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遊戯王GX-音速の機械戦士-

作者:蓮夜
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―卒業デュエル 決着―

 
前書き
風邪気味だ……のど痛い……

※前話が、暁のシステムトラブルにより消失しました。
バックアップも無くどうしようも無いので、現在修正中です。
 

 
現在の状況

遊矢
LP1500

フィールド
《ライトニング・ウォリアー》 攻撃表示
《死力のタッグ・チェンジ》 表側表示
リバースカード二枚


LP1400
フィールド
無し。


「俺のターン、ドロー」

 フィールドだけを見ると俺の方が有利なのだが、相手は亮。
それだけで、少しぐらいの有利では油断してはダメだという判断基準になる。

「俺は《貪欲な壺》を発動。墓地から《サイバー・ツイン・ドラゴン》《キメラテック・フォートレス・ドラゴン》《サイバー・ドラゴン・ツヴァイ》《サイバー・ドラゴン》二体の、計五枚のカードをデッキに戻し、二枚ドローする」

 貪欲な壺。
融合モンスター中心の亮には、簡単に墓地が肥えるので良いドローカードなのだろう。
そして、亮は二枚ドローし……笑った?

「俺のフィールドにモンスターはいない。《サイバー・ドラゴン》を特殊召喚」

サイバー・ドラゴン
ATK2100
DEF1600

「更に、《プロト・サイバー・ドラゴン》を召喚」

プロト・サイバー・ドラゴン
ATK1100
DEF600

 亮のフィールドに揃う二体のサイバー・ドラゴン。
一体は、サイバー・ドラゴンという名になったプロト・サイバー・ドラゴンだが……なんとも嫌な予