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小ネタ箱

作者:羽田京
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リリカルなのは
  凡人ゲットだぜ!

 
前書き
・ティアナ回 

 
 雨が降っていた。


 兄は、執務官を目指すほど正義感の強い人だった。
 私は、そんな兄を尊敬し、応援していた。
 だから、許せない。
 任務中に殉職した兄が、なぜ批判されなければならないのか。
 涙がとめどもなく流れていた。
 傘もささず墓の前で突っ立っているために、雨と涙の区別がつかないのは幸いだった。
 兄を無神経に批判している者たちの前で、弱みを見せたくはなかった。


「兄さん……」


 兄としたしかった人物も、世間からの批判を恐れて、気まずそうな顔をして帰ってしまった。
 これからどうすればいいのだろう。
 兄と二人きりで生きてきた自分にとって、頼れる人はいなかった。
 10歳にして天涯孤独。
 今、墓の前にいるのは、私一人――そのはずだった。


「ティアナ君だね?」


 ふと顔を上げると、馴染みの顔があった。
 彼は、兄とも親しく、兄の紹介で何度か会ったことがある。
 この葬儀も、幼く不慣れな私に変わって、取り仕切ってくれていた。
 世間体を恐れて去って行った他の人と同じように、すでにこの場にいないものだと思っていた。


「ティーダから君のことを託されてる。もしものときのため、と彼は言っていた」


 そういって彼――アンデルセン神父は、懐から手紙を取り出した。
 あて先は私、書いたのは兄だった。
 その手紙には、自分が死亡した場合、どうすればいいのか書かれていた。
 保険金が下りるので、生活には困らないだろうということ。
 何かあれば、アンデルセン神父を頼ればいいということ。
 最後に、側にいてやれない不甲斐ない兄ですまないということ。


 全てを読んだ私は、その場で泣き崩れた。
 そんな私に近づいて、あやすように抱き、背中をたたいてくれるアンデルセン神父。
 ひとしきり泣いた後、彼とともに、教会の中に移動した。
 風邪をひかないように、と、教会のお風呂を借りたあと、ホットミルクを出してくれる。
 冷えた身体が温まったことで、一息つく。
 その場で、今後のことについて相談した。


「ティアナ君。ティーダの手紙に書いてあったように、キミが成人するまでの生活には困らないと思う」

「はい、そのように書いてありました」

「次に、確認だが、私がティアナ君の後見人を務めることでいいかね?」

「はい。アンデルセン神父を頼る様に、書いてありました」


 いくつかの確認のあと、わかった、というアンデルセン。


「これからどうするか、どうしたいのか、考えはあるかね?」

「私は…私は……、兄さんの後を継いで、執務官になりたい!」


 秘めた思いを吐き出すことで、感情が高ぶる。
 葬儀で必死に耐えた反動か、思いつくままに口が動く。
 管理局を批判し、世間に憎悪し、目の前のアンデルセン神父までも、八つ当たりで罵声をあびせた。
 そんな私の子供じみた所作を黙って受け入れてくれた。
 ひとしきり泣き喚いた後、ふと冷静になり、顔を赤くして黙り込んでしまう。
 ごめんなさい、と頭を下げ小声で謝る。
 アンデルセン神父の顔を盗み見ると、穏やかな笑顔を浮かべていた。


「気にすることはない。兄を思うキミの心は、尊いものだ。それに、子どもが遠慮する必要はない」


 子ども扱いされた。まあ、あれだけ泣き喚いたのだから仕方がないだろう、と自分を慰める。
 気を取り直すように、自分なりに考えた今後の計画を述べていく。


「執務官になるために、まずは管理局の訓練学校に入校したいと思います」

「ふむ。悪い手ではないな。寮に入れば生活のことを考えなくてすむか」


 彼は、賛意を示す。苦笑しながら付け加えた。


「これでは、私の立場がないな。何もすることがない」

「いえ、アンデルセン神父には頼みたいことがあります!」


 ほう?と面白そうな顔をする。
 そんな彼に、頼み込む。


「私を強くしてくださいッ!」


 頭を深く下げて頼み込む。
 アンデルセン神父は、オーバーSランクの騎士だと、兄から聞いていた。
 教導もしているらしく、非常に評判がいいとも。


「頭をあげなさい」
 

 いわれるままに頭をあげ、神父を真正面kならみる。


「その程度のことなら、喜んで手伝おう」

「ありがとうございます!」


 私は知らなかった。
 この後私に地獄が待っていることを。





 凡人ゲットだぜ!
 

 はあ、罪悪感がマックス。
 ティーダが殉職することは原作知識で知っていた。
 知ってはいたが、具体的ことは何一つわからなかった。
 アンデルセンの姿でティーダと親しくなり、安全な部署に引くようにいった。
 ティアナのことも考えろ!と言って喧嘩までしたが、彼の心は変わらなかった。
 苦肉の策として、ティーダになにかあったときに、後見人になることを申し出たら、喜ばれた。
 こんなセコイことしかできない自分が恨めしい。


 で、ティーダは殉職した。
 仕方なかったといえば、仕方なかったし。
 何かできたかといえば、何かできたのだろう。
 暗く落ち込んでいたら、ウーノに心配されてしまったな。
 ティアナの方がつらいだろう。
 泣き叫ぶティアナを見て思う。
 原作とは関係なく、彼女を守っていこう、と。


 さーて、俺の地獄のブートキャンプが、はっじまっるよー!


 スバル君。キミも参加しなさい。
 え?いやだって?いやいや、強制です。
 目指せティアナと最強コンビ! 
 

 
後書き
・フラグを立てまくるアンデルセン。スカリエッティ?誰ですかそれ? 
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