| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―

作者:黒翼
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

03:共闘は本当の意味の共闘か



広い。その場にいる全員が、おそらくだがそう感じただろう。城が建てられそうな面積の部屋の中の中心で、突如として大きな爆発が起きる。

「何だ······!?」

ハリンは己の愛刀、《マーニス・シン》ならびに《オーシャン・シン》を前で交差するようにして防御の姿勢を見せつつ、そう叫ぶ。

「――新年より、我は再びこの世界に身を現す事が可能となった······。貴様等の様な小虫に負ける我ではない、全力でかかってくるが良いッ!!!」

爆心地の煙の中から現れたのは、きらびやかな和服に包まれた巨大な老人。HPバーは五段、並みのボスよりは強い。どうりで攻略組が苦戦するようだ。更に、その右手には本来このSAOに存在する筈のない《薙刀》が握られている。何たるイレギュラーボスだ。

「「先手必勝、悪いが行かせてもらうぜッ!!」」

ボスの登場と共に、疾走する二人。言うまでもなくライトとリンだ。ジグザグに動く漆黒と純白、一瞬で足下まで距離を詰め、それぞれが斬り上げを行う······が、HPバーはミリ単位でしか減っていない。

「「なっ、俺等の攻撃でこんだけ!?」」

一度距離を取るライトとリン。通常、この手のボスは防御力が異常な程高く設定されている代わりに攻撃のモーションが遅く隙だらけな可能性が高い。どうやらこのボスもそれと同じようだ。

「へっ、ノロマなら何も怖くねぇな······《ソードビット》ッ!!」

直後、アツヤの両肩に新たに二つ大剣が現れる。これが彼のユニークスキル、《ソードビット》。唯一二対大剣を可能とするそれだが、出現させられる大剣の数は遥かに上らしい。

「オラァッ!!」

左右の手に持った禍々しい程に黒い大剣と神々しい白の大剣で交互に斬撃を浴びせつつ、ソードビットも操作する。器用でなければ到底出来ない戦闘スタイルで、徐々にだがボスのHPバーを減らしていく。

「俺達も行くぞ、ルーグ!!」

「はい!!」

アツヤに続いたのはリオンとルスティグ。リオンが投擲を駆使してルスティグを後方から援護し、ルスティグは愛用している片手長剣で通り抜け際に水平斬りを浴びせる。リオンが引き付けルスティグが攻める。普通のコンビネーションだが、信頼し合っていないと成せないコンビネーションだ。

「私もっ······!!」

ナギもそれに続くように疾走。腰の鞘から片手長剣を抜刀、その勢いを利用して横斬り。次いでソードスキルを立ち上げる。片手長剣四連撃技《ホリゾンタル・スクエア》。普通のホリゾンタル・スクエアとは見間違える程美しいフォームで四連撃を浴びせ、後方にジャンプ。

「僕も負けていられないかな······はぁっ!!」

ハリンも一気に距離を取詰め、前方に大きく跳躍。そのまま空中で一回転して刀を斬り下げる。すかさず剣を逆手に構え、斬り上げ、後方に下がる寸前に左手に持ったもう一本の刀で斬撃を浴びせる。

「小賢しい······が、面白い······とっておきを食らわせてやろうぞッ······!!」

「「「「「「「「いや、こんな早くにとっておきなんか使うなよ(わないでよ)!?」」」」」」」」

その場にいる八人全員から容赦ないツッコミ。当然それでショックを受けるボスではない。ボスは持っていた薙刀を上空に投げると、両手を掲げる······直後、上空で目も開けられないほどの光が発生する。勿論それは長く続けいた訳ではないが、驚愕はその後だった。

「何だよ、あれはっ······!?」

いち早く驚きの声を漏らしたのはリオン。上空にはボスの所持していた薙刀と酷似している物が数千······否、数万本。これを一斉に降らせようものならば、生きて帰れる保証はないだろう。

「全員、回避は無理だッ!!それぞれ防御体制に入って、なんとか耐えてッ!!!」

叫んだのはハリン。その指示に従い、全員が己の武器を掲げ、防御の体制に入る。刹那、数万の薙刀が一斉に降りかかった――――

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