保留荘の奴ら マトモな殺人鬼
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第1話 どうやら私(僕)は、死んでしまったようです
前書き
初投稿作品です。
生暖かい眼で見守ってくれると嬉しいです(*´ω`*)
私の回りにはとても広い空間が広がっている。
眼前には人間だとは思えない程大きい人間。先程閻魔だと名乗っていた。
「泣きたい……」
横にいる緑フードの男の子が涙目になっていた。
「私もだよ……」
私も涙目になっている。
ここに来て1時間。いっこうに現状をつかめないでいる私たちに閻魔が一言。
「え~と………結構時間もたつ訳なんどけど………緑のフードの君。自己紹介出来る?」
緑のフードの男の子が髪をポリポリとかきながら言う。
「ダメです。やっぱ思い出せません」
「ありゃー………こりゃ確定かな~。天上界に来て記憶喪失ってのは早々ないよ」
緑のフードの男の子はここに来ている時点で自分の名前はもちろん生前の記憶がすべてなくなっていた。
閻魔は天国か地獄か決められないと言っている。どうやら現実世界にあった地獄の風景を記した巻物のようではないようだ。
これを指摘した時は「まだそんなアナログな考え?」といってため息を疲れた。本気で殺意沸いた。
今の判定は門をくぐればOKという簡単操作なんだと。
「もう審判なんて地上で言う改札みたいなもんだよウン」
(なんてありがたみのない審判だ)
「昔は維持でもアナログ方向でいってたらしいけどプライバシー侵害ってんで個人情報の記載がない罪状だけの巻物になった」
((そこまで地上に感化されるか普通))
「でも緑フードの君も葵ちゃんも平凡そうだし可愛いし天国行きだと思うよ」
あ、紹介が遅れたね。
私の名前は霧島 葵。生前はちょっとアレな女子高生だよ。
「と思ったけど2人ともやる事やってるね」
「ま~ね」
「緑のフードの君の巻物は……その……トイレットペーパーみたいになってるし」
目の前にはトゥイレットペェェーパァァーな巻物が2個置かれている。
落ち込むな少年よ。
「んー………2人とも判定出来ないなぁ」
えっ。
緑のフードくんが判定出来ない理由は知ってるんだけど、なんで私までなの?
「いやぁ………葵ちゃんは、矛盾してるんだよね。トイレットペーパーを見るに、葵ちゃんは"同じ時刻に6件の殺人を同時に起こしてる"んだよ。有り得ない事だよ?このトイレットペーパーに書かれてるから確実なんだろうけど………この矛盾を正さないと、しっかりとした判決を下せるとは思えない。それに罪状以外の情報がない」
最早巻物ではなくトイレットペーパーというのね。
てか私そんな事してたの?
「記憶にないな………う~ん」
「ま、てな事で……」
ちょい。
どうゆう事なの。説明せんかい閻魔様よ。
「君達には天国でも地獄でもない、留国行きを言い渡すッ!」
天国でも地獄でもない………留国?ナニソレ?
考えている内に強面のお兄さんに肩を叩かれた。
「私はちゃんと行きますんで………質問したそうにしてる緑のフードくん連行してあげて?」
ガシッと捕まれた緑フードくん。なんかごめんね。
「うっ。も、もう。嫌だぁぁぁぁ!!」
緑フードくんの断末魔を聞きながら、心のなかで合掌+謝罪。本当にごめんなさい。
「……ここが……"保留荘"か」
私達が連れてこられたのは保留荘と呼ばれる場所。どうやら私達みたいに天国か地獄かの判定を先延ばしにされた方々がいる所。
ここに来るまの車中で強面さんから色々聞いた。結構優しい方々でしたよ。
長いから簡単に説明するね。
①地獄にいっても月日がたてば天国へ行き、転生出来る。
②これを転生システムという。
③保留国民はその転生システムに入れず、生き返るのを先送りされた方々の集まる場所。
らしい。
「それなら安――」
緑フードくんが苦笑しながら言う。
「まぁある意味地獄より厄介な奴等が集まってるよ」
「…………」
車中に沈黙が訪れる。緑フードくんがその事について聞こうとすると、「体に気を付けて頑張ってください。検討を祈ります」という簡単な返事が来た。緑フードくんはもう少し具体的なフォローが欲しかっただろうに。私はポンと緑フードくんの頭に手を置いた。
「大丈夫だよ。私と頑張ろー」
緑フードくんが落ち着いていく。こういう励ましてくれる人が1人でもいれば結構気が楽になるからね。
その後、保留荘につき、話は先程まで戻る。
普通のアパートみたいだけど、取り合えず、各自の部屋に行くことにした。
ちなみに私の部屋は3階の206号室で、緑フードくんは204号室だ。
上へ行く途中、203号室でドタバタと暴れる音が聞こえた。緑フードくんは気付かなかったみたいなので、教える。
「緑フードくん。203号室で音がするよ。挨拶してこ?」
「あ、う、うん。そうだね」
緑フードくんはカッチカチに固まっていた。
「アハハハ。緑フードくんは生前コミュ症だったのかもね」
「うん………そうかも」
笑いながらインターホンを押そうとすると、いきなり扉が開き、中から、30㎝定規が飛び出してきて緑フードくんの頭にスコーン!と当たった。ドクドクと血が流れる。
えーなにこの急展開。ついてけないよ。
「どうしようアンドリュー!知らない人に当たっちゃったよ!」
「お前がいきなりドア開くからだろうが!てか誰だ?」
「今日から保留荘に来る者です」
「わぁい新人さんだ!」
「取り合えず自己紹介は後にして、緑フードくん運びましょう?」
「がってんだい!」
起きるのかな。
確実に死亡する重症だよコレ?
「うぅん……」
あっ。起きた。
一応この人達から色々聞いたけど、本当だったんだね。
この天上界(保留荘含め)だと、痛みはあるけど、傷はすぐなおるし死んでもすぐ生き返るって言ってたし。
ガバッ!と起き上がった緑フードくん。ここは緑フードくんの部屋。鍵が落ちてたから勝手に上がらせて貰った。
「101号室のアンドリューだ」
「203号室のアルヴァンスだよ。ここまでみんなと一緒に運んできたんだ~」
この天上界の事を緑フードくんに説明する。
「かくかくしかじか」
「ここだとどんな傷も癒える……と」
かくかくしかじかで分かる人始めてみたな。ちなみに、後遺症も残らないらしいから安心だよね。
そこでわくわくした顔のアルヴァンスが言う。
「気持ち良かった?ねぇさっきぶつかったとき気持ち良かったぁ?」
「なんの事ですか!」
怖いよこの人!
一瞬でもこの保留荘で頑張っていけると思った私を疑っちゃう。
「悪ィな。コイツ根っからのドMなもんで」
「定規を【ピーー】にさすの気持ち良かったよぉ♪」
なにも言わないよ私は。
なにも語れないよ私は。
頑張ってね緑フードくん。
「じゃ、じゃあさっき定規投げたのは……アルヴァンスさん……?」
「それは俺………こいつ人の定規パクってSMに使いやがって!」
「だって定規は使った事なかったんだもん!」
「うるせぇ!人の定規でオ○るな屑!」
「あぁん♪その拳すごく良いよぉ♪」
「あわわわわわ」
緑フードくんの頭を優しく撫でる。あわれみの眼を向けながら。
「うぅ。マトモな人が葵さんしかいない……」
私の自己紹介は既に車内で終わらせてある。
「アンドリューは痛め付けるの好きだから君も痛め付けられたかったらアンドリューに頼むとい――」
「緑フードくんに変な事吹き込まないでアルヴァンス!」
あくまで手は出さない。口で言う。
「よくいったぞ新人!さぁ殺れ!殺るんだ!」
私達でドタバタしてると、緑フードくんがまた倒れてしまった。
よし。アルヴァンス殴っちゃおう。
「ぎゃす!」
アルヴァンスが意味不明な声を出して気絶する。
「………なにした?」
「ちょっと………ね?」
クヒヒと笑いながら手刀を見せる。
アルヴァンスはドMらしいから、一番傷付ける方法は"痛みなしに気絶させる"事。だからやったまで。
「……お前……見かけによらず危ないんだな」
「こう見えても殺人鬼だしね?………緑フードくんに悪い事吹き込まない事。まだ純水無垢な子なんだからね?」
アンドリューは葵の眼を見て感じた。
(コイツは、ヤバい)
後書き
原作「保留荘の奴ら」は大炎上した事があるらしいです。殺人鬼モデルがいる事について、そして不妊への批判。ですね。
その言葉は本作から抜かせていただきます。
不快な思いをしたら遠慮なく言ってくださいね。
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