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魔法科高校~黒衣の人間主神~

作者:黒鐡
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九校戦編〈上〉
  九校戦一日目(1)×朝の日課とエルフィン・スナイパー

この外史に来た俺達の朝というのは、普通の高校生よりも早い時間に起きるという事を知っているのは俺達CBと蒼い翼とそれ関連の者達だけ。もちろん国防軍の中にも俺達みたいな次元パトロール隊第1課からの者もいるとあれば、第0課の者で元部下だと知りながら国防軍で働いている者も多い。

「まだ早朝だが、俺達の朝は早い」

「おはようございます一真様」

「相変わらず俺達の朝は早いもんだな。まあもう慣れっこだ、ホテルの敷地内で、朝鍛錬出来る所は昨日賊が出る前に俺と幹比古が鍛錬していた場所だったな」

そう言いながら顔を洗い少し食べた後に、蒼太は鍛錬用のを着ていると俺も量子変換機ですぐに着替え終える。そして俺らはまだ生徒たちが寝ているであろう時間に静かに廊下を歩きながら、昨日行っていた場所に行くと既に元部下達が一斉に集まっていた。その中には玄信達五人もいたけど、俺と蒼太は気にしないで空いている場所で軽くランニングをするがただ走るだけではないのでここら周辺の重力を変えている。体重は倍となっているが、俺と蒼太に深雪達は慣れっこだが久々の重力を浴びる者もいるらしい。重力制御魔法ではなく、俺の力の一つとでも言おうか。

「相変わらずこの重力は、慣れっこのでも我々にとっては久々ですな」

「よう玄信、まさかお前たちもいるとはな。まあ俺達の朝が早いのは知っているが、この人数を見るとホテルの従業員ではなくほとんど国防軍の者か?」

「一真さんの言う通りかもしれんが、久々に俺と模擬戦をしませんかい?」

「ほう?連か。魔法有りでも構わんぞ」

そう言いながら、俺は手で来いよというジェスチャーをするとこちらに来た連は相手の運動ベクトルを先読みして、体術と魔法を連動させる白兵戦技を持っている。だが俺はその先の先を読むんで体術と魔法を連動させようとしても、すぐに避けてから連に攻撃をする。そんで最後は投げ飛ばしてからの押さえ込みをして俺の勝ちとなった。

「やはり一真さんはお強いですな」

「魔法と連動する連との相手は、こちらも手を抜く訳にはいかないからな。だがドウターとの相手は魔法や体術では効かない相手だ」

「それについては心得てますよ。こちらにはISを持っている藤林がいるからね」

「今日の昼にでもまた会いたいのですが、時間空いてますでしょうか?」

そう聞かれたので、空いてたらなと言いながら響子は深夜、真夜、結衣、沙紀、深雪がISを展開して模擬戦闘を上空でしていたので響子も一緒に模擬戦闘していた。そんで他の学生たちが来ないように人払いの結界をしてあるからか、俺達の始まりの朝である鍛錬は終了となった後に全員整列してから俺はここにいる記憶共有者である国連軍の時の者とCBの者達に連絡事項を言った。

「全員整列!敬礼!休め」

「おい蒼太。ここは俺達の軍歴時じゃねえんだからな、まあいいとして。諸君、今日から九校戦が始まるが気を付けるようにと忠告をしておこう。昨日の賊みたいに、九校戦にちょっかいを出す輩もいる。ここにいる者達は蒼い翼関連の者や国防軍にいる軍人だが中身は我々と一緒に戦った部下達とも言える。ドウターが出た時は、無理をするな。今回は玄信を入れた五人は、対ドウター戦の武装を持っているが疑似聖剣にISを持っている者もいる。だがお前達はドウターの対処方法は知っているはずだ。では諸君の職務を全うしつつ、九校戦を邪魔する輩がいたら排除しろ。以上だ、解散!」

「織斑少将に敬礼!全員解散!」

今度は玄信がそう言ってから、各自鍛錬の汗を取るために地下温泉に入る者もおれば部屋にあるユニットバスに入る者もいる。俺と蒼太、深雪達は九校戦会場の真上に待機中のトレミーに行って大浴場に入った。トレミーにいるクルー達は全員拠点から連れてきた者達だから問題ない。風呂に入った後に制服に着替えた後に、ブリッジに向かった。そこには待機任務とはいえ、待機しているラッセ達がいた。

