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ウルキオラの転生物語 inゼロの使い魔

作者:銭亀
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第1部 ゼロの使い魔
  第3章 ゼロのルイズ

ウルキオラが椅子から立ち上がり、初めて目にしたものは、昨晩ルイズが脱ぎ捨てた下着であった。

ルイズは、ベッドの中で寝息を立てている。

ウルキオラは寝ているルイズの毛布をはいだ。

「な、なによ!なにごと!?」

「朝だ。起きろ」

「はえ?そ、そう……ってあんた誰よ!」

ルイズは寝ぼけた声で怒鳴った。

ふにゃふにゃの顔でウルキオラを見る。

ウルキオラはこんな奴に召喚されたのか…と思う。

「ウルキオラ・シファー」

「ああ、そっか…昨日召喚したんだっけ…」

ルイズは起き上がると、あくびをした。

そしてウルキオラに命じる。

「服」

ウルキオラは椅子にかかった制服を放り投げた。

ルイズはだるそうにネグリジェを脱ぎ始めた。

ウルキオラは興味が無さそうにルイズの裸体を見ている。

「下着」

「どこにある?」

「そこのー、クローゼットのー、一番下の引き出しに入ってる」

昨日、俺の力を見て、その身に受けたのにも関わらず、俺を使い倒す気でいる事にウルキオラは少し感心する。

ウルキオラは適当に引っつかんで、放り投げた。

「服」

「今渡した」

「着せて」

下着姿のルイズが気だるそうにベッドに座っていた。

「服ぐらい自分で着ろ」

「な、あ、あんた、朝ごはん抜き!」

ルイズは指を立て、勝ち誇ったように言った。

「必要ないと言ったはずだ」

「そ、そういえば昨日そんな事を言ってたわね…」

ルイズは諦めて服を着始めた。




ルイズと部屋を出ると、似たような木で出来たドアが壁に三つ並んでいた。

そのドアの一つが開いて、中から燃えるような赤い髪の女が現れた。

ルイズより背が高く、ウルキオラと大して変わらない身長だ。

彫りが深い顔に、メロンみたいなバストが艶かしい。

一番上と二番目のブラウスのボタンを外し、胸元を覗かせている。

ウルキオラは全く興味がないようである。

彼女はルイズを見ると、ニヤッとと笑った。

「おはよう。ルイズ」

ルイズは顔をしかめると、嫌そうに挨拶を返した。

「おはよう。キュルケ」

「貴方がルイズの使い魔ね?」

「そうらしいな」

キュルケは杖を持ち、ウルキオラにディテクトマジックを放つ。

「す、すごい魔力ね…」

ウルキオラは驚いた。

俺の力を知っていながら、普通に話しかけてくるからだ。

(この世界の人間は危険察知能力が欠如しているのか?)

「でも、なんであんたがこんな人呼ぶのよ…」

ルイズは白い頬に、さっと朱がさした。

「うるさいわね」

「私も昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」

「あっそ」

「フレイム〜」

キュルケは、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。

キュルケの部屋からのっそりと、真っ赤で大きなトカゲが現れた。

むんとした熱気が、ウルキオラを襲う。

「ほう?」

ウルキオラは興味を持った。

キュルケが笑う。

「おっほっほ!もしかして、貴方、この火トカゲを見るのは初めて?」

「ああ」

大きさは虎ほどあるだろうか。

尻尾が燃え盛る炎で出来ていた。

チロチロと口から火炎がほとばしる。

(虚程度の実力はあるようだな)

「これって、サラマンダー?」

ルイズは確認するように尋ねた。

「そうよー。火トカゲよー。みて?この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ?ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんてつかないわよ?」

