| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

光明の魔導師〜眩き妖精の物語〜

作者:南魚座
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

出発





俺がこのギルドに入って半年くらいたった。すっかり馴染んで、今ではみんな家族のように接してくれる。特にウェンディはなぜか俺に懐いており、危険な仕事の時以外は四六時中べったりだ。みんなからは兄弟みたいだと言われる。



「フーガ、ちょっといいか?」



「どうしたマスター?」



「なぶら。この時期はニールディアーのツノ落ちの季節じゃ。森の中にツノが落ちてると思う。4本ほど拾ってきてくれんか?」


ニールディアーってあれか、この辺に住んでる鹿っぽいモンスターか。なんでもツノには強い解毒作用があり、ツノの粉末に薬草を加えた薬は万能の薬になるんだとか。



「了解した。4本だな?」



「もっと持ってきても良いぞ。あれはいくらあっても困らんからのう。」




「はいよ。じゃ、ちょっくら行ってくるわ。」



すると向こうからトテトテと走ってくる影が一つ。もしかしなくてもウェンディだな。



「フーガ!どこいくの?」



「ん、ちょっと森まで鹿のツノ取りにな。」



「私もいっていい?」



「マスター、いいか?」



「かまわんよ。気をつけて行って来なさい。」




「はい!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「おお、結構落ちてるもんだなぁ。」



以外とそこら辺に落っこっているので、わんさか取れる。ツノ拾いが楽しくなったのか、ウェンディは別のところで夢中になって拾っている。



「立派なツノばっかだな、こりゃいい薬ができそうだ……ん?」


不意に何かの匂いがした。






強い、血の匂いだ。


「……っ!」


すぐに警戒態勢を取る。すると向こうからウェンディの叫び声が聞こえた。



「ウェンディ!!」


まずいな、無事でいてくれよ…


〜ウェンディside〜


フーガと少し離れたところで、私はツノを拾っていた。


「ふふったくさん持ってったらフーガびっくりするかなぁ♪」


すると、不意に背後の茂みで音がなった。フーガかな、と思い後ろを向くと



「グルルルルルルルル………」



「ひっ!」



そこには血塗れの狼が!



「きゃああああぁぁぁあ!!」



怖い、怖いよ…フーガどこぉ?助けてよぉ………



〜ウェンディside out〜



声の聞こえた方向を頼りに行くと、そこには手負いの大きな狼に睨まれ怯えているウェンディがいた。



「このぉっ!!」



地面を強く蹴り、ウェンディを抱き上げ木の上に登る。さすがにここまでは来れねえだろ。


「大丈夫か?おっと、足を怪我してるな。どれ見せてみろ…」



幸い傷は浅かったが、爪で引っ掻かれた後がある。野生の獣に付けられた傷は浅くても酷くなる可能性が十分ある。これ豆知識な。



「フーガぁ…怖かったよ…」


「あーよしよし、もう大丈夫だ。もう大丈夫だぞ。」



ウェンディがぎゅっと抱き着いてくるので頭を撫でてやった。


「ちょっとここにいてくれ。さっきの犬っころを始末してくる。大丈夫だ、すぐ戻る。」



そう言ってウェンディを木の上に座らせ、怪我をした脚にハンカチを巻いてやった後、木から降りて狼の方を見た。


「さて犬っころよ。俺はこれでも動物は好きな方だからな。痛めつけるようなことは極力したくないんだ。だから俺らが村に戻るまでの間、大人しくしててくんねえか。」



そう言って、拘束用魔法陣を即座に組み上げる。



「なあに、半日くらいしたら解けるさ。しばらく大人しくしててくれ。」



そう言って優しく頭を撫でてやる。


さて、帰りますか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・


帰り道、ウェンディをおんぶして、体の前にカゴを引っさげてその中にツノを入れて歩いていた。


「フーガ、お話ししたいことがあるの…」


と、唐突にウェンディが切り出す。



「なんだ?」



「私のね、お母さんはね、ドラゴンなんだ…」



「ドラゴン?」



伝説なんかに出てくるな。たしか大昔は龍と人間の戦争もあったとか。


「天竜グランディーネっていうの。私はそのお母さんから天空の滅竜魔法を教わったんだ。」


「そいつはすげえな。でも俺はウェンディの母親のドラゴンは見たことないぜ?」



「X777年、7月7日に…私のお母さんは…グランディーネはいなくなっちゃったの…」


「…っ!」



失言だったか。だがいなくなっただと?



