闇を祓う者~魔法少女と内なる力の使い手~
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無印
三人娘
前書き
久々の更新だ。
「どうも、賀狩彼方です。趣味は……食べログもとい、美味しいものを食べ歩くことです。これからよろしく」
俺は人生……神生通算4回目の小学校にて挨拶をしていた。
「じゃあ、賀狩くんの席はあそこ、高町さんの隣ね」
テンプレ乙。
「や、なのは。改めてよろしくな。まさか席まで隣になるとはな」
「あはは、そうだね。よろしくね、彼方くん」
っ!? 殺気!? 咄嗟に顔を逸らすと何かが横切っていった。それはなんと鉛筆だった。まさかギリギリで避けることになるとはね。身体がやっぱりついて来なかったか。小3の身体では限界があるな。
「それじゃあ、ホームルームは終わります」
おい、この鉛筆にツッコまないのか。そして、号令が終わったと同時に情報に飢えた獣達が席に押し掛けてくる。
『何処から来たの貴様、俺の高mおいコラお前のじゃない俺たちのだ好きなタイプはなのはちゃんとどんな関係な今まで食べたもので一番美味しかったもの……』
ここまでが俺の限界だ。人間の耳は1度に10人以上の声を聞き取れるほどの性能は無い。そもそも一対多向きじゃない。そこに金髪のくぎゅボイスが割って入った。
「はいはい。そんな一気に喋ったら困るでしょ! 一列に並ぶ!」
なんということでしょう。あんなにガヤガヤしていた人の群れがまるで握手会の列のように綺麗になりました。これも匠だからこそ出来る業です。
「助かったよ」
「どういたしまして。私はアリサ・バニングス。お礼は後で貰うわ」
「分かったよ。しっかりしてらっしゃる。無茶振りは止めてほしいな」
まずはこの長蛇の列を片すか。
「賀狩くんは何処から来たの?」
「愛知県から来た。手羽先がお薦めかな」
「今まで食べたもののなかで一番美味しかったものって何?」
「あ~、難しいなぁ~。あ、でも昨日食べたショートケーキは美味しかったな」
「へぇ~。何処の?」
「なのはのお母さんの」
「え?」
隣のなのはは、えっへんと胸を張っていた。俺は別にロリコンではないので何も感じない。無い胸を張っても……と思ってしまう方である。まあそれはさておき昨日のは本当に美味しかった。
「た、高町さんとは、ど、どどどういう関係なんだ!」
「どういう関係かと訊かれれば……お隣さんだと答えるよなぁ?」
「そうだねぇ」
皆が頭にクエスチョンマークを浮かべている中、俺となのはは笑っていた。結局俺は次の授業の開始のチャイムが鳴るまで終わらない質問を捌き続けた。
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そして昼休みである。私立の小学校のために昼は給食ではなく弁当だ。いやはや、弁当なんざ久しぶりに作ったね。コロッケを一つ取って食べてみる。……モグモグ。うし、冷めても衣はサクサクのままだな。弁当の腕が鈍っていなくて何よりだ。
「うわぁ~、彼方くんのお弁当美味しそう! 一つ貰ってもいい?」
「お好きなのどうぞ」
「ありがとう!」
む、なのはのやつ、俺が目をつけていた唐揚げを取ってったな。いい目をしている。それは自信作だ。
今俺は原作組の仲良し3人少女と共にいた。その経緯は、
「お礼を貰うからまずちょっとお昼に付き合いなさい」
「ん、なるほど、了解した」
ということだ。以上、説明終わり! そこで自己紹介を改めてした。
「私はアリサ・バニングス。なのはの親友よ!」
「えっと、月村……すずかです。アリサちゃんと一緒でなのはちゃんの親友です。よろしく」
なんとなく怯えられている気がするのは気のせいだろうか?
