SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―
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07:ショッピング
前書き
今回は若干の(?)甘い回になりますね。非リア充なので「ここはこれでいいのか?」とか試行錯誤してました。では、そんなぐだぐだな本編をどうぞ!
あの後街に戻った僕は片っ端から狩り尽くして手に入れたアイテムをアルゲードにあるエギルさんの店で換金、使用した分のポーションや結晶の類いを購入。で、そこまでは良かったのだが――
「ハリン君、食べないんですかっ?」
笑顔で問いかけるのは数日前知り合った少女、オウカ。正直言って異例の事態だ。僕の中では。何せ異性から、それも同年代だと思われる異性から買い物の誘いなど来たことがない。
事の発端は、オウカからのメッセージ。「たまにはレベリングも休んで、私とのんびり買い物なんてどうですか?」などという内容のメッセージが届いた時には飲んでいたミルクティーを吹き出しかけた。
僕も正直ここ最近の無理なレベリングで疲労が溜まっていたので、買い物でそれを和らげるのもいいなと思ってそれに賛同した――は、いいのだが。ラフコフ二人組のせいで完全に忘れていた。僕等はどこぞの情報屋のせいで恋人にしたてあげられているのだ。現に先程から、「本当に付き合ってんのかよ」や「見せ付けてくれやがる」とか、「畜生ぉぉぉぉっ!!」などが聞こえてくる。最後は意味不明だが。
「ね、ねぇオウカ、ひょっとして新聞の事知らないんじゃ······」
「むぅ、失礼なっ、恋人疑惑が浮上してるのぐらい知ってますよ?」
膨れっ面になるオウカは正直可愛い。しかし、知っているなら何故と思う。本当に何故だ?
「こうやって見せ付けてれば、その内飽きて勝手に収まりますよ」
そう言ってのけるオウカは笑顔。この少女、時々小悪魔なのか天使なのかが分からなくなるな。僕はそんなオウカの言葉に苦笑いし、シフォンケーキにフォークを刺した――
* * * * *
「ふぅ······さて、次はどうする?」
僕は手元のタオルで口元を拭き、次の行き先をオウカに問いかける。当然今日一日はショッピングやらに付き合わされるだろう、日頃から貯めて使いどころのなかったコルをここで消費出来るので全て奢ろう。ここも僕が払ったのは言うまでもない。
「じゃあ、衣服とかアクセサリー売っている店でもいいですか?この間良いお店見付けたんですよっ!」
今時の女の子はやはりそう言う類いの事が好きなのだろうか。僕は正直その類いの知識に乏しいので何とも言えないが、一応付き合う事にする。
「それじゃあ、行こうか」
僕はそっとオウカの手を握る。オウカは驚くが、しかしそれを直ぐに受け入れてくれる。心なしか顔が赤いように見えるのは錯覚だろうか。そんな事はどうでもいいだろう。僕等はその店に向かった――
* * * * *
「これとかどう思いますか?あっ、これもいいなーっ!」
「うん······まぁ、うん······」
一日もつか分からなくなってきた。女性が服やアクセサリーを買う時程きつい事はないだろう。現実でもそれは体感した。妹に半ば強制的で。
「ちょっと試着してきますねーっ!」
――――まぁ、オウカの笑顔が見れるなら文句はないか。僕は、たぶん彼女の笑顔が好きだ。迷いも無理もない、純粋な笑顔。あんな笑顔が出来る人間なんてそうそういないだろう。
「ハーリン君っ」
そう言い試着室からひょこっと出てきたオウカは、一言で表すなら――――《天使》。淡いピンク色の花柄のワンピースに深紅のブレスレット。こちらも薄めのピンクのミュール。頭には光を浴びて輝くハイビスカス。現在の季節が夏なだけに、それが似合い過ぎている。
「えと······その、どう······ですか······?」
頬を赤らめてそう問うオウカには言葉も出ない。美し過ぎる。露出した白い肌は女性が誰もが羨む。何を見ても美しいのだ。
「あ·····に、似合ってるよ、凄い······」
それ以外出なかった。僕は恥ずかしさのあまり手で顔を覆う。これ以上見ていたら可笑しくなりそうだったからだ。オウカは「えへへ」と呟くと元の装備に戻り、「購入する」と言って会計に向かう。僕は自身の買うものと一緒に買うと言って会計済ませる。
「オウカ、これ」
僕が差し出したのはピンク色の髪止め。似合うと思った、ただそれだけなのだがどうしてもプレゼントしたかった。
「わぁ······!!ありがとう、ハリン君っ!!大切にするねっ!!」
オウカは即座にそれを装備する。やはりオウカに合っている。プレゼントして正解だったなと自己満足に浸る。まだまだ買い物は続きそうだ―――
* * * * *
「もうこんな時間かー、ちょっと残念です······」
時刻は夕方の六時。集まったのが一時なので、たっぷり五時間も買い物に費やした事になる。ただ、無駄な時間ではなかったと思う。むしろ有意義に過ごせた。
いつもレベリングに捕らわれて買い物と言えば回復アイテム類、それも一人で。誰かと一緒に店を回ったりするのはSAOに来て初めての経験だったような気がする。
「今日はありがとう、オウカ。久し振りにこんなに笑った気がするし、楽しかったよ」
僕は笑う。屈託のない顔で。オウカもそれにつられて笑う。黄昏の光を浴びて輝くその笑顔は、まるで僕を見守ってくれる《女神》ようだった―――
後書き
最終話あたりは思い付くのに今の話とかでつまる黒翼です。本日更新二回目。本気出しました(笑)明日テストなのに(笑)
感想、ご指摘などお待ちしております。では。
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