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ロックマンX~5つの希望~

作者:setuna
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第二十四話 エックスSIDE9

 
前書き
エックスSIDE9 

 
宮殿の頂上で邪悪な気配がした。
彼等はもう分かっている。
この事件の黒幕の気配だと。
5人は転送装置に駆け寄ろうとするが…。

ルナ「!!?」

衝撃波がルナの足元付近に炸裂した。

ウェントス「やはり来たか、イレギュラーハンター共」

グラキエス「まだ僕達との決着はついてないだろ?勝ち逃げなんかさせないよ」

イグニス「これ以上、先へは行かせない!!」

テネブラエ「あの方の覇道に立ち塞がる者は誰1人生かしはせん」

四天王が立ち塞がる。

エックス「(まずいな…)」

奴との戦いを控えているというのにあまり体力を消耗したくはない。
ゼロは舌打ちするが、ルナとルインが前に出る。

ルイン「エックス、ゼロ、アクセル。ここは私達に任せて先を急いで!!」

ルナ「お前らは黒幕をぶっ潰せ!!」

チャージショットとリフレクトレーザーがウェントスとテネブラエに迫る。

エックス「(ルイン、任せた)」

ルイン「(分かってる、心配しないで)」

2人はそれを回避したが、エックス達は転送装置に駆け寄り、転送された。

ウェントス「貴様ら…」

ルイン「あなた達が使ってるアーマー…それは元々私の力の一部、あなた達のオリジナルとして私が相手になるよ!!」

ルインとルナがバスターとバレットを構え、ウェントス達を睨み据えた。



































転送されたエックスは今まで感じたことのある邪悪な気配がすることに気づいた。
今回の首謀者も奴だったようだ。

アクセル「出て来なよ。いるのはわかってるんだよ、“センセイ”」

途端、高笑いと共に、階下からその男が飛び上がって来た。
黒いマントを撥ね除け、彼らを見下ろす。

シグマ「ご苦労だったな。ここまで来てくれるとはこちらから出向く手間が省けた。役立たず共は全てやられたようだしな」

エックス「(シグマ…シグマ隊長……)」

見上げる巨体。
ライフルとレーザー砲を携えた姿はとても物々しく、彼が人間型とはにわかには認められなかった。
今まで何度も目にした姿ではあるが、ここまで機械的なのは初めてではないだろうか。
だが、最強のイレギュラーとしての威圧感と凶悪なオーラは健在であった。

エックス「やはりお前だったのか……シグマ!!」

ゼロ「懲りない奴だな。どんなに細かく斬り刻んでも、また出て来やがる」

セイバーを抜き、ヒュッと空を裂いて構えるゼロ。

シグマ「フン、何とでも言え。ワシは貴様らを倒し、世界の覇者となるまで、何度でも、何度でも、な・ん・ど・で・も!蘇ってやる!!」

アクセル「世界の覇者?裸の王様もいいところだね…今すぐ殺してあげるよ…!!」

ゾッとする声と共にバレットから銃弾が放たれた。

シグマ「甘いわ!!」

シグマは跳躍してかわし、ライフルを構え、アクセル達に向けて放った。
かわし損ねたアクセルが呻く。
脛から血が流れている。

ゼロ「アクセル!!」

シグマ「どうした小僧。ワシを倒すのではなかったか?」

アクセル「くっ…言われなくてもやってやるよ!!」

エックス「落ち着けアクセル。怒りに我を忘れればシグマの思う壷だ。攻撃を見極めて隙を叩くんだ」

落ち着くように促すとアクセルも頷いた。

アクセル「…分かったよ」

エックス「(奴の出方を読むんだ。空中に飛んだら連射攻撃、地上ではバウンドショットを3発放つ。そして…)」

エックスはシンクロシステムを駆使し、アクセルとゼロの電子頭脳に指示を出す。
シグマが部屋の隅に身を置いた時、紫色のレーザーが放たれた。

アクセル「(来たよ!!)」

ゼロ「(落ち着け、レーザーは屈めば当たらない。俺のセイバーでは届かない。エックス、アクセル。任せたぞ)」

エックス「(分かった)」

ダメージの危険のためにシンクロシステムを解除し、アクセルはシグマの体勢を崩す為にサークルボムを構え、放つ。

シグマ「ぬう!!?」

爆風を受けて体勢を崩したシグマ。
それを見て、一気に間合いを詰めたゼロはセイバーを薙刀に変形させ、一気に突き出した。

ゼロ「水裂閃!!」

強烈な突きはシグマの胴体に風穴を空けた。

エックス「エクスプロージョン!!」

エックスの持つ特殊武器の中でも桁外れの破壊力を誇るエクスプロージョンがシグマを飲み込んだ。

シグマ「お…己…!…だが…まだだ…まだ終わらんよ…!!」

その言葉を訝しる間もなく、部屋の外が光り出す。
それは内部にも入ってきて、3人は目を開けていられず両腕で顔を覆った。
シグマの哂い声と共に、覚えのある感覚が彼らを包んだ。



































