| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

『自分:第1章』

作者:零那
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

『真実』

このクソ暑い真夏に。
ただでさえ大っ嫌いな真夏に。
嫌でも脳裏に貼り付いて剥がれん...
養父の気色悪い記憶と感触と汗臭さが鮮明に蘇る。
膣と子宮の痛みも...
真夏は狂い死にしそうなくらい大っ嫌い。
追い討ちかけんといて。
過呼吸も悪化する。
頭が割れそうなくらい痛い。

逃げたい。
耐えれん。
死にたい。
殺して...

そんな根深い闇から這い上がって足掻いて生きてきたのに...

母さんを放置して逃げた。
裸足のまま走り出した。
港に着く。
手首を切り落としてしまおうか。
海に沈んで堕ちて逝きたい。
海月と共に、この広い海に抱かれて融けて消えてしまいたい。

バス停のあの重い石を括り付ければ、泳げてしまう自分でも海底迄沈める筈。
苦しいだろうけど沈めるなら確実に死ねる。

飛び降りも薬物も自傷行為も...繰り返す度に死に損なった。
次は完全に確実に死にたい。


また、あの時みたいに考えてる...組長と約束した筈...死なんって...
あの時の皆の想いを裏切るん?
組長を...?

あかん。
シッカリ生きなあかん。
あの時に堪えた涙、堪えきれずに溢れ流れた涙。
無理矢理笑って皆と分け合った苦しみ。
同じ傷を抱えた...
あの時に比べれば...



独りで耐えてきた。
深い深い闇に堕ち涙すら流れず凍り付いた心。
誰も手を差し伸べてくれず助けを求めることを諦めた。
壊れて堕ちていった。
あの頃に比べれば...


今迄確かに辛かった。
苦しかった。
何回も自殺未遂を繰り返して、それでも今此処に生きてる。
今、此処で...
自分の存在がある。
それが全て。
生きてる。
生きていく。
生きなあかん。
支えてくれてる人が必ず居る。
受け止めてくれる人が居る。
心配してくれる人が居る。
大事にしたいと想える人が居る。
大事に想ってくれてる人が居る。
そんな人達が今の零那を見たらどう思うか...
ガッカリさせたくない。
成長したい。
成長し続けたい。
冷静になってから帰宅した。

 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