「それでなのは、なんでコイツのことをもう名前で呼んでるの?」
「彼方くんは、なのはのお隣さんなの!」
「? どういうこと? お隣さんって、誰も居なかったでしょ?」
「あー、俺は昨日引っ越してきてな。その途中で寄った喫茶店が翠屋だったんだ」
「あ、それでさっき言ってたなのはちゃんのお母さんのショートケーキが出てくるんだね?」
「そう。そこでショートケーキを運んできたのが、」
「なのはなの!」
「そ。それで昨日の内に挨拶してたわけだよ。分かったかい? バニングスさん」
「アリサでいいわよ。なのはがなついてるなら悪いやつじゃないんだろうし」
「それはありがたい」
「あ、じゃあ私も名前で……いいかな」
「ん、分かった」
以上、回想終わりだ。
「美味しい~!」
「それは良かった。自信作なんだよそれは」
「え、これ彼方くんが作ったの!? ルナさんじゃなくて?」
「そうだが? そらルナも勿論料理は出来るが、俺の方が上手い。家の台所は基本的には俺が仕切っている。まあ二日毎に交代してるがな。ルナの料理も食べたいからな」
「ねえ、そのルナって人は誰?」
「おいコラ、質問のどさくさに紛れてコロッケを取っていくんじゃない。別にいいが、なのはを見習って一声かけんかい。あ、どうせだからすずかも何かどうだ?」
「あ、じゃあそのポテトサラダ少し貰ってもいいかな?」
「どうぞどうぞ」
ポテトサラダも自信作だ。皆はじゃがいもの食感が残ったのと、完全に潰したマッシュポテトなのとどっちが好きだろう? 俺はどっちも好きだから少し手間がかかるものの、半々ぐらいの比率にしている。個人的にはゴマドレッシングを混ぜるのも好きだ。
「美味しい……。ゴマかな?」
「そう。混ぜるだけで風味が豊かになるだろ?」
「え、なんで冷めてるのにこんなにサクサクなの!?」
「それは流石に企業秘密だ」
「美味しい。美味しいけど、女子として負けた気分……」
「そうだね……」
「あ、あはは……」
うっわ、目に見えて落ち込んでらっしゃる。ええ、経験があります。昔、簪に料理を振舞ったことがあって同じような反応をされました。なんだろうね。俺は何にも悪くないのに、罪悪感があるね。あ、補足だけどお返しで作ってもらった簪の料理は美味しかった。
「なんでこんなに料理が上手なの!? 家の料理人より多分上手よ?」
「あ~まあ、何回も実戦経験したらねぇ」
それこそ一番最初の自分の世界の頃から。料理人と言っても、大御所と呼ばれる人でキャリア四十年というところだろう。俺がハイスクールD×Dの世界にどれだけの間居たと思っている。そこらの料理人とは違うのだよ、そこらの料理人とは!
「で、ルナのことだっけ? うんまぁ同居人だよ」
流石に、「かけがえのないパートナーです」とは言えない。主にルナのこの世界での社会的地位が死んでしまう。
「ふーん」
良かった。親はどうしたのかとか言われなくて。正直、誤魔化せる気がしない。こんな感じで転入初日は過ぎていくのだった。
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すずかside
今日転入してきた男の子、賀狩彼方くん。
最初に彼の姿を見て、思ったことがある。 私達の気配に似ている?
私達月村家は夜の一族。一般的には吸血鬼と呼ばれる存在。そんな私と同じ様な気配がするということは彼も夜の一族? でも、何か違う。似ていても同じじゃない。そもそも月村家以外に夜の一族がいるだなんて聞いたことがない。むしろ私達より強い人外の気配。
今日、アリサちゃんとなのはちゃんと一緒にこの人といたけど悪い人では……ないと思う。それは置いといて、彼方くんのポテトサラダ美味しかったなぁ~……
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さて、日々は過ぎていった。何事も無さすぎてこのまま平穏にこの世界終わるんじゃね?と思うレベルだ。いかんせん俺は原作アニメを観ておらず、二次小説だけの知識だ。それも一番最初の世界の物だし、いろんな戦いを通して記憶が曖昧だ。流石に油断するのは危険だろう。
なんて考えながら家を出る。
「あ、おはよう、彼方くん」
「おう、なのはおはようさん。今日は寝坊しなかったな」
「流石にひどいの! 確かに朝は弱いけど一人で起きるくらいできるもん!」
「週四で俺に起こされてるくせに何を言ってるのかなこの変則ツインテールは」
