな。さてさてどうするか・・・

「フフフ、この時を待っていたのよ」

俺たちが困り果てているとルーシィさんが突然おかしなことを言い出す。

「んだよいきなり」
「どうしたんですか?ルーシィさん」
「とうとうおかしくなっちゃいましたか?」
「とうとうってどういうこと!?」

俺が失礼なことを言ったのでルーシィさんは怒ってしまう。だってたまにおかしいこと言うじゃないですか。

「開け!!羅針盤座の扉、ピクシス!!」
「ピクー!!」

ルーシィさんが呼び出したのは頭に方位磁石をつけた鳥みたいな星霊だった。

「可愛い!!」
「なんか癒し系な感じですね」

ウェンディと俺はその鳥を見てそう感想を述べる。それを聞いた鳥は嬉しそうな顔をしている。
というわけで・・・

「ピクー!!」
「東はあっちよ!!」

ピクシスとルーシィさんが東の方角を指差す。だけどあっちって・・・

「あっちって・・・上じゃねぇか!!」
「大丈夫なのかよ!?」
「シリル見える?」
「ちょっと待ってね」

グレイさんとナツさんがピクシスの指した方向が不安らしいので俺は目を使って覗いてみる。その先には確かにドムス・フラウが見えた。

「合ってるみたいですね」
「ほら!!ありがとうね、ピクシス」
「ピクー!!」

俺の言葉を聞いて得意気なルーシィさんと嬉しそうなピクシス。

「でも、どうやってあっちに上るんですか?」

ウェンディが東の方角を見上げてそう言う。

「決まっているだろ。これだ」

エルザさんのその言葉を待っていたかのように迷宮が回転し、俺たちはさっきまで東の方角だったところへと落ちていく。

「「「「「そういうことかぁ!!」」」」」

エルザさんのあまりにも危険すぎる作戦に俺たちは落ちながらそう叫ぶ。下に広がっている草原を流れている川に俺たちは落ちてしまった。

「鳥がいますよ」
「のどかなもんだな」
「気持ちいいですね」

俺とグレイさん、ウェンディは空を見上げながらそう言う。

「さっきから散々落っこちてるけど、これで予選落ちしたら洒落にもならないよ」

ルーシィさんはそんな俺たちを見てそうぼやいている。

「何を呑気にしているのだ。まだ競技中だぞ。急ぐぞ!!目指せ予選1位通過!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」

俺たちは気持ちを切り替えてゴールへ向かって走り出す。しばらく走ると周りが海の道へと差し掛かる。

「今度は海ですよ!?」
「どうなってるんですかこれ?」

ウェンディと俺は迷宮の中に海があることに驚いている。この迷宮何でもありだな。

「どこまで続いてるのこれ?」
「落ち着いてよく見ろ!!」

ルーシィさんの問いにグレイさんが上を見上げながらそう言う。

「あの空は偽物だ。壁にかかれてる」

青い空にはところどころ継ぎ接ぎのような箇所が見受けられる。

「てことは?」
「この道にもたどり着く先があって」
「そこがゴールってことですね!!」
「つまりもう間近ってことですよね!!」

ナツさん、ルーシィさん、俺とウェンディがそれぞれ思ったことを口にする。

「よーし!!ラストスパートだ!!」
「「「「「オオッ!!」」」」」

俺たちはゴールに向けて加速する。すると遠くに『GOAL』の文字が書かれた看板が見えてくる。

「見えてきたぞ!!」
「ついにゴールだ!!」

俺たちは海の道を渡り切る。そこにはさっきのカボチャが拍手をしながら待ち構えていた。

「ウェンディ・マーベル」
「はい!!」

カボチャに名前を呼ばれて思わず返事をしてしまうウェンディ。

「エルザ・スカーレット」

エルザさんは目を閉じて嬉しそうに頬緩める。

「グレイ・フルバスター」

グレイさんはドヤ顔をしている。

「ルーシィ・ハートフィリア」
「ハハッ!!」

ルーシィさんは嬉しそうに笑顔を見せる。

「ナツ・ドラグニル」
「フフン」

ナツさんはグレイさん同様にドヤ顔になる。

「シリル・アデナウアー」
「ヘヘッ」

俺もエルザさんやルーシィさんみたいに笑顔で答える。

「イヤーおめでとうございます!!予選通過決定です!!」
「よーし!!」
「「やったぁー!!」」

カボチャに予選通過と聞いてナツさんと俺とウェンディはガッツポーズする。

「そりゃあそうだろ。すげぇ順調だったし」
「もしかしてあたしたち1位!?」

グレイさんとルーシィさんが期待を込めてそう聞く。

「へ?いえ、8位です。ギリギリ通過です」
「「「「「「へ?」」」」」」

カボチャにそういわれ固まってしまう俺たち。8位?あんなに頑張って8位?

「何ー!!」

俺たちは予想外の結果に迷宮中に響くほどの大きな声で叫んでしまった。まぁ何はともあれ無事に予選は通過したし、よしとするか。
次からは本選だ!!そこで挽回して、絶対フィオーレーになってやるぞ!!
俺たちはそう心に誓い、その日は宿へと帰ることにした。









 
 

 
後書き
いかがだったでしょうか。
予定より全然早く作れました(笑)
無事に予選通過できたシリルたち。
次回は本選に入る予定です。
次回もよろしくお願いします。 
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