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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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誕生

<グランバニア>

「わ、私はどうすれば…」
「うん。お前……新たに国を造って国王になれ!」

「……………はぁ!?」
誰一人リュカの言っている意味を理解出来ない。
「あぁ別に『国王』じゃなくてもいい…『神王』でも『皇帝』でもなんでもいい!ともかく天空城を地上に降ろし、領土を確保して国家を立ち上げろ!そしてそれを統治すれば、もう少し人間の事が解ってくる…国王を勝手に拉致る事の重大さも!」
リュカは(マスタードラゴン)に対し、国政を行うよう命令する…提案ではなく命令を!

「そ、そんな事出来る訳ないでしょう!私は神として世界を統べなければならないのですよ…なのに、一国家だけに限定して統べるなんて…」
「何言ってんだお前…大昔に『世界は平和になったから、神の力を封印して普通のオジサンになりたい!』とか言って、世界を統治する事を放棄したのはお前だろ!その所為でミルドラースが台頭し、光の教団なるインチキ宗教が世界を混乱させたんだぞ!」
パパスの死も、それの影響であるとは流石に言わず、鋭い眼光で圧力をかけてくるグランバニア王。

「で、ですが…「それにそうすれば、今回のように神の力を求められても、人間の力で解決する方法を提示する事が出来たんだ!」
反論を許さないリュカに、プサンは何も言えなくなる。

「もしくは天空城をよこせ!」
「な、何でそうなるんですか!?」
全く無関係な要望に怒りを表すプサン…

「天空城をセントベレス山の麓に下ろし、リュリュに女王になってもらう!グランバニアと強い繋がりを持ち、国交を互いに支援し合って発展を促す存在になってもらう。天空城を渡したくないのなら、その役目をお前がやれ!グランバニアは国家として新たなる国に支援を惜しまない!共に未来を築いて行こうぜ!」
先程までの厳しい目つきとは変わり、力強い瞳で握手を求めるリュカ。

「か、簡単に言いますが…大変な事なんですよ…」
「そんなのは言われるまでもない!でもお前がやる気を出すのなら、直ぐにでもラインハットとテルパドールに使者を派遣し、共に支え合っていくよう要請する。どちらも即答でOKしてくれるだろう。あぁついでにルドマンにも商業面で協力を依頼しよう!」
リュカはプサンの前に握手の手を差し出したまま、これからの事を語り出す。

「後はお前が決めろ…天空城はセントベレス山の麓に下ろす事は決定事項だ。そこを統治するのがお前等天空人か、僕の手の者なのかはお前が決めろ!…それでも神として、国の統治など出来ないと言うのなら、天空城を捨ててこの世界から消えろ!力を封印して人間世界に浸るような神など、この世界には要らない!僕等の世界から出て行け!」
「……………」

リュカにとって今回の事件は、そう簡単に許せる事柄ではなく、マスタードラゴンに神としてふんぞり返るのではなく、統治者として確かな経験と知識を得るように強要してくる。
マスタードラゴンもリュカの言いたい事は十分に理解出来、彼の我が儘な提案でない事は解っているのだが…

「私に…国を統べる事が出来ると思いますか?」
「一つの国家も統べれないで、この世界全体を統べようとするのは止めてもらいたい…滑って痛い目を見る前にね」
冗談としてはレベルが低いが、現実な事なので誰も笑えない。
それでもリュカの手を握り握手で返すプサンは笑顔であった。




さて…
新たに国家が誕生する事となり、国王に復帰したリュカがテキパキと指示を出し始める。
「じゃぁティミー…悪いけど国王の代理として…いや王子として各地に赴き、新国家の誕生と支援の要請を伝えてきてよ。ポピーには悪いけど、旦那の所に帰るのはもう少し待ってもらい、テルパドールとサラボナ…最後にラインハットへルーラでティミーを連れて行ってやってよ」
「「はい」」
非常に重要な役目であり、それを王子として行う事に興奮気味のティミー…
ポピーも父に頼られて嬉しそうに微笑む。

「それとリュリュとウルフも一緒に行け!お前等もルーラが使えるようになったのだから、この機会に行ける範囲を広げる事!それと自分だけじゃなく、大人数を移転出来るように修業する事!」
「はい」「分かりました」
大好きな父の指示…満面の笑みで従うリュリュ。
尊敬する師匠の役に立つべく、自分の居場所を確保しようと張り切るウルフ。

「おいラング…お前も行けよ!お前は既にティミー殿下の部下なのだから、可能な限り付き従えよ!」
「無論そのつもりです」
此処に残られても扱いに困るラングストン…
任務には関係ないのに、彼はついて行ける事に不満のアルルとマリーは、勝手に自分の彼氏に随行する事を決定している。

「………じゃぁついでだ…山奥の村にでも寄って、お爺ちゃんに彼氏彼女の報告をしてこいよ。温泉にでも浸かってさ…」
諦めムードでついて行かせるリュカ。
国家の任務が楽しいピクニックに変化した瞬間だ。

子供達に指示を出し切り、今度はオジロン等家臣に指示を出すリュカ…
そんな姿を見てウルフが呟く。
「本当に王様なんだなぁ…あの姿を見るまでは信じられなかったけど…」
「ちょっとウルフ君!私のお父さんは凄いんだからね。見くびっているとマリーちゃんの彼氏でも許さないわよ!」
少し頬を膨らませ、憤慨を現すリュリュ…

師匠にそっくりなこの女性に、テレながら謝ろうとしたのだが、
「う、美しい…」
と、後ろでラングストンが呟いたのが聞こえ振り返る。
「ラ、ラングストンさん………?」

「はっ!…そ、そうですぞウルフ殿!リュカ殿は…い、いやリュカ陛下は素晴らしいお人ですゾ!侮辱するなど私が許しませんゾ!!」
もう完全に女性(リュリュ)の視線を意識したラングストンの発言に、全てを察した(リュリュを除く)一同がニヤつきながらツッコンだ。
「「「「「一番気を付けるのはお前だろ!」」」」」



 
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