「うっ……」
そう、なのはは極端に夜が弱く、部屋が窓越しと、これまたテンプレ乙な状況である俺に大体おこされているのだ。俺はこの段階からStS編の生真面目さが生まれるとは到底信じられない。
一応、シリーズ構成は覚えている。なのはが初めて魔法に出会い、魔法少女になる『無印編』。闇の書と呼ばれる魔道書が全てのきっかけとなった『A´s編』、通称『闇の書編』。そして、なのはが時空管理局の職員となった『StrikerS編』。なのはがフェレットを飼っているという話も聞かないからまだ原作は始まっていないのだろう。二人でバス停まで歩いていく。
「ふわぁ~」
「あくびするなら、手を使えよ」
「彼方くんだからいいかなぁって」
「え、なにそれ。俺もしかして男として見られてない? それとも今の告白?」
「もう! 何言ってるの!」
なんて話ながらバスを待つ。バスに乗り込むと、
「なのはちゃーん、彼方くーん!」
「こっちよ、こっち!」
金と紫の髪の二人の少女に呼ばれる。言わずもがな、アリサとすずかだ。
「おはよう、アリサちゃん、すずかちゃん」
「うぃーす」
「彼方、今日はどうだったの?」
「聞いて驚け、なのはが自力で起きた」
「え!? 嘘!?」
「なのはちゃんすごーい!」
「もう! アリサちゃんもすずかちゃんもひどい!」
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「将来の夢……かぁ」
昼休みだ。え、授業はどうしたって? 小学生の授業を見て一体何が楽しいというんだ? というか、わざわざ説明するのもめんどくさいわ。
「アリサちゃんとすずかちゃんはもう結構決まってるんだっけ?」
「うん。と言っても、家はお父さんもお母さんも会社経営だから、いっぱい勉強してちゃんと後を継がなきゃぐらいだけどね」
「私は機械系が好きだから、工学系で専門職に就きたいなぁって思ってるけど」
「そっかぁ、二人ともすごいよねぇ。もう将来のことちゃんと考えてるんだもん」
いやまったくだ。だってまだ小学生だぞ? 普通将来のことなんて中3の高校受験のときにぼんやりと方向性を決めて、大学受験で本決めってもんだろうよ。
今日の弁当のコンセプトは中華だ。エビチリが美味しすぎる。モグモグ。
「え、でもなのはは『喫茶 翠屋』の2代目じゃないの?」
「うんまあそれも、将来のヴィジョンの一つではあるんだけど……」
へえ。でも、桃子さんのあのショートケーキの味を受け継ぐのは大変だぞ。モグモグ。青椒肉絲も素晴らしいな。
「やりたいことが何かあるような気はするんだけど……。彼方くんは」
「んぐ?」
「彼方くんは何か将来の夢はあるの?」
まさか俺にまで水が向けられるとは。本当のことは言えないなぁ、平和な将来は望めないだろうし。
「そうだなぁ、俺は特にないなぁ」
「料理人はどうなの? あんたこんなに料理上手なんだからさ。このエビチリちょっと辛い……」
「そうかな? 私はこれぐらいじゃないとエビチリって感じはしないけど」
「なのはにはちょっと無理かもね」
「む、なのはにだって食べれるもん!」
そう言ってなのはは、分けてあった別のエビチリを食べた。
「おい、なのは! それはダメだ!」
「え?」
時すでに遅し。なのははそれを口に入れてしまった。
「からーい!」
「だから言わんこっちゃない」
「なのはちゃん、どうしたの?」
「分けてあったのは、俺用に辛めの味付けにしてあるんだよ」
身体はともかく、味覚はそのままなので辛いものは好きなのだ。どうせ、盗られるのだから予め別に作って分けておいた。
「味見してみるか?」
「じゃあ、ちょっとだけ……からっ! あんたよく食べれるわね?」
「あ、私こっちの方が好きかも……」
「だったらすずかはこっち食うか? ほれなのは、お茶」
「ありがと……うぅ、ひどい目にあった……」
本当になのはが主人公で成り立つのか? この世界
後書き
IS編を読んでいる人はビックリしますね、昨日に続いて今日も更新してるぞ、この作者!? 一体どうしたんだ?って。残ってた奴を片付けただけです。
ただ課題が全然終わってない。まあ、なんとかなるでしょう。次回はなのはが魔法と出会います。本当は今回でそこまで行きたかったけど……。
それでは、感想等々よろしくお願いします!
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