「そりゃよかったわね」

苦々しい声でルイズが言った。

「素敵でしょ?私の属性にぴったり」

「あんた『火』属性だもんね」

「ええ、微熱のキュルケですもの。ささやかに燃える情熱は微熱。でも、男の子はそれでイチコロなのですわ。貴方と違ってね?」

キュルケは得意げに胸を張った。

ルイズも負けじと胸を張り返すが、ボリュームが違いすぎる。

ルイズはそれでもぐっとキュルケを睨みつけた。

かなりの負けず嫌いなようだ。

「あんたみたいにいちいち色気振りまくほど、暇じゃないだけよ」

キュルケはにっこりと笑った。

余裕の態度だった。

それからウルキオラを見つめる。

「あなた、お名前は?」

「ウルキオラ…ウルキオラ・シファー」

「私はキュルケ。よろしくね」

キュルケは握手を求めてきた。

ウルキオラはこれも心というものか、と思いながらそれに答える。

「じゃあ、お先に失礼」

そう言うと、炎のような赤髪をかきあげ、颯爽(さっそう)とキュルケは去っていった。

ちょこちょこと、大柄な体に似合わない可愛い動きで、サラマンダーがその後を追う。

キュルケがいなくなると、ルイズは拳を握りしめた。

「くやしー!なんなのあの女!」

ルイズは悔しそうに言った。

「……ところで、あいつがゼロのルイズと言っていたが、『ゼロ』とはなんだ?苗字か?」

「違うわよ!わたしの名前はルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。ゼロはただのあだ名よ」

「あだ名か…あいつが微熱なのはわかるが、お前はなぜゼロなんだ?」

「知らなくていいことよ」

ルイズはバツが悪そうに言った。

「胸か?」

ウルキオラはルイズの胸を見つめて言った。

ルイズの平手が飛んできた。

それをかわす。

「かわすなー!」

「戦闘本能だ」

ルイズは当たらないと思うと早足で歩き出す。

ウルキオラもその後ろについて歩き始めた。




トリステイン魔法学院の食堂は、学園の敷地内で一番背の高い、真ん中の本塔のなかにあった。

食堂の中にはやたらと長いテーブルが三つ、並んでいる。

百人は優に座れるだろう。

二年生のルイズたちのテーブルは、真ん中だった。

どうやらマントの色は学年で決まるらしい。

食堂の正面に向かって左隣のテーブルに並んだ、ちょっと大人びた感じのメイジたちは、全員紫色のマントをつけていた。

三年生だろうか。

右隣のテーブルのメイジたちは、茶色のマントを身につけている。

おそらく一年生だろう。

朝食、昼食、夕食と、学院の中にいるすべてのメイジたち……、生徒も先生もひっくるめて……、ここで食事を取るらしい。

一階上にロフトの中階があった。

先生メイジたちが、そこで歓談に興じているのが見えた。

すべてのテーブルに豪華な飾り付けがなされている。

いくつものローソクが立てられ、花が飾られ、フルーツの盛られた籠がのっている。

ウルキオラがそれを見て、考え事をしている。

(随分と絢爛(けんらん)だな…)

ルイズはそれに気づくと、得意げに指を立て、言った。

鳶色の目が、イタズラっぽく輝いた。

「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」

「ほう」

「メイジはほぼ全員が貴族なの。『貴族は魔法をもってしてその精神となす』のモットーのもと、貴族たるべき教育を、存分に受けるのよ。だから食堂も、貴族の食卓にふさわしいものでなければならないのよ」

「なるほどな」

「平民はこの『アルヴィーズの食堂』には一生入れないのよ」

「アルヴィーズとはなんだ?」

「小人の名前よ。周りに像がたくさん並んでいるでしょう」

言葉のとおり、壁際には精巧な小人の彫像が並んでいる。

「よくできている。動くのか?」

「よく知ってるわね」

「霊圧を感じた」

「霊圧?」

「この世界で言えば魔力のようなものだ」

「ふーん…まあ、いいわ。椅子を引いて」

腕を組んでルイズが言った。

首をくいっとかしげると、桃色がかったブロンドの長い髪が揺れた。

ウルキオラはルイズのために椅子を引いてやった。

ルイズは「ありがとう」と言って腰掛ける。

ウルキオラはルイズの横に立つ。

「豪勢だな」

でかい鳥のローストやワイン、(ます)の形をしたパイなどが並んでいる。

「当たり前よ、このくらい」

「そうか」

「「偉大なる始祖ブリミルと女王陛下よ。今朝もささやかな糧を我らに与えたもうたことを感謝いたします」」

祈りの声が、唱和される。

ルイズも目を瞑ってそれに加わっている。

ウルキオラはテーブルの上に並んだ料理を見て思った。

(これでささやかな糧とはな)

