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俺の名はシャルル・フェニックス

作者:南の星
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狼煙と不死鳥

1ヶ月が経った。

今日はレーティングゲームの日だ。

来賓――――魔王(サーゼクスさん)
グレモリー公爵家
シトリー公爵家
と豪華な方々がフェニックス家のお家騒動でしかないこのレーティングゲームに集まった。

おかしい。本当におかしい。

リアスだけなら愚兄のラインからこの催し物の観覧に来るのは分かる。

俺の敗北をリアスに見せて政略結婚を反対されないようにしたい愚兄の策略だろう。たぶん。

けれど、何故グレモリー当主とその夫人が来る?

それに飽きたらず、何故魔王であるサーゼクスさんまで来た?

あんた、魔王だろ?

忙しいはずだろ?

なんで非公式で無名なプレイヤーのレーティングゲーム見に来てんだよ。

未来ある若者の初陣を見にきた?

そんだけで動けるほど魔王のフットワーク軽いのかよ。

呆れた。

そしてシトリー家。

ソーナの友人の初陣を見にきた?

そんな理由でお家騒動に乱入してくんなや。

まぁ、見に来てるのが公爵家、魔王とフェニックス大侯爵家より格が上が見に来てるんだ。

俺が勝った時に「やっぱり無しで」とは言えねぇ。

ちょっぴし癪だが、まぁ、礼は言っとこう。

見に来てくれてどうもありがとうございます、ってな。

さってと、他人のことはそこまでにしといて自分の事をしよう。

まず、名はヴィレーネ・アンドロマリウス。

ソロモン72柱の72番目の悪魔である伯爵家の長女。

眷属はフルメンバーの15。

大会にも出場してるが余り成績は良くないと。

これが、大まかな相手の情報だ。

細かいので言うと、王のヴィレーネは水の魔力が得意らしい。

女王は男で氷が得意だったか。

僧侶二名は元魔法使いらしく、こちらも水系統の魔法を使う。

こちらは両方とも女

戦車は格闘戦が得意なのが一名、斧を使うのが1名で両方とも男。



騎士は2名ともが槍で男。

兵士は剣で戦うのが3名で男2女1、魔力を使うのが2名で男1女1、普通の銃で戦うのが3名で男1女2っと。


魔力を使う兵士は両方とも水系統が得意と。

完全に水に片寄ってやがるな。

そんな奴らを火の鳥と呼ばれるフェニックス家の婚約に?

嫌がらせかよ。親父様。

みみっちぃな。

と、皆に説明すると恋以外の皆は苦笑した。

「ってと、そろそろ開始時間かねぇ」

「早くして欲しいにゃん♪
シャルルを自分の金稼ぎのために使おうとしてるクズを潰したいわ」

とクックックッと黒い笑みを浮かべる。

おおぅ……恐っ……この過保護猫様は。

ってか背後から覆い被さってくるのは構わんが耳元で囁くな。擽ってぇ。

「うふふふ。そうだよね。シャルちゃんを奪う泥棒猫なんて火炙りにしないと駄目だよね。うふふ」

と、目の前のソファーに座る女王様が恐い目をして呟いてた。

こっちにも居たか。黒くて恐いやつ。

それに猫なら俺の後ろにいるぞ。

「くふっ、殺る気満々ですなぁー」

おい、外野目線で見てんじゃねぇ。

ぜってぇ、お前に一番キツい役回すかんな。

「つーか、理子てめぇ菓子食い過ぎだ。
没収だ、没収」

理子の前に置かれている菓子類の大半をひったくり、半分をじぃーっと欲しそうに見ていた恋に、半分を俺へと分けた。

「のわー!り、理子りんの栄養素が!?
うー!おーぼーだぁ!いじわるだぁ!」

ぐすんぐすんと嘘泣きをしながら片手を掲げて抗議。

子供かっ!って子供だわな。

11歳なんだし。

つーか、ここにいる奴らで一番の長者である黒歌でも16かそこらだからなぁ。

最近胸が大きく実ってきてその凶器でよく誘惑してくんだよな。

11歳に十八禁的なこと求めんなよ。

まだ毛すら生えてねぇんだぞ。

っと話がズレた。

「あんま食い過ぎてっとてめぇ吐くぞ。
一番忙しくする予定なんだから」

「うぎぃ!雪ちゃん!黒ちゃん!シャーくんがいじめるよぉ!」

うわぁぁんと嘘泣きしながら白雪に抱きつく。

ほかっとこ。

理子から奪った菓子の袋を開けようとしたその時、ちょうどタイミングの悪いことにコンコンコンと部屋の扉がノックされた。

「失礼します」

そう言って待機室に入ってきたのはメイド服を着たグレイフィアさんだった。

ニィッと口角が上がり、自分でもそうだと分かるほど獰猛な笑みを浮かべる。

なんたって最強の女王が目の前にいるんだ。

戦ってみたい、そう思うのは当然のことだろう?

「そろそろ時間ですので、皆さま、魔方陣の方へ」

そう言われたので、開けた菓子を口に突っ込み、部屋のすみにある魔方陣へと向かい、のる。

「良いゲームを」

と見送られゲーム用の異空間へと転移した。



◇◆◇◆◇



「どうだったかな?
シャルルくんは」

「はい。部屋に入った瞬間に――いえ、入る前から闘志を向けられました。
まるで鷹のような」

「ハハハハ、そうか。
面白い子だね。彼は」

「そうでしょうか?
ただ強がってる子供のようでしたが……」

「うん。そうだね。
彼は強がってる子供のようだ。
不安定で脆く儚い。
それでも強くなろうとしてる。
それに――」

「それに?」

「私は彼に勝負で負けたよ。
この前実家で彼にたまたま会った時にね」

「――!?」

「驚くのも無理はない。
私自身驚いたよ。
まさか一撃いれられるとは……」

「それは……」

「その後、彼に言われことがある」

「何と言われたのですか?」

「『勝負では勝ったかもしれない。だが、こんなもの俺は勝ちと認めない。
まだとどいてないからな』と言われたよ」

「それはまた……」

「負けず嫌いの子供のようだろう?」

「……はい」

「けれど、彼なら本当にしかねない。
それに彼は私と同類のような気がしたからね」

「……そんな……」

「本当に楽しみだ。
リアスはいい友を持ったようだ」


◇◆◇◆◇



 
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