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提督がワンピースの世界に着任しました

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第01話 艦娘建造

 俺、吹雪、妖精さんの3人で行った話し合いから1週間が経った。
 1週間で俺達は鎮守府内の調査、周辺海域の調査、そして鎮守府に貯蓄してある資源の調査など調べられる限りについて調べ回った。

 鎮守府内の調査は主に俺が担当。調査の仕方は、己の足を使って一部屋一部屋見て回るという原始的な方法で時間を掛けてじっくりと行った。最初の頃は無人の鎮守府ということだったので、ブービートラップについてかなり警戒しながら調べて回ったが(罠についての対処方法については知識にあった)、危害が有るような仕掛けは一切見当たらなかった。不思議なことに、どの部屋も新築同然のようにキレイで掃除などの必要もなく今すぐ使用に耐えられるぐらいだった。何故こんな今すぐ使える施設が無人で放置されているのかについては疑問だった。何か引っかかるが、暫くの間は生活するのに不自由しないので、今は有りがたいと疑問については後回しにした。
 更に神威鎮守府の周辺も歩いて回ってみたが、どうやら近くに村や町など人々が住む場所は見当たらなかった。と言うか、人と出会うことすら叶わなかった。

 周辺海域の調査は吹雪に行ってもらった。調査範囲は鎮守府正面を15km程ぐらいまでを目処に厳重警戒で見て回ってもらった。吹雪1人に任せるのは大変だろうから艦娘を建造し終えて人出を増やしてから調査を行ってもらおうとも考えていたが、深海棲艦という脅威に備えるために海域の調査は急務で有ること、加えて吹雪もかなりのやる気に満ちて居たために頑張り過ぎない範囲で吹雪1人に任せてみる事になった。吹雪1人だけなので敵を発見しても戦闘は可能な限り避けるように、戦闘に入っても回避に専念して逃げるように厳重に命令した。更に、夜18:00までには鎮守府に必ず帰還して宿舎で十分な休養を取りつつ、夜戦は避けるよう注意しつつ調査を行ってもらった。

報告によると、神威鎮守府のある場所は大きな島だった。といっても、本州や北海道などの大きな島ではなく、吹雪がおおよそ1日で一周を回れるぐらいな大きさの島だ。しかも、海岸線沿いには村や町が見当たらず、もしかして無人島なのでは無いかという予測も出てきた。島内部へのさらなる調査が必要だろう。
それから、この1週間に鎮守府正面海域で深海棲艦と遭遇することは無かったそうだ。が、吹雪や妖精さんの話では、鎮守府が設置された海域で1週間もの長い間、深海棲艦の襲撃が無いのはかなり珍しいことらしく、これは嵐の前のなんとやらで今後も厳重警戒が必要だとのこと。

 最後に神威鎮守府に貯蓄されていた資源の調査については、妖精さんに行ってもらった。初日に妖精さんに説明してもらったとおり、この鎮守府にある資源はかなり貯蓄されているようで、今すぐ底をつくことはない。資源も不良品が見当たらない事をしっかり確認したので使用には十分耐えられるものだ。だが残念な事に調査の結果、鎮守府周辺では新たに資源を発掘・入手することが出来ないことが判明したため迂闊に消費する事はできない。
 
 妖精さんには資源の調査に平行して新たな艦娘の建造も行ってもらっていた。手っ取り早い人員確保のためである。そして、今日は建造完了の立会を行う事になっており、俺は工廠ドックへと向かっていた。

妖精さんの話では、自分1人では工廠ドックは2箇所のみを稼働させるのが限界だそうなので、その2箇所を1週間フル稼働させて完成させてもらった。ゲームならば、艦娘の建造時間なんて最大でも半日以上は掛かっていなかったが、この世界では1週間もの時間が必要だった。本来の艦娘の建造とは妖精さん達が数人体制で行うものらしいのだが、ウチの神威鎮守府には現在1人しか妖精さんが居ない。しかし妖精さん1人でも完成させてしまった事から、うちの妖精さんはチート級に優秀な事がわかった。ただ、妖精さんがいくら優秀だからといって負担をかけ過ぎて倒れることは無いようにと、この1週間はかなりヒヤヒヤしながら注意して見守ることになった。

「妖精さん、これが新しい艦娘達かい?」
 工廠ドックに到着した俺は、さっそく目に入ってきた2つの巨大な艦を眺めながら妖精さんに聞いた。妖精さんは、俺と同じように艦を見上げながら、2つの艦に最後の仕上げを施すと艦娘になると答えてくれた。

「じゃあ、仕上げに取り掛かりますね!」
 妖精さんが空中にフワフワと浮きながら何事か唱えて儀式を始めると、海面が光りだした。次に海面の光はドックに泊まっている艦に移り光り始める。それからしばらくの時間が経つと、艦を覆う目一杯の光が段々と小さく人型になっていき、遂に光が消えてドックにあった艦は消えてしまった。代わりに女性が1人地面に立っていた。同様に、妖精さんはもう片方の艦にも同じように仕上げを行い、2人の新しい艦娘が建造完了したのだった。