ウルキオラはルイズが食べ終わるまで無言で立っていた。




魔法学院の教室は、石でできている以外は大学の講義室のようである。

講義を行う魔法使いの先生が、一番下の段に位置し、階段のように席が続いている。

ウルキオラとルイズが中に入っていくと、先に教室にやってきていた生徒たちが一斉に振り向いた。

そしてクスクス笑い始める。

先ほどのキュルケもいた。

周りを男子が取り囲んでいた。

(なるほど…男がイチコロというのは本当らしいな…)

周りを取り囲んだ男共に女王のように祭り上げらている。

皆、様々な使い魔を連れていた。

キュルケのサラマンダーは、椅子の下で眠り込んでいる。

肩にフクロウを乗せている生徒もいた。

窓から巨大な蛇がこちらを覗き込んでいる。

男子の一人が、口笛を吹くと、その蛇は頭を隠した。

カラスもいた。

猫もいた。

しかし、ウルキオラが目を引いたのは、他である。

見たことのない生物なので、ルイズに尋ねた。

「あの目の玉はなんだ?」

「バグベアー」

「あの(たこ)は?」

「スキュア」

ルイズは不機嫌な声で答えて、席の一つに腰掛けた。

ウルキオラはその横に立つ。

しばらくすると、扉が開いて先生が入ってきた。

中年の女の人だった。

紫色のローブに身を包み、帽子を被っている。

ふくよかな頬が、優しい雰囲気を漂わせている。

(霊力をもっている所を見ると、あの女も魔法使いか…)

彼女は教室を見回すと、満足そうに微笑んで言った。

「皆さん。春の使い魔召喚は、大成功のようですわね。このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に、様々な使い魔たちを見るのがとても楽しみでしたのよ」

