モンスターハンター ~厄災の狩人達~
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黒蝕の陰、天廻の陽
ナグリ村へ到着
前書き
未知の樹海にて不気味な黒い影をぶっ飛ばした一行は、この大陸でも随一の加工技術を誇るナグリ村へ到着。
ジャックスの話では村はいつでも鎚の音が響き渡り、傍を流れるマグマが血潮の如く血気盛んに働いている土竜族という人々が暮らしているという。
「おっ、見えてきた。おーい、そろそろナグリ村だぞ!」
ジャックスが帽子を上げ、地図と己の目を頼りにナグリ村を確認した。
「ん~…変だな。いつもならもう熱気とハンマーの音と村長のバカでかい笑い声と掛け声で溢れてておかしくないんだが…皆寝てるのか?」
「…寝ててもマグマは…流れるはずだ。」
アプトノスの燻製肉を口に運びながらガートン。
「うーん…ナグリ村周辺は火山地帯で地質的には安定してるはずなんだが…。あ、ガートンそれ一個くれ。」
「…分かった。」
ガートンから渡された燻製肉をジャックスも口に運ぶ。
「ん!?この燻製肉うめぇな!お前が作ったのか?」
「…作ったのはアルフレッドだ。…エイン村の保存食らしい。」
「ほぉ~…酒の肴にちょうどいいかもしれん。村に着いたら作り方を聞こう。」
荷車は車輪を軋ませてナグリ村へと進んだ。
ナグリ村。
ラスガルス大陸の中央部やや東側に位置する。
近くにはガルガン地底洞窟が存在し、ラスガルス大陸有数の鉱脈として認知度が高い。
驚くべき事にこのガルガン地底洞窟には「火山期」というものが存在する。
通常洞窟と言うと火山とは到底かけ離れたイメージがあるが、ガルガン地底洞窟は正式名称を『ガルガン山底洞窟』という。
その名の通り地質が激しく変動するこの大陸にある火山が故、休火山となったガルガン山ですら活火山のように噴火することもある、そんな山の足元に入り口がある洞窟である。
ここには鉱石を食料とするモンスターも居るようだ。
…が。
「…やっぱし変だ。もう夜が明けてるのに火山は暗いしハンマーの音も聞こえてこない。」
3つ目の燻製肉を食べながらジャックス。
「…食べ過ぎだジャックス。」
それを注意するガートン。
「それはこの際置いとくとしても、未だかつてこんなに活気の無いナグリ村は初めて見るぞ…?」
ガートンはめぼしい場所を見つけるとそこへ荷車を止めた。
「おい、お前さんがたちょっと急いで支度を…」
と、アルフレッド達が寝ている荷車に向かったが
ドアの前に張り紙を見つけ、ジャックスはこれを凝視した。
「邪魔したら団長でも許しません、か…これはそっとしておこう。命はむやみに投げ捨てるもんじゃないしな。」
と、そこへ
「どうかしたのか?」
と、防具に身を包みいつものハンマーを背中に担いだダイラスとその陰に隠れるかのように同じような風貌で佇むマトレガの姿。
「おお、お前たちちょうど良かった。ここがナグリ村なんだが、俺たちが知っているいつものナグリ村と様子がまるで違うんだ。俺たちはここでキャラバンの設営をするから、お前たちは村長さんや村のみんなの様子を探ってきてくれないか?」
「分かった!…で、村長さんってどんな人だ?」
ここナグリ村は、ラスガルス大陸でも一番優秀な加工技術を誇る『土竜族』という種族が暮らしている。
土竜『族』とは付くものの元の人種は竜人族からで、環境適応種である。
ナグリ村に住まう土竜族は皆丸く頑強な体躯をしており、体の大きさより大きいハンマーを軽快に振るう。
中でも反り返ったヒゲを蓄えている村長が持つハンマーは、母親から譲り受けた家宝のような物らしい。
「あーえーっと、ここから奥の方へ行くと体と同じくらいの大きさのハンマーを片手で持っている、ヒゲが空に反り返った男が居るはずだ。その人が村長なんだが…」
「分かった、行ってくる!」
と、マトレガの腕を引っ張りながら村内を歩き始めた。
「頼んだぞー!」
と、ジャックスは帽子を振ってダイラスを見送った後、六個目の燻製肉をかじりながらキャラバンの設営をし始めた。
「い、一体これは…?」
ダイラスが目の当たりにしたのは、黄色い服を着て丸い体つきをした男達が地面に座り込み悲嘆にくれている様子だった。
ダイラスはまず道具屋らしき男に声をかけた。
「あ、あのー…どうかしたのか…?」
黄色い服の男は気だるそうに
「あー…?あんちゃん客か…?」
と答え
「悪いが今日はなーんにもやる気が起きないんだ…金払うなら何でも持ってってくれ…このへぐなちゃこが…。」
と、そのまま地面に伏してしまった。
「こ、こりゃひでぇ…。ってかへぐなちゃこって何だ…?」
「"へぐなちゃこ"っていうのはどうやら土竜族の方言のようだね。」
ダイラスが振り返ると、そこには若干頬がこけ落ちた表情でいつもの白衣を着たアルフレッドと、さも満足げに輝きに満ちた表情のアルマが居た。
