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『自分:第1章』

作者:零那
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『沼』

不倫相手、翔平は、徐々に独占欲が強くなり出した。

最初は、理解があって優しくて、勿論、娘にも凄く優しくて、率先して遊んでくれてた。
何より娘が翔平を凄く好いてた。

3人で居ると、本当の家族のように思えて楽しかった。
旦那とは、家族3人で何処かに行ったことが無かったから...


翔平は、デリを辞めるようにと言うようになった。
辛いって泣くようになった。
正直、泣く男は嫌い。
理解してた筈。
だから尚更『何言いよん今更』って思った。

零那も、ズルズルする気は無い。
店に損害賠償的なもん払い終わったら辞めるつもりや。
店長変わってヤクザよりタチ悪くなって最悪やし。


この頃、新人やけど1回り上くらいのお姉さんから『良い話』を数人で聞いてた。
移店の話。
〇龍会の幹部からの誘いらしい。
自分も接客した事ある人やった。
背中一面の墨が美しくて、何処の彫り師なん?とか色々話してて、写メも撮らして貰ったから良く覚えてた。

で、お姉さんが店の不満を零したら引き抜きに誘われたって。
他に辞めたがってる子にも声かけてみてって。
良くある話やけど、タイミング的にも、皆すぐ乗っかりたいくらいやった。

デリのくせにソープまがいのサービスさせられたり、不満だらけの女の子は多かった。
そんなハードなサービス強要するくせに、取り分は変わらんどころか、集客の為の割引ばっかりやから減っていく一方。
高級感なんか一切無くなった。
サービス向上で割引ばっかりやったら、そりゃ集客できて当然やろ。
会長は、そんな当然の事に過大評価してる。
アホなんか?


翔平は、たまたま知り合いが零那の居る店行ってることを知って、誰を指名したか聞いたらしい。
零那では無かった。
でも、どんなことしてるか聞いたらしい。
凄くショック受けたらしい。
それから毎日、辞めてと懇願された。


せめて今の店を辞めれたら...

 
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