「おっ、久々に艦長が来たか」

「おはようラッセにフェルトとミレイナ。昨日はいいタイミングだったぞ」

「おはようです~。あれについてはちょうどよかったのです」

「それに私達の戦いを見せたとはいえ、他の生徒たちを記憶操作したのはさすがです」

そう言ってから、俺達はしばらく会話をしたがトレミー内にいる深雪達を地上に戻すために行ったら桜花もいた。何でも今回は別行動とはいえ少しは一緒の方がいいのでは?と深夜から提案されたので俺は、桜花にも来てもらう事にした。桜花・結衣・沙紀のトリオが久々に活躍するかは分からないけど、今回は俺と深雪には出来る限り生徒達と一緒の方が良いとの事なので蒼太達は別々で見張りといつ危機が迫っても大丈夫のように待機任務となった。

『いよいよ全国魔法科高校親善魔法競技大会通称九校戦の開幕です。本大会は例年通り、本戦と新人戦を五日ずつ計十日間にわたって開催されます。今年の注目は一高が三連覇を達成できるのか、それとも三高が連覇を阻止するか?』

九校戦の開会式は無事に行われたが、直接の観客だけでも十日間で述べ十万人。こんなに交通の便が悪いのに一日一万人見に来るし、有線放送の視聴者は百倍以上となる。昨日の事は知らされずに、選手は皆が一流の魔法力を持つがまだまだ高校生で卵の魔法師でもある。未遂だったとはいえ、不安を与えるものは好ましくない、と判断したからでもある。開会式は華やかさより規律を強く印象付けるもので、魔法競技も派手なのでセレモニーを華美にする必要はない。オリンピックのようなのは必要ないからだ。俺も一高の列にいたが、俺は技術のところにいたが選手でもあるので少し複雑だ。

「やっと開会式終わりましたね、お兄様」

「まあ長い来賓の挨拶無しだったからよかったんじゃないの?それより雫、プログラムを見せてくれるか?」

プログラムを見せた雫だった。

「一日目は本戦のスピード・シューティングとバトル・ボード、七草会長と渡辺先輩がそれぞれ出場か」

「優勝候補でもあるけど、新人戦では私達も出る種目だし」

「うん。見逃さないけど、私は一真さんがどういう風にしてやるのかも楽しみ」

雫がそう言ったが、俺はまだ手を明かしていないけど雫たちがどういう風にやるかは各デバイスを調整しながら見てきた。一日目の競技は早撃ちが決勝までで波乗りは予選となり、両競技の所要時間が問題である。会長のが始まるという事で、俺達は早撃ちの会場に行った。

「第一試合から真打登場とはな、渡辺先輩は第三レースだったか」

「はい」

俺達は観戦すべくスピード・シューティングの競技場へ移動した。左から、雫・ほのか・俺・深雪の順番で、会場内の関係者エリアではなく一般用の観客席に陣取る事にした。選手の立ち位置から有効エリアまで30mで、有効エリアは正方形で各15mで五分間ある制限時間内にランダムに射出するクレーを破壊する素早さと正確が求められる。予選は五分の間に破壊した標的の数を競うスコア型で、上位八名による準々決勝に進む。準々決勝から対戦型で紅白の的が百個ずつ用意されて、自分の的のみを破壊した数を競うという事だ。

「予選で破壊力を持つ複数の的を一気にする方法もあるが、準々決勝以降は精密照準が要求される訳だがな。(俺としては立ち位置から有効エリアまで30mというのはハンデにならなんだったか。たぶん1kから狙い打ちか、予選では選手の立ち位置に居ない状態を要求されるかもしれん)」

俺の言葉に熱心に頷いた後に、考え事をしていた俺を見ていた。雫と俺はスピード・シューティングに出るが、予選だけは女子の会場でやってから準々決勝から男子の中でやる事となるだろう。