「あんたがココの司令官か? オレの名は天龍。フフフ、オレが来たからにはもう大丈夫だ」
「妙高型重巡洋艦の妙高と申します。よろしくおねがいします」

 左目に眼帯を付けた美少女と、おかっぱ頭の美女。新たにうちの艦隊に配属となったのは、軽巡洋艦の天龍と、重巡洋艦の妙高だった。

「天龍さんに妙高さんだな。よろしく頼む」
 俺は新しい艦娘を歓迎するために、彼女たちに近づいてから手を差し出しそう言うと、2人共“さん付け”は要らないと言いながら握手を返してくれた。これで、うちの鎮守府には駆逐隊、軽巡洋艦、重巡洋艦の三種類の艦娘が所属することになった。
艦種がバラバラになった事については偶然ではなく、実は妖精さんに建造に関して艦種が被らないようにと無茶なお願いして建造してもらったからだった。俺の注文通りに見事仕上げ見せた妖精さんは、やっぱり優秀なのだろうと再確認した。

「早速だが、この神威鎮守府は少々特殊な状況にある。今の鎮守府について説明したいから、付いてきてくれ」
 俺は新しく建造完了した2人の艦娘と妖精さんを連れて、さっそく会議室へと向かった。


神威鎮守府の現在置かれた状況について、鎮守府がある場所が特定できていないこと。資源の貯蓄は十分あるが、新たな資源入手ルートを確保できていないこと。そして、他の鎮守府等に連絡することが出来ない事。これらの現状分かっていることを包み隠さず2人に説明した。

 俺と妖精さんの説明を聞き終えた2人は、状況を理解してか深刻そうに顔を歪める。
「こんな分からねぇ事だらけの鎮守府は聞いたことがないなぁ」
 天龍が天を仰ぎながら心底呆れたという声で、今の鎮守府の状態を評する。

「資源が十分に貯蓄されているのは良いですが、新たに入手する方法が無いのは不安ですね」

 妙高はピンと伸ばした背筋のまま、俺と妖精さんの2人でまとめた鎮守府の現状についての暫定資料を読みつつ的確に現状を分析する。

「じゃあ、どっか近場に遠征に行って、有る所からか取ってきたら良いんじゃねぇのか?」
 妙高のそんな言葉にすかさず、天龍が意見する。しかし、遠征に出せない理由があった。

「神威鎮守府には周辺海域の海図が無い。つまり、現状では外海に向けての安全な航路を取ることが出来ない」
 安全な航海を行うためには必須の海図。普通ならば、鎮守府に蓄積された海についての情報や他の鎮守府、軍令部とで情報共有をして海図を用意して航路を決めるのだが、この神威鎮守府には周辺海域に関する情報が一切残されていなかった。更に、神威鎮守府があるこの島の場所の位置も特定できていないため、周辺海域状況について取っ掛かりもなく予想も立てられない。誇張など無しに、海について一から調べる必要があった。今のところ鎮守府正面海域は、吹雪に調査をお願いし海図製作にあっているが、この作業を進めるためには、とんでもなく人出と資源と時間が掛かるだろう事はたやすく予想できる。

「ゲ、海図が無いってマジかよ……」
「それは……、困りましたね」
 あまりの状況に天龍が呻くように声を漏らし、妙高が本当に困ったと言った風な顔をする。

 資源の枯渇を防ぐため、新たに資源を手に入れるための方法が必要だ。鎮守府周辺には俺たち以外の人が居らず資源を入手する方法が無いため、外海へ出る必要がある。しかし、外海へ出るためには海図が必要だ。困ったことに、神威鎮守府には外海情報の蓄積が無いために、航路の調査を進めながらの航海が必要になってくる。だが、調査するためには艦を動かすための資源が必要になってくる。そこで、最初の資源問題に戻ってくる。
 悪循環になっているが、容易に解決する方法が見つからない。だが、ここで資源節約のために調査を止めてしまえば、新たに資源を入手することが出来ず、いたずらに資源を失っていくのみで、いずれ資源が底をつくだろう。つまり、俺達が生き残るために取れる手段は、危険でも外海へ赴き海域の調査を進めること。
 
 とにかく、吹雪に加えて2人の艦娘が新たに仲間に加わったから、2人には吹雪の後に続いて鎮守府正面海域の調査を行ってもらう事にした。

 外海へ出ての調査は、少なくとも艦娘達を今すぐ向かわせるという事は考えていない。外海へ出るとしたら、後2人の艦娘を建造し終えて5隻揃えてから戦隊を組み、十分な準備を整えてからだろう。
ちなみに、今のところ艦娘は5隻集まったら建造を止める予定だ。残った開発資材の1つは“研究用“兼”緊急用“として保管しておく事を決めたからだ。

こうして俺達は、できる事から問題を処理しつつ日々を無駄なく過ごしていった。1回目の艦娘建造から更に一週間が過ぎた頃、新しい艦娘が2人仲間へと加わった。

「航空母艦、加賀です。よろしく」
「私が、戦艦長門だ。よろしく頼むぞ」
 
 冷たい表情を崩さない正規空母の加賀、凛々しい表情をした戦艦の長門、新たに加わった2人の艦娘にも、天龍と妙高に話した事と同じ神威鎮守府の状況について説明した。

 このようにして、俺達は外海へ向けての準備を着々と進めながら毎日を過ごしていった。 
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