「突然…朝起きたら……いなくなっちゃって……ずっと一緒だって、思って……たのに……っ」



おぶっているので顔は見えないが、ウェンディはおそらく泣いているのだろう。



「もっと…一緒にいて……わ、私、こん…なに…ひぐっ……魔法使えるように……なったよって…うぇっ……褒めて…貰いたかったって……うっ…ひっ」



「……寂しかったよな。」



「うん…」



「辛かったよな。」



「うん…」


「大丈夫だ。」


「……え?」



お前は一人じゃない、とは言えなかった。俺も孤児院にいた時、たしかに一人ではなかったが孤独感は常にあった。だからあえて、俺はこう言った。



「俺がいるさ。」



「フー…ガ?」



「そうだ。俺がお前を守る。何があっても俺たちは一緒だ。」



ウェンディの嗚咽が止まる。



「俺が、お前のお兄ちゃんだよ。」



絶対に守ってやる。孤独感なんて吹き飛ばしてやる。そう決意をして、言葉を発した。



「フーガがお兄ちゃんかぁ…」



「俺じゃ、不満か?」



「ううん。すごい嬉しい…フーガ……すぅ…」



「寝ちゃったか?」



〜ウェンディside〜


フーガが私のお兄ちゃんになってくれるっていって、とても嬉しかった。なんだろう、胸がドキドキして奥があったかくなる…こんな気持ち、初めてかも……
安心して、急に眠くなっちゃった…今日から私、フーガの妹だよね?じゃあ少し甘えてもいい…よね……



〜ウェンディside out〜





結局、村に着くまでウェンディは眠っていた。


「おーい!誰かウェンディ診てやってください!」


「どうしたのじゃ?」



「マスター、ウェンディが野生の獣に引っ掻かれた。幸い傷は浅いが菌が入ると危ない。ちょっくら診てやってくれ。」



「おお、よしよし。どれどれ……」



「じゃあツノはここに置いておく。俺は家に戻るよ。ウェンディを頼んだ。」



「分かった。任されよう。」



とはいえ、疲れたなぁ……




・・・・・・・・・・・・・・・・・・



さらに一年が経った。今では俺とウェンディは同じ家に暮らしている。小さいが庭もあるいい家だ。あ、部屋は別々だぞ?さすがに。でもまあたまに、ウェンディが夜俺のベッドに潜り込んでくることはあるが。


そんなある日、ウェンディが卵を持って帰ってきた。森を散歩をしてたら見つけたんだとか。



「でっけえなぁ……つうかモンスターかなんかの卵じゃねえ?どうする?孵った瞬間食われたら。」



「大丈夫だよ!………そんな気がする……多分。」



最後の方はかなり小さい声だった。危なっかしいな、オイ。


つーか…


「卵、なんかピクピク動いてんぞ。そろそろ孵るんじゃねえ?」




「え?本当だ!がんばれ!がんばれ!」



卵にエールを送るウェンディ。うん、なんかシュール。



ピキピキピキ………パカッ!!



