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グランバニアは概ね平和……(リュカ伝その3.5えくすとらバージョン)

作者:あちゃ
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第14話:美女の修行

 
前書き
お久しぶりです。
病み上がり初の更新です。
リュリュちゃんです。 

 
(グランバニア城・外務大臣執務室)
リュリュSIDE

「さぁ、2年という月日はアっという間ですよ! 時間を無駄にしない為にも、私の修行に手を貸して下さい兄上殿♥」
私はティミー君の執務室で、部屋の主に修行の手伝いをお願いしてる。

お父さんが私にチャンスをくれたから……
2年後に行われる闘技大会で優勝すれば、私の夢だった“お父さんとセッ○ス”が叶うのだ!
これは頑張るしかない。その為にも修行あるのみですよ!

「絶対にヤダ」
……おや? 何時も優しいお兄様が、何やら拒絶っぽい言葉を言った様だったけど……気のせいよね?
だってティミー君は何時でも私の味方だったもの。

「あのねお兄ちゃん。私、強くなりたいの。今よりももっと強くなりたいの。だから私より強いお兄ちゃんに鍛えてほしくて……天空の剣を使って稽古を付けてくれて構わないから、私の修行に付き合ってよ♥」

「だからヤダって。絶対にイヤだってば!」
お、おかしい……胸を寄せて可愛らしくお強請(ねだ)りしてるのに、ティミー君が協力を拒んできた。
以前ポピーちゃんに教わった、ティミー君を説得する大技を使ったのに!?

「な、何故でしょう? 可愛い妹の為に、お力を貸しては頂けないのですか?」
何時も喧嘩してるポピーちゃんですら、胸の谷間を強調してお願いすれば、デレっと協力してくれるって言ってたのに……私の胸の谷間は魅力無しですか?

「いや、だからさぁ……協力したらリュリュの処女が父さんの物になるワケじゃん。イヤだよそんなの! 僕に今ここで処女をくれるって言うのら、協力しても吝かではないけど……」
何て事を新妻の前でシレっとぶちまけちゃってるの!?

奥さんに胸座を掴まれ「身重の妻の前で何ぶっちゃけてんの!?」と詰め寄られながらも、「いや……でも……これは僕の本心だし……昔から狙ってたワケだし……」と言い訳になってない言い訳を続けるティミー君。

最近みんなが“エロさ増量ティミー殿下”と噂してたが、真実だったとは予定外ですぅ……
いきなり予定が狂いました。
世界で2番目に強い人に稽古を付けて貰えば、順調に強くなれると思ったのに。

世界一強いのはお父さんだけど、私との肉体関係を避けたがってるから、稽古は付けてくれないでしょう。
何よりお父さんは手合わせを要求されるのが大嫌いですからねぇ……困りました。
新婚早々喧嘩をする2人を尻目に、私は外務大臣執務室を出て行きます。



(ラインハット城)

困った時は原点に戻るべし!

そう、私に剣術を教えてくれたのは、ラインハットで兵士をしているデルコさんなのです。
彼はお父さんの愛人であるマリソルさんの弟さんです。
以前から私にも優しくしてくれてましたし、お願いすればきっと協力してくれるはずです。

子供の時から来てた事のあるラインハット城……今では顔パスで入城可能な私。
サクサクと城内を進みナタリアさんに遭遇。
彼女はマリソルさんのお友達でデルコさんの奥さんです。

「こんにちはナタリアさん。デルコさんは城内にいらっしゃいますか?」
「こんにちはリュリュ……まさか本当に来るとは……」
私を見るなり驚いてるナタリアさん……何なんでしょうか?

「あの……何か?」
「いいえ、こっちの事よ。え~とデルコよね? 今日は中庭で訓練してるはずだから、訪ねてみると良いわ」
和やかに笑い話をはぐらかされました。何か隠してますねぇ……

多分追求しても答えないでしょうから、私も笑ってお別れします。
なんせ今はそれどころじゃないのですから。
少しでも早く修行を開始しないとならないのですから!



暫く城内を歩き中庭に出ると、ナタリアさんが仰ってた通りデルコさんと部下の方々が訓練を行っています。
総兵士長のデルコさんの下、私のお友達でもあるマックさんやシグさん・コルトさんが中隊長として部下さん達を鍛えています。
新人さんが多数入隊した様で、私の知らない方々も大勢居ます。

「げっ、本当に来た……」
おお!? 何だか歓迎されてない言葉が……
何でしょうか、私を見るなりデルコさん酷い。

「あのー……」
「やぁリュリュ、突然どうしたんだい?」
聞き間違いだったのでしょうか? デルコさんは何時もと変わらず優しそうに話しかけてくれました。

「よし、マック中隊! 今から全員でマラソンだ!」
「シグ中隊も行くぞ!」
「コルト中隊も両中隊に続け!」

「ちゅ、中隊長……そ、そんな予定は聞いてませんが……?」
「黙れ! 戦場では物事が予定通り進むと思うなよ! 各中隊長に従い、全員50キロのマラソンだ、行け!」

打ち込み訓練をしていた兵士さん達だったが、突如中隊長のマラソン希望により、フル装備の50キロマラソンに突入した。
皆さん納得してなさそうですが、総兵士長の命令なので諦めて駆け出します。
私……タイミング悪かったですか?