「アル、遅かったな。どうやらこのおっちゃん達元気が無いらしいんだ。」
「理由ならアルマさんに…いや、やめとこう。何も聞かないでくれ…。」
アルフレッドも疲れたような表情をした後
「とりあえず大方の話は団長から聞いたから、まずは村長に会いに行ってみよう。」
ダイラスたちと村長が居るという村の奥部へと歩いていった。
村の奥にたどり着くと、ジャックスの言う通り体とほぼ同じサイズのハンマーを地面に置き、これまた悲哀の声を漏らす男が座っていた。
「すみません、この村の村長さんですか?」
アルフレッドが声をかけるが、村長らしき男は一向に顔を上げない。
「これはダメだ…完全に元気が無い様だね。どこかに話を聞ける土竜族の人が居れば…ん?」
と、アルフレッドがちょうどガートンが炉を置いた辺りに居る女の子を発見した。
「あの子は他の人たちと違って元気がまだあるように見えますね。」
「そういえばあのコ、しきりにこっちを見てたわね。」
と、横からアルマも。
「じゃああの女の子に聞いてみようぜ!」
四人は彼らを不思議そうに見る女の子に話を聞くことにした。
「おにーさん達どこから来たの?」
まだ小さいながらも土竜族の象徴であるハンマーを片手に持つ女の子がアルフレッド達に先に話しかけた。
「僕達はこの村からずっと遠いところからやってきたんです。…ちょっと聞きたいことがあるんですけど―」
「ああ、あんちゃん達の話でしょ?」
質問を終える前に女の子が話し出した。
「私達は洞窟や火山から採れる鉱石と、火山から流れてくるマグマを頼りに暮らしてるんだ。けど、ちょっと前に火山からマグマが流れなくなっちゃったの。」
女の子は山の方を見上げながら更に話を続ける。
「それで、マグマが流れなくなった原因をあんちゃん達が探りに行ったら!洞窟の奥からものすっごーい怖い顔をしたテツカブラってモンスターが岩でマグマを塞いでたの!」
女の子は身振りでその大きさを示しながら話した。
「て、テツカブラ?何だそれ?」
「テツカブラ…ああ、思い出した。確か最近報告された両生種ってモンスターのうちの一種だね。
地中から岩石を掘り起こし、それを使って巣の造営をしたり敵を攻撃したりするっていう。」
アルフレッドはポーチから学会の報告書を取り出し、ダイラス達に見せた。
「ひぇーっ!何だこのでっけえアゴと牙!?アカムトルムが裸足で逃げ出すぞ!?」
「さ、さすがにアカムと比べるのはどうなのかしら…」
三人は一旦その風貌に驚いたが
「けど、そんなに強そうでもないわね。」
「…一人でも勝てそう。」
「だよなぁ、何かハンマーでアゴ粉々に出来そうだし。」
と、反面強さのほうには落胆しているようだった。
「とにかく!マグマが流れなくなったからってあんちゃんも父ちゃんも元気をなくしすぎだよ!
お客さんが来てるのにあんなのじゃ見てるこっちが恥ずかしいよ!」
と、どうやら土竜族の生命線を断ったテツカブラではなく自分の家族達に怒りの矛先を向けているようだった。
「あはは…あ、そうだ。村長さんと一応話をしておきたいんだけど、話を通してもらえるかな?」
「分かった!後で私から話しておく!…ねぇ、ハンターさん。あんちゃん達に元気になってもらうために、テツカブラを倒して来てくれない?」
と、女の子が頼みごとをしてきたのを確認したアルフレッドは
「ようやく依頼が来ましたよ皆さん。」
「とりあえずテツカブラはデカそうだし、ハンマーで一撃に出来ればラッキーだな!」
「…準備は出来てる。」
「朝までのお楽しみからいきなりはちょっと応えるけど、ウォームアップにはちょうどいいわね。」
と、全員のコンディションをチェックし女の子に
「今からそのテツカブラを倒してマグマを流れるようにしてくるから、村長さんにその事も追加で話しておいてくれるかな?」
「…うん!ありがとハンターさん達!」
と、元気よくお礼を言った後へたり込む村長の下へ向かった。
「さ、行きましょう。村がこんな状況ですし、報酬なんてとてもいただけませんから。全員ボランティアですよ!」
「私はアナタからご褒美をもらうとするわね。フフフ♪」
「…善処します。」
と、四人は料理長ネコの下へ歩いていった。
後書き
あとがk(1/28 PM10:40更新)
(´‘ω‘`)改めまして正規版のあとがきとなります。
(´‘ω‘`)私ちょくちょく累計ビュー数とユニークユーザー数をチェッコしてるのですが、この小説7350ビューもされてました。
(´↑ω↑`)拙い文章にも関わらず7350回も読まれたと思うと、アマチュア冥利に尽きます…
(´‘ω‘`)ささ、お次の話はいよいよマップ:地底洞窟にてテツカブラとの戦です。
(´‘ω‘`)余談ですが私最近MH4Gを買いまして、フレンドと上位装備でザボ亜に挑んでフルボッコにされました。
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