「一真さんの考え事は、ハンデの事?」

「ん?まあそうだな、俺は特殊すぎるからなのかどんなハンデがあるのか少し考え事してた」

「七草会長は予選も決勝も同じ戦い方をする事で有名ね」

背後に座った気配を感じ取りながら深雪が話した後に、後ろから声がかかったけど。

「一真君ならハンデ有でも優勝は確実だよお~」

「エリカか」

「よっ」

「おはよう」

「おはようございます、一真さん、深雪さん、ほのかさん、雫さん」

俺達の後ろに陣取ったのは右から順に座ったレオ、エリカ、美月、幹比古の順で座ったが声がかけた順番は、エリカ、俺、レオ、幹比古、美月の順番だ。都合よく後ろ四人席が空いていたのか、スムーズに来たのだったけど。それにこの競技は前からではなく後ろから見た方が見やすいからであるからなのか、前にいるのは会長のファンがいるからかもしれん。

「ここに来たのは、アホな男共がいるからこちらに来たのか?」

「そうだよー。最前列だと全然見えないし、あとはお姉さま~ってのが多いからね。ホント嘆かわしい」

「青少年だけではないな、それに近くで見る価値はあるがあれは追っかけのファンの塊だな。エルフィン・スナイパーというが本人は嫌っている様子だ」

前列に押し寄せている青少年と少女たちのお目当ては、この第一レンジで開始の合図を待つ会長の姿を見る事だけのようだ。豊かに渦巻く長い髪の上から耳を保護するヘッドセットをつけ、目を保護する透明のゴーグルをかけた会長の姿は、ストレッチパンツの上にミニワンピースと見間違えそうなウエストを絞った詰め襟ジャケットというユニフォーム、スピード・シューティング用の小銃形態のデバイスと相俟って、可愛らしさと凛々しさが絶妙にミックスされたヒロインのような雰囲気になっていた。

「会長さんをネタに同人誌を作っている人達もいますしね・・・・」

「それは俺も噂で聞いた事あるな、まあ半世紀前にはそういうのを作ってはコミックマーケットというのが開催されるとすぐに売り切れるとの事だった」

俺がそう言ったが、本当の事だという事を知っているのは俺と深雪だけだ。コミケで毎年行われていたが、今ではどうなっているかは分からないが夏と冬に開催されているらしい。主に魔法とか関係無しで、と考えていたら始まるので観客席が静まり返る。ヘッドセットを付けているから、観客席が騒いだとしてもこれはマナーなのでしょうがいが単発小銃に見えるが、俺で言うならアサルトライフルのように細長いデバイスだな。競技用のを構える選手の集中と気迫が、静寂の中、観客席に緊張感が広がるのだった。開始のシグナルが鳴ると同時にクレーが空中を駆け抜ける。

「あんなに遠くの飛んでいるクレーを撃つなんて・・・・」

有効エリアに入った瞬間に、撃ち砕いたので雫が思わず「速い」と呟くがあれが速いとは俺は思ってない。ここからでも俺は狙撃できる自信はあるけど。

「エリアに入った瞬間に遠距離から一個ずつ撃ち抜いているな」

標的の飛翔スピードに対してか、会長が撃ち砕いた魔法なのか。銃身から弾を撃ち出しているののではないから、照星に視線を合わせる必要はない。デバイスには最初からマズルサイトもスコープも付いていない。立ち姿としてはライフルの構えではなく、弓の構えに似ている。クレーが次々と不規則な間隔で撃ち出されるが射出数は五分間に百個。三秒に一個という計算なら、実弾射撃であるクレー射撃の実銃よりもハイペースでもあるが、時には連続で間隔を合わせる。

「高速にして正確無比、これが遠隔魔法のスペシャリストでも言うべきか」

会長は五分間という短い時間の中で、あっという間に終了した。パーフェクトという事で、ゴーグルとヘッドセットを外して客席の拍手に笑顔で応える会長を見ながら深雪は正確に分析を終えていた。

「ドライアイスの亜音速弾ですね、同じ魔法を百回見れば誰でも分かる事でしょうけど」

「百回?それって一発も外さなかったという事?」

「そうらしいな、あれは魔法発動速度ではなく精度だろうな。知覚系魔法を併用したとしても、手に入れた情報処理するのは自前の頭だ。マルチサイトの訓練を積んだのか、それとも天性なのか。さすが十師族直系は伊達ではないな」