「いやぁ~済まんね。最近の新兵は直ぐに文句を言うから……で、何の用だったけ?」
なるほど……新兵さんを甘やかさない為に、突然過酷な訓練に突入させたのですね。
流石デルコさん。出来る男は違います。

「あ、あのですね……グランバニアで2年後に行われる闘技大会に、私も出場する事が決定したんです。で、特訓を行いたいと思いまして、デルコさんに協力をお願いしようかと参りました。お願いできますか?」

「はぁ……だ、だけど……俺なんかより世界一強いリュカさんに頼んだ方が良いんじゃないかなぁ……リュリュはグランバニアで働いてる訳だし、リュカさんの方が何時も側に居るからねぇ……今の俺じゃぁ、十分強いリュリュをこれ以上強く出来ないよ」

「いえいえいえ……デルコさんは十分私より強いですよ。それにお父さんは手伝ってくれないのです。何故なら闘技大会で私を優勝させたくないから……私が優勝したら、お父さんは私を愛人にしてくれるって約束したんです。だから協力はしてくれないのですよ」

「……では尚更協力は出来ないな」
……あれぇ!? ここでも協力拒絶運動?
ティミー君は解ります……だってエロメンになっちゃたから!
でもデルコさんは私になんて興味ないでしょう! 私の処女が誰の物になったって問題ないでしょう!?

「な、何故ですかぁ?」
「何故って……リュカさんに敵対したくないからだよ」
はぁ? 何で私の修行に手を貸す事が、お父さんとの敵対に繋がるのでしょうか?

「俺はね、ラインハットで兵士をしてるけど、忠誠心はリュカ陛下に向いてるんだ。そのリュカ陛下が嫌がる事に協力するなんて……」
「私が強くなる事をお父さんが嫌がる訳ないじゃないですかぁ! 何を言ってるんですかデルコさんは?」

「あのねぇ、考えてみなよ。リュリュは闘技大会で優勝する為に強くなろうとしてるんだろ?」
「そうですよ。修行して闘技大会で優勝するんです!」
何度もそう言ってるじゃないですか。

「優勝するとリュカ陛下にお願い事を言えるんだろ?」
「そうですよぉ、お父さんが言ってましたもん! 『優勝したらお前の願いを1つだけ叶えてやる。他人の人生を蔑ろにしない範囲で、僕に叶えられる事なら何でもね』って言ってくれましたモン!」

「じゃぁリュリュは、どんな願いを言う気だ?」
「ですから『私をお父さんの愛人にして』ってお願いするんです! 私の夢ですから……子供の時からの憧れですから!!」
そして大好きな人に処女を捧げるのです!

「はぁ……リュカさんは近親相姦を嫌ってるだろ。それなのに、そんな事を願おうとしてる奴に協力するなんて、敵対してるのと何ら変わらないじゃないか」
「あぁ……言われてみれば!!」

「本当に気付いてなかったのか?」
全然気付いてませんでした……
デルコさんが呆れた目で私を見てますぅ……

「で、でもでもぉ……内緒で修行しちゃえば大丈夫じゃないですかねぇ?」
人差し指を口元で立て、秘密を表すジェスチャーでデルコさんに縋ってみる。
「そうだなぁ、あの人は抜けてるから誰にも言わずに修行すれば気付かれる事はないな!」

「何を言ってるんですかデルコさんは!! お父さんは抜けてませんよ。鋭いんですよ! 神様だって頭が上がらないほどの偉人なんですよ!」
「そうだよ。だから秘密で修行なんて無理なんだよ!」

あぅ~~~……
私は何を言ってるんだ先程から!?
全然ダメじゃん……何か全然アホの子じゃん!!

頭を抱えデルコさんの前で蹲る。
何にも良い方法が浮かばない。
お父さんが凄すぎて、全然私ってばダメ。

「どうすれば良いですか? 私、どうすれば良いのですかぁ!?」
尽く協力予定者が敵対者で、私は混乱祭り実施中。
「諦めろ、と言う事だろう。大体その夢自体が間違ってるんだから、もっと健全な恋をしろよ。リュリュなら選り取り見取りだろうに……」

「何を言ってるんですかデルコさんは!? お父さん以上の男なんて居る訳ないんですよ。マリソルさんだって凄く美人なのに、お父さんの事が忘れられなくて独身じゃないですか……子供が居るのに!」
そうですよ……ズルいですよ!
私もお父さんの子供が欲しいのにぃ!

「あのなぁ……姉さんはリュカさんと血が繋がってないから問題ないんだよ。お前はガッツリ血が繋がってるだろ! それが問題なんだって解れよ! ポピー様だってファザコンの気があるけど、コリンズ様とご結婚なさり幸せになったんだぞ」

「私の幸せはお父さんとあるんですぅ! もう、ポピーちゃんはポピーちゃん! 私は私なの!」
私とポピーちゃんは考え方も行動理念も別なんですから……
あ、そうだ……ポピーちゃんに相談しよう!

ポピーちゃんは私と違って色々詳しいから、何か良い案を考えてくれるかも。
そうと決まったらこうしちゃ居らんないわ。
「もういいです、デルコさんには頼りませんから! ポピーちゃんに相談してきます」

スッと立ち上がり、私はデルコさんの前から去って行きます。
城内に入ろうとした瞬間に「やれやれ……解ってないなぁ……」とデルコさんの呟きが聞こえました。
どういう事ですかね? まさかポピーちゃんまで敵ですかねぇ!?

リュリュSIDE END



 
 

 
後書き
最近アホの子化してきてる……
困ったもんだ。 
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