ゼロ「宇宙…?」

アクセル「嘘!?どうして宇宙に!!?」

エックス「多分、シグマが真の姿を現すにはあの空間では狭いんだ。だから宇宙に転送した。」

いつもと同じだ。
倒したという希望の次は大きな驚愕が襲い掛かる。
少し間を置いた後、シグマがその巨体をさらけ出した。
10mはあろうか。
見上げれば首が攣りそうな体躯に頑強な拳を持ち、腹部にはレーザーの砲台がある。
ゼロは周りを見渡す。足場はそこまで広くない岩ばかりで、シグマの周囲を螺旋階段に近い形で浮かんでいる。
相手は恐らく、自在に動けるのだろう。
圧倒的不利に、思わず舌打ちが零れる。

エックス「アクセル、気をつけろ、落ちたら死ぬぞ」

アクセル「分かってるよ。心配しないで」

シグマ「ハーハハハハッ、ここからが本番だ!!」

耳障りな高笑いと共に紅い光弾が迫る。
エックスはグライド飛行で次の足場に移り、チャージショットを放った。
しかし、シグマの姿が消えた。

エックス「(消えた…)」

次の攻撃に備えると、シグマは闇を飛び出し、拳を前に急接近する。
狙いはアクセル。

エックス「!!?」

アクセル「うわっ!!?」

狙いを自分だと思っていたエックスはまさかアクセルが狙われるとは思わなかったために目を見開いたが、即座に指示を出す。

エックス「アクセル、その足場は脆い。早く移らないと崩れ落ちるぞ!!」

アクセル「分かってるよ!!」

エックスの言葉に口を尖らせながら次の足場に移る。

ゼロ「(アクセル、エックス)」

シンクロシステムで再びに電子頭脳に声が響く。

ゼロ「(レーザーはホバーとグライディング(グライド飛行)でかわせばいい。俺はダブルジャンプでやり過ごすが…追尾式の弾はガイアシールドで跳ね返せ)」

アクセル「(よく分かるね?)」

的確なアドバイスにアクセルは脱帽の思いだ。

ゼロ「(一度見た攻撃は覚えている。それに奴とは嫌というほど戦っているから考えなどお見通しなんだよ)」

アクセル「(成る程ね)」

シグマ「小癪な奴らめ…」

シグマが呻いた。
アクセルはゼロのアドバイス通りに戦い、シグマに確実にダメージを与えていく。
ゼロとアクセルがシグマと激戦を繰り広げる中、エックスは静かに佇み、シグマを見上げていた。

エックス「(シグマ…これで7度目か…あの人と戦うのは…最初は恐ろしくて仕方なかった。でも怒りで恐怖を抑え込んで戦った。2度目はゼロを利用した怒りを持って倒した。それからあの人は他人を欺き、弄んで来た。許せなかった。何の罪もない人を傷つけて…だから俺はみんなをあの人から守ろうと戦い続けた。)」

胸中で呟いていたエックスは静かにシグマを見ると口を開いた。

エックス「この戦いが最後だ…」

静かに闘志を燃やしながらエックスは呟く。

エックス「俺はいつも迷ってばかりだった。戦うことで本当に平和を取り戻せるのかと、ずっと考えていた。その迷いが怯えとなってバスターを封じてしまった…けれど俺はもう迷わない。貴様を倒し、平和を取り戻すんだ!!」

アクセル、ゼロ…そしてクリムゾンパレスで四天王と戦っているルインとルナと共に。

ゼロ「その通りだエックス」

アクセル「こんな奴、早くやっつけちゃおう!!」

3つの力が今、1つの閃光となる。
シンクロシステムによる連携攻撃、コンビネーションアサルト。
いや…。

アクセル「全エネルギー解放!!」

ゼロ「受けてみるがいい!!」

エックス「みんな、終わらせるぞ!!」

シグマ「馬鹿な…お前達の力は…ワシの想像を超えている…!!」

シグマは愕然とし、譫言を吐いた。

エックス、ゼロ、アクセル「「「ファイナルストラーーーーイクッ!!!!」」」

輝きがシグマを討ち滅ぼし、エックス達は再び、地上に転送されたのだった。 
 

 
後書き
エックスSIDE9終了。 
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