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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第六十七話






「王双様、敵の素性が分かりました」

「本当か?」

 あれから部屋に戻ると、直ぐに仲達が入って来て報告にきた。

「やっぱ劉備のところか?」

「はい、案外直ぐに吐いてくれたのでよかったです」

「暗殺隊なのに直ぐに吐いたのか?」

「そ、そのぅ………」

 急に仲達がモジモジしだした。

「大砲の発射実験にするぞと脅したら向こうも顔を青ざめて直ぐに吐いてくれました」

「………成る程な」

 発射実験で四肢をバラバラにされたくはないと思ったんだな。

「取りあえずこの件は美羽に報告する」

「はい、劉備と戦争ですか?」

 仲達が聞いてくる。

「分からんな。今は孫策軍と対峙している時だから余計に敵は増やしたくないからな。精々抗議文くらいしか送れないだろうな」

「そうですか」

 仲達は納得するように頷いた。

「仲達も今日はもう休んでいいからな」

「分かりました。それでは失礼します」

 仲達は俺にペコリと頭を下げて部屋を出た。

「さて、俺も寝るか」

 俺はゴソゴソと寝間着に着替えて布団にダイブを敢行する。

「お休みぃ~」

 俺は襲いくる睡魔にそのまま目を閉じた。







―――玉座―――

 朝飯を食べた後、俺は美羽が玉座に来ていた。

「それで、城を荒らし回っていたのは劉備の暗殺隊と言うのじゃな?」

「はい。捕らえた暗殺隊の一人が白状しました」

 俺は美羽に報告する。

「うむ………今は孫策軍と対峙している時じゃ。抗議文は送っておくのじゃ」

「分かりました。そのように手配しますね」

 美羽の傍らにいた七乃が言う。

「ところで………長門が武官をしてもらいたいと言ったのが………あれかの?」

 美羽は俺の横にいた袁紹達を睨んだ。

 いや、マジで恐いなおい。

「あら美羽さん? 何を睨んでますの?」

 空気読めよ袁紹。

「何を睨んでいるじゃとッ!? 袁紹ッ!! 貴様が妾にした仕打ちを忘れたと申すのかッ!!」

「仕打ち………何でしたの?」

プチンッ!!

 何かキレたな美羽。

「袁紹ォッ!! 早く晒し首にしてもらいたいようじゃなッ!!」

「「アワワワ」」

 顔良と文醜の二人は美羽の顔を見て震えていた。

「だから私が美羽さんに何か仕打ちでもしたしたの?」

「袁紹の首をはねろォッ!! 街に晒せェッ!!」

「お、お嬢様落ち着いて下さい」

「まぁ待て美羽」

 俺と七乃が怒り狂う美羽を抑える。

「止めるでない七乃、長門ッ!! あの澄ました顔を斬らねば妾の気分は収まらんのじゃッ!!」

「まぁまぁ。それに昨日の騒ぎを解決したのも袁紹達が手伝ってくれたおかげだ。此処は抑えて抑えて」

「し、しかし………」

「美羽の気持ちは俺も分かる。けど、喧嘩したら美羽の評価も下がってしまう。此処は抑えてくれ」

「………分かったのじゃ。長門に免じて此処は抑えておくのじゃ」

 美羽は仕方無いという表情をして言った。

「「ありがとうございます」」

 美羽の言葉を聞いた顔良と文醜は美羽に頭を下げる。

「取りあえず、この三人の面倒は長門が見るのじゃ。抑えておく代わりじゃな」

 ゲ、そう来たか。

「………分かりました。出来る限り袁紹の頭を変えてみましょう」

 俺は美羽に頭を下げる。

「それじゃ妾は劉備に抗議文を書くから此処で退席するのじゃ」

 美羽と七乃が玉座から退席した。

「王双さん、姫を助けてくれてありがとうございます」

 顔良が頭を下げる。

「構わんよ。美羽に人殺しをさせるのはな………」

「王双さん、美羽さんは何を怒っているのですか?」

「………袁紹。本気で聞いてるのか?」

「はい」

「……………」

「姫は嫌な事は直ぐに忘れる人なんだよアニキ」

 ………何か前途多難になりそうだな。







 
 

 
後書き
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