ルイズは俯いた。

「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」

シュヴルーズが、ウルキオラを見てとぼけた声で言うと、教室中がどっと笑いに包まれた。

「ゼロのルイズ!召喚できないからって、没落貴族を連れてくるなよ!」

ルイズは立ち上がった。

長い、ブロンドの髪をゆらして、可愛らしく澄んだ声で怒鳴る。

「違うわ!きちんと召喚したもの!」

「嘘つくな!『サモン・サーヴァント』ができなかったんだろう?」

ゲラゲラと教室中の生徒が笑う。

「ミセス・シュヴルーズ!侮辱されました!かぜっぴきのマリコルヌがわたしを侮辱しましたわ!」

握りしめた拳で、ルイズは机を叩いた。

「かぜっぴきだと?僕は風上のマリコルヌだ!風邪なんか引いてないぞ!」

「あなたのガラガラ声は、まるで風邪を引いてるみたいなのよ!」

マリコルヌと呼ばれた男子生徒が立ち上がり、ルイズを睨みつける。

ウルキオラは霊圧を解放した。

すると、マリコルヌとルイズは立っていられなくなり、椅子に落ちる。

座っていた生徒は体が重くなり、腰を曲げた。

シュヴルーズも教卓に手をつき、体を支える。

「そのへんにしておけ。耳障りだ」

静かになったので、ウルキオラは霊圧を抑える。

ウルキオラの霊圧に驚きながらもシュヴルーズはマリコルヌとルイズを叱る。

「お、お友達をゼロだのかぜっぴきだの呼んではいけません。わかりましたか?」

「ミ、ミセス・シュヴルーズ。僕のかぜっぴきはただの中傷ですが、ルイズのゼロは事実です」

クスクス笑いが漏れる。

ウルキオラはもう一度霊圧を解放する。

「聞こえなかったのか?…耳障りだと言ったはずだ」

マリコルヌは震えた声で言った。

「ぼ、僕は貴族だぞ!没落貴族の君が…」

「黙れ…殺すぞ?」

ウルキオラは霊圧をさっきの倍にした。

「ひっ…」

マリコルヌは尻餅をついて床に落ちた。

教室のクスクス笑いが収まった。

ウルキオラは霊圧を抑える。

それを見たシュヴルーズは、マリコルヌを魔法で椅子に座らせた後、気を取り直して言った。

「で、では、授業を始めますよ」

シュヴルーズは、こほんと重々しく咳をすると、杖を振った。

机の上に、石ころがいくつか現れた。

「私の二つ名は『赤土』。赤土のシュヴルーズです。『土』系統の魔法を、これから一年、皆さんに講義します。魔法の四大系統はご存知ですね?ミスタ・マリコルヌ」

「は、はい。ミセス・シュヴルーズ。『火』『水』『土』『風』の四つです」

シュヴルーズは頷いた。

「今は失われた系統魔法である『虚無』を合わせて、全部で五つの系統があることは、皆さんも知ってのとおりです。その五つの系統の中で『土』はもっとも重要なポジションを占めて入ると私は考えます。それは、私が『土』系統だから、という訳ではありませんよ。私の単なる身びいきではありません」

シュヴルーズは再び、重々しく咳をした。

「『土』系統の魔法は、万物の組成を司る、重要な魔法であるのです。この魔法がなければ、重要な金属を作り出すこともできないし、加工することもできません。大きな石を切り出して建物を建てることもできなければ、農作物の収穫も、今より手間取ることでしょう。このように、『土』系統の魔法は皆さんの生活に密接に関係しているのです。今から皆さんには『土』系統の基本である、『錬金』の魔法を覚えてもらいます。一年生のときにできるようになった人もいるでしょうが、基本は大事です。もう一度おさらいしましょう」