「会長さん、知覚系魔法まで併用していたんですか?」

「遠隔視系の知覚魔法『マルチスコープ』非物質体や情報体を見るものではなく、実体物を様々な方向(マルチアングル)で知覚する視覚的な多元レーダーの様なものだな。誰でも持っているもんではないからレアな先天性スキルだと思う。会長は普段からこの魔法を多用しているが、全校集会の時もこの魔法で隅まで見張っていた。肉眼だけであの射撃は無理がある」

「確かに無理」

即座に応じたのは雫だが、俺だったら1k先にいる敵がいたとしても狙撃する事ができる眼を持っている。知覚魔法ではない方法でな、俺と雫は自分があそこに立つ時を考えながら試技を見ていたと思うな。

「でもよ、空気分子の運動を減速してドライアイスを作り、これを亜音速に加速し更に知覚魔法を併用していたんだろ?知覚魔法は常駐、減速魔法と加速魔法は百回繰り返して。よく魔法力が持ったな」

レオが言っている「魔法力」とは、実技判定における「魔法力」ではなく通俗的な意味での魔法を反復行使するスタミナの事。これは多くの者が誤解をされるが、魔法はエネルギーを消費する運動ではなくサイキカルなエネルギーを消費して事象の改変をしているのではなく、情報改変を通じて事象を改変している。情報改変にはサイオンで作成した魔法式の投射が必要なので、魔法式の規模を行使し得る回数に限界はある。レオが今使った意味での「魔法力」とは、類似物を求めるならば思考力のスタミナに近い。

「会長の射撃は『ドライ・ブリザード』のバリエーション何だけど、原型となる『ドライ・ブリザード』は効率の良い魔法なのさ。会長の魔法技能なら、百回どころか千回でも可能だろうな。まあこの真夏にドライアイス作ってから亜音速まで加速するのも相当なエネルギーが必要だが、魔法がエネルギー保存法則の埒外で事象改変を伴う魔法の負担が少ないと思っているだろう?」

「まあな、俺もそう思い言おうとしたがさすが一真。俺達が考えている事を先の先まで読んでいる。で、どういう意味なんだ?」

俺達はバトル・ボードの会場へ移動しながらだったが、謎かけのように俺は蒼太が脳量子波で話しているのをそのまま喋ったのだった。

「魔法はエネルギー保存法則に縛られないで、事象改変する技術でもある。改変される側の対象物まで、エネルギー保存法則から自由になっている訳ではない。基本的な物理法則の一つは知っていると思うが、『運動・熱・化学・電気・光などのエネルギーはそれぞれ形態は移り変わるが総和は変化しない』という事は深雪」

「エネルギーは一人でに消えたり生じたりしない事で、ドライアイスを作ってそれを加速させる魔法の場合は、奪い取った熱エネルギーを運動エネルギーに変換するスキームで魔法の負担を少なくします。ただしこれは自然界ではエントロビー(熱エネルギーの全てを他のエネルギーに変換する事はできない)の逆転であって熱力学的には通用する」

「正解だ、まあ俺はドライアイスを作って飛ばす事も出来るが俺の場合は水滴から氷を作ってから発射する。周辺にある大気から作り出してから、撃ち出す事も可能だが俺がやる時は別の方法でやるさ」

レオ達は何か上手い事騙されていると言っていたが、魔法師も騙す事が出来る詐欺師みたいなもんだ。まあ俺の場合は魔法師ではなく、エレメンツ使いであり精霊術者でもある。バトル・ボードは人工水路を長さ165cm、幅51cmの紡錘形ボードに乗って走破する競争競技である。俺も夏でよく使うサーフボードを使って、動力無しで人が魔法を使ってゴールを目指す。これについては拠点D×Dでも実際に俺がやった事だ。風術と水術でボードを加速させてボードから落ちないように固定する事だが、この競技は他の選手の身体やボードに対する攻撃は禁止されているが、水面に魔法を使う事は許されている。元々は海軍魔法師の訓練用に考案された競技で魔法使用大前提だから統一ルールを必要はない。水路は直線や急カーブ、上り坂や滝状の段差もあるようだ。平均所要時間は十五分で最大速度は30ノット超だから、時速50~60kに達する時がある。一枚のボードに乗っているだけの選手に風除けは全くないからか、追い風で速度を稼ぐ競技と違ってまともに向かい風を受けるので風圧を耐えるだけでも、結構な体力を持ってかれる。 
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