小気味いい音を立て孵化した卵から産まれたのは…



「フーガ!猫だよ!」



「よく見ろウェンディ。あれは猫のような何かだ。猫が飛ぶわけねえ。」



つーか猫は卵から孵らねえ。もうちょい猫らしく振る舞え。でもまあかわいいもんはかわいい。ウェンディはさっそくその猫(?)を抱き上げて撫でていた。



「ねえねえフーガ、この子の名前どうしようか?」



名前?ああ、もう飼うことは決定なのね。まあいいよ。特に問題もなさそうだし。



「そうだなあ…まあウェンディがつけてあげろよ。」



「そうだなあ……あ!シャルル!シャルルってどうかな?」



上品な名前だな。まあこの白猫にピッタリだ。




「いいんじゃないか?」



「よろしくね!シャルル!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・


さらに5年以上の月日が経った。今ではウェンディは12歳、俺は13歳。すっかり大きくなった。シャルルも最初は俺たちとの間に壁を作っていたが次第に打ち解けていった。無愛想だがいいやつだ。ツンデレ乙っていったら引っ掻かれた事もあったな。痛かったよ。


今俺たちはローバウルの元に呼ばれている。なんでも重要な話があるとか。



「なぶら、2人ともよく聞いてほしい。」




「どうしたんですか?マスター。」



「俺は仕事終わってかなり疲れてるんだが後じゃダメか?」



「まあ待て。ここ最近闇ギルドの動きが活発になっておっての。いよいよ無視できんところまで来たのじゃ。」



「闇ギルド?んなもんでけーギルドの方にでも任せときゃいいじゃねえか。バラム同盟くらいだろ、俺らが気にしときゃいいのは。」



闇ギルドなんて物騒なもんより牛の乳搾りや森で歌ったりしてえんだよ。


「まさにそれじゃ。バラム同盟の一角の『六魔将軍(オラシオンセイス)』じゃが…』


「…え?あの、バラムなんとかって……」



完全に話についてこれてないウェンディ。まあ知らなくても支障はないんだけどな。



「その六魔将軍がどうしたって?」




「なぶら。ワシら化猫の宿が討つ事となったのじゃ!」



ほほう、どうやらマスターは酒の垂れ流しすぎで頭をやられたようだ。



「マスター、気付け薬なら奥の棚の2段目にあるぜ?」



俺が間違って酒飲んじまって酔い潰れた時にも役に立ったいい薬だ。味はアレだがな。



「まあ聞け。最近届いた情報じゃが、六魔将軍の動きがおかしくての。調べてみると奴らは"ニルヴァーナ"と呼ばれる魔法を探し求め、我が物にしようとしておる。」




「あの、ニルヴァーナって…」



と、ウェンディ。だがマスターは渋い表情を浮かべ首を横に振った。



「ワシも詳しくは知らんが、恐ろしい魔法じゃ。あれが闇ギルドへ渡ることは何としても阻止せねばならぬ。そこで妖精の尻尾、蛇姫の鱗、青い天馬、そしてワシら化猫の宿で連合を結成し、六魔を討つ。何としてもヤツらにニルヴァーナを渡してはならぬ。」




「えっと…それって……」



「なるほどな。で、俺とウェンディがここに呼ばれたっつーことは」




「その通りじゃ。それに妖精の尻尾には滅竜魔導師がいるらしいからの。ウェンディのドラゴンのことも分かるかもしれん。」




「本当ですか!!」



「出発は明朝。今日は家に帰って休め。」



「はい!」



「了解した。」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・



翌朝



「それじゃあマスター、行ってくるぜ。」



「行ってきます!」





「なぶら。気をつけて行って来なさい。」




村の入り口まで見送りに来てくれたマスターに挨拶をし、俺たちは村を出る。



「シャルル、ここから目的地までどれくらいだ?」




「そうね、そこまで遠くはないわ。歩いて2時間の所で馬車に乗るわ。」



「そうか。ならまだ歩くか。」


さて、無事に目的地へ辿り着けるかね?





 
 

 
後書き
読んでいただき、本当にありがとうございました!今回、終わり方が微妙で申し訳ありません!次回からニルヴァーナ編です。一気に時間経過を早めたのは単純に書く能力の無さです。読み苦しく本当にすみません。
ご意見、ご感想を書いてくれた皆様、本当にありがとうございました!
この作品に目を通してくださった時に、何かご意見、ご感想などありましたら情け容赦無く、感想欄に書き込んでください。どんな些細な事でも結構です!それでは、次回もよろしくお願いいたします。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