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『曹徳の奮闘記』改訂版

作者:零戦
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第四十六話

 
前書き
説明。 

 





「何ッ!? クロエも倒れているだとッ!!!」

 ロッタをおんぶして、急いで城へ帰ってきた俺と美羽は零からの言葉に驚いた。

「どういう事だッ!?」

「それが全く分からんのじゃよ長門。訓練所でクロエが急に苦しみだして、そしたらクロエが倒れたのじゃ」

「………畜生ッ!!」

ダァンッ!!

 俺は思わず壁を殴った。

 右手からはジンジンと痛んでくるし、血が流れている。

 ……一体二人に何が起きたんだ?

「報告しますッ!! 王双様にお会いしたいと申す方が二人、城門前に来ておりますッ!!」

 誰だこんな時に……二人?

「おい、その二人は漢女とか言ってなかったか?」

「は、はい。凄く気持ち悪いですが……」

 それには同意する。

「急いでその二人を通してくれッ!!」

「ハッ!!」






 それから五分も経たないうちに、卑弥呼と貂蝉が現れた。

「王双ちゃぁん、お久しぶりねぇ~」

『………………』

 美羽達は固まっていた。

 まぁそれはそうだろうな。

「貂蝉、卑弥呼。ロッタとクロエの二人がいきなり倒れたけど一体どういう事だ?」

「てか知り合いなんッ!?」

 霞が聞いてくる。

「まぁな、二人の名前は卑弥呼と貂蝉。卑弥呼は雪風と同じ故郷の人だ。貂蝉は洛陽で踊り子をしていた」

「宜しくねぇん♪」

「久しぶりだのぅ、台与よ」

「お久しぶりです卑弥呼様」

『……………(気持ち悪い)』

 皆の心の声は1つになったそうな。

「で、でもその二人がロッタさんとクロエさんが倒れた原因を知っているのですか?」

 七乃が聞いてきた。

「王双よ、全てを話す事になるぞ? 構わんのか?」

「………覚悟は出来ているさ。取り敢えず、クロエとロッタを呼んできたいんだけど、二人の容体は?」

 俺は月に聞いた。

「はい、二人とも意識はあります。医師の診察でも気になるところはなかったみたいです」

「なら呼んできてくれないか?」

「分かりました、詠ちゃん」

「うん」





―――玉座―――

「気分は大丈夫かクロエ?」

「………む…いきなり息が出来なくなったが今は問題無い……」

「……スマン……」

 地雷だったな。

「それじゃあ長門、説明してもらうのじゃ。何故、クロエとロッタが倒れてその怪しい二人の関係をの」

 ………腹括るか。

「………皆に予め言っておくが、質問は俺達の説明が終わってからにしてもらうからな」

 俺の言葉に皆は頷いたのを確認してから俺は語りだした。

 俺の過去を、そして三国志、クロエ達の世界、貂蝉と卑弥呼の事をな。






「………それでは、長門さんは天の御遣いとか言う輩と同じなんですか?」

 全てを話終えると、七乃が聞いてきた。

「………はっきり言えばそうなるな」

「………何故言わなかった? それにクロエ達もだ」

 桜花が俺に厳しい目で見てくる。

「………例え、長門が天の御遣いと同じ天の人間でも今は桜花達と同じ漢王朝の人間なんだ。だから、私は語る必要はないと思って喋らなかった」

「私も同じよ」

 クロエとロッタが援護をしてくれた。

「まぁ、北郷との会話が何やら怪しかったでしたからなぁ」

「そうなの」

 星と沙和が頷く。

「………例え、長門が誰であろうと長門は長門なのじゃ。だから心配しなくてもよいのじゃ」

 美羽が笑う。

 ………美羽は化けてきたな。

「(これで長門は妾に対する好感度は上がっているのじゃ)」

 美羽がこっそりと笑っていたのには気付かなかった。

「………そうだな、長門は長門だ」

「まぁ、普段から変やけどな」

 桜花と霞が笑う。

「じゃが、二人は何故倒れたのじゃ?」

 零が貂蝉に聞く。

「私の上司に聞いたんだけど、魔法を使い過ぎたせいで世界が拒否反応を起こしたのよ。このままでは主人公の北郷が死ぬ。ならクロエちゃん達を消そうと判断したのよ。私達の咄嗟の判断で何とか二人はこの世界でいられるけど、上級魔法はほぼ無理よ。中級魔法は回数的に一日約五回程度しか無理だけど初級魔法は一日に約二十程度なら大丈夫よ」

「……ならそれ以外は大丈夫なんだな?」

「えぇそうよ」

『………ふぅ』

 玉座に安堵の息が漏れた。

「………無事なら良いのじゃ。妾はクロエ達がいきなり倒れたから死んだかと……グス」

 美羽が静かに泣いていた。

「……大丈夫ですよ御嬢様」

 七乃が美羽をあやす。

「それとクロエちゃんは魔法は使ってないから普通に技は使えるわ」

 貂蝉がクロエとロッタが言う。

「……四斤山砲と『アレ』は?」

「あの二つは長門君をサポートするためにしているから世界がそれに干渉する事は不可能なのよ」

 ……普通はそっちを優先すると思うけどな。

「ともかくじゃ、クロエ達が無事なら妾は問題は無いのじゃ。皆もそうじゃろ?」

 美羽の言葉に皆が頷いた。

 美羽はかなり名君ぽくなっているな。

「貂蝉殿、卑弥呼殿。重要な情報をありがとうなのじゃ。その御礼として恩賞を与えるのじゃが……」

「別にいいわぁん。そのために情報を提供したんじゃないんですもの」

「うむ」

 貂蝉と卑弥呼は美羽にやんわりと断った。

「その代わり、また此処に来てもいいかしら?」

「うむ、構わないのじゃッ!!」

 美羽は頷く。

「それじゃぁね長門君」

「元気でな」

「おぅ、早く北郷を食えよ」

「分かっているわ。ブルウゥワアァァァァァーーーッ!!」

 貂蝉と卑弥呼は前回同様に、光りに包まれて消えた。

「………化け物ね」

 賈駆がポツリと言う。

「まぁそれに関しては認めるな」

「それよりも長門じゃッ!!」

「ん? 俺?」

 急に美羽が叫んだ。

「何故、妾に天の御遣いと同じ天の人間と言わなかったのじゃッ!! 妾は長門の主君じゃろうッ!!」

「そうですねぇ、それはいけませんよねぇ」

 七乃がニヤニヤしながら言う。

 ………絶対にこの状況を面白がっているな。

『……………(ニヤニヤ)』

 いや……零達もだ。

 特に星のニヤケ方はヤバイな。

 まぁ、凪はあたふたしているけどな。

「……どうすれば宜しいですかな我が主君様?」

「そうじゃのぅ……なら妾達に天の国の事を教えるのじゃ。活かせる知識があるなら妾達に教えてほしいのじゃ。それが長門の罰じゃな」

 美羽がニヤリと笑う。

「………分かりました我が主君。主君の仰せのままに」

 俺は苦笑しながら美羽に臣下の礼をした。






 
 

 
後書き
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