シュヴルーズは、石ころに向かって、手に持った小ぶりな杖を振り上げた。

そして、短くルーンを呟くと、石ころが光りだした。

光がおさまり、ただの石ころだったそれはピカピカ光る金属に変わっていた。

「ゴゴ、ゴールドですか?ミセス・シュヴルーズ!」

キュルケが身を乗り出した。

「違います。ただの真鍮(しんちゅう)です。ゴールドを錬金出来るのは『スクウェア』クラスのメイジだけです。私はただの……」

こほんと、もったいぶった咳をして、シュヴルーズは言った。

「『トライアングル』ですから……」

「ルイズ…」

ウルキオラはルイズに尋ねた。

「なによ…授業中よ」

「スクウェアや、トライアングルとはなんだ?」

「系統を足せる数のことよ。それでメイジのレベルが決まるの」

「どういう意味だ?」

ルイズは小さい声でウルキオラに説明した。

「例えばね?『土』系統の魔法はそれ単体でも使えるけど、『火』の系統を足せば、さらに強力な呪文になるの」

「ほう?」

「『土』『火』のように、二系統足せるのが『ライン』メイジ。シュヴルーズ先生みたいに、『土』『土』『火』、三つ足せるのが『トライアングル』メイジ」

「同じ物を二つ足してどうする?」

「その系統がより強力になるわ」

「なるほど…つまり、あそこの女は『トライアングル』だから、強力なメイジ…というわけか…」

「そのとおりよ」

「ルイズはいくつ足せるんだ?」

ルイズは黙ってしまった。

ルイズとウルキオラが喋っているのを見て、シュヴルーズが言った。

「ミス・ヴァリエール!」

「は、はい」

「授業中の私語は慎みなさい」

「すいません…」

「おしゃべりする暇があるのなら、あなたにやってもらいましょう」

「え?わたし?」

「そうです。ここにある石ころを、望む形に変えてごらんなさい」

ルイズは立ち上がらない。

困ったようにもじもじするだけだ。

「ご指名だ。行ってこい」

ウルキオラが促した。

「ミス・ヴァリエール!どうしたのですか?」

シュヴルーズ先生が再び呼びかけると、キュルケが困った声で言った。

「先生」

「何です?」

「やめといた方がいいと思いますけど……」

「どうしてですか?」

「危険です」

キュルケは、きっぱりと言った。

「危険?どうしてですか?」

「ルイズを教えるのは初めてですよね?」

「ええ。でも、彼女が努力家ということは聞いています。さあ、ミス・ヴァリエール。気にしないでやってごらんなさい。失敗を恐れていては、何もできませんよ?」

「ルイズ。やめて」

キュルケが蒼白な顔で言った。

しかし、ルイズは立ち上がった。

「やります」

そして、緊張した顔で、つかつかと教室の前へと歩いていった。

隣に立ったシュヴルーズはにっこりとルイズに笑いかけた。

「ミス・ヴァリエール。錬金したい金属を、強く心に思い浮かべるのです」

こくりと可愛らしく頷いて、ルイズが手に持った杖を振り上げた。

唇を軽くへの字に曲げ、真剣な顔で呪文を唱えようとするルイズはこの世のものとは思えないほどに愛らしい。

窓から差し込む朝の光に、ルイズの桃色がかったブロンドの髪が光っている。

宝石のような鳶色の瞳。

抜けるような白い肌。

高貴さを感じさせる、つくりのいい鼻……。

あれで、もう少し胸があれば男からすれば完璧だろう。

なぜかウルキオラの前の席に座っていた生徒は椅子の下に隠れた。

ウルキオラはキュルケに尋ねた。

「なぜ皆身を隠している?」

「危険だからよ!あなたも隠れなさい」

「危険だと?」

ウルキオラはルイズの方を見た。

ウルキオラはルイズの杖に膨大な霊力が練られているのを感じた。

そして、それが制御できていないのにウルキオラは気づいた。

「これは…」

(俺の放つ虚弾と同程度の霊力だと?)

ルイズは目をつむり、短くルーンを唱え、杖を下ろす。

(まずいな…)

ウルキオラは響転(ソニード)を使い、教卓の前に移動する。

ウルキオラが一瞬で移動したのを見て、ルイズを含む周りの生徒とシュヴルーズは驚いた。

ウルキオラは教卓の上にある石を掴んだ。

その瞬間、ウルキオラの手から煙が出る。

「ちょ、ちょっとあんた!急になにすんのよ!」

ルイズはウルキオラに文句を言うが、ウルキオラは無視する。

ウルキオラは外に向かって掴んでいる石を投げる。

石は窓ガラスを突き破り、空中に放り出される。

次の瞬間、石は爆発した。

爆風で窓ガラスは割れたが、教室内にそれ以外の被害はない。

「な、なんだ…いつもの失敗か…」

1人の男子生徒が言う。

「だから言ったのよ!あいつにやらせるなって!」

キュルケが叫ぶ。

「もう!ヴァリエールは退学にしてくれよ!」

1人の女子生徒が言った。

ウルキオラは驚いていた。

これまた、ウルキオラの放つ虚弾と同程度の威力だったからだ。

シュヴルーズ先生は驚いたのか、尻餅をついたまま動かない。

ルイズは石が爆発したのを見て言った。

「ちょっと失敗みたいね」

当然、他の生徒たちから猛然と反撃を食らう。

「ちょっとじゃないだろ!ゼロのルイズ!」

「いつだって成功確率、ほとんどゼロじゃないかよ!」

「今日はあんたの使い魔が居たから無事なだけよ!」

ウルキオラは、どうしてルイズが『ゼロのルイズ』と呼ばれているのか理解した。 
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