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レプリカ

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第二章

「女の人には気をつけて」
「あとお酒にも?」
「お祖父ちゃんを見なさい、ついでにやっさんも」
 二人共挙げる祖母だった。
「お祖父ちゃん肝硬変でしょ」
「お酒の飲み過ぎで」
「毎日ビールばかり飲んでたからよ」
「そこやっさんそっくりだね」
「それでやっさんみたいに肝硬変になったのよ、痛風にもね」
 その病気にもなったというのだ。
「だからよ」
「それでなんだ」
「そう、気をつけなさい」
「さもないと」
「早死にするか社会的な人生終わるわよ」
「やっさんみたいに」
「だから身は慎んで」
 そのうえで、というのだ。
「漫才師になりなさい」
「やっさんみたいに」
「才能方面限定でね」 
 この祖母とのやり取りからだ、佳史はユーチューブ等で横山やすしの過去の動画を観てその漫才を研究してだった。
 学校でやってみた、それでクラスメイト達に問うた。
「どう思う?」
「ああ、やっさんか」
「随分懐かしい芸するな」
「俺達が生まれる前に死んだ人だろ」
「その人の真似するんだな」
「わしそっくりって言われたんだよ」
 一人称は早速真似てみている、ただ横山やすしは俺という一人称もよく使っていた。
「祖母ちゃんにな」
「まあ確かに似てるな」
「眼鏡もかけてるしな」
「それで角刈りにしたらそのままだろ」
「やっさんに見えるぜ」
「それでやってみたんだけれどな」
 彼の物真似をだ。
「似てるか?」
「ああ、似てる」
「それも結構な」
「いいんじゃね?外見も似てるし」
「そのままになれるぜ」
「そうか、じゃあな」
 佳史は友人達にも言われてだ、それでだった。
 実際に横山やすしの物真似に精進していった、そのうえで友人達に将来の夢を熱く語るのだった。
「わしは大人になったら漫才師になる」
「おい、本当にか」
「漫才師になるのか」
「それで横山やすしみたいにか」
「大物になるんだな」
「大酒飲んでタクシーの運ちゃん殴ったりしないけれどな」
 それでもというのだ。
「やっさんみたいになるぜ」
「そっくりのか」
「その人みたいにか」
「ああ、なる」 
 絶対にというのだ。
「売れっ子どころか大御所って言われる位にな」
「なるんだな」
「大物に」
「ああ、なるからな」
 こう言ってだ、そしてだった。
 佳史は横山やすしを研究してその物真似のレベルを上げていった、それを中学の間続けそうしてだった。
 高校の時もそうしてだ、所属する部活も。
 お笑い研究会だった、この部活は漫才や落語を研究していた。
 その部活に入っても横山やすしの物真似をした、それを見て部長であり市田悠一背が高くいかつい顔の彼が言った。
「自分中々いいな」
「似てますか?やっさんに」
「ああ、、いい感じだよ」
 筋がいいとだ、佳史ににこりとして言うのだった。
「そのままいったらな」
「漫才師になれますか」
「なれるんじゃないか?ただな」
「はい、漫才師だけじゃなくてお笑い芸人自体がですね」
「売れないとな」
 この現実もだ、悠一は佳史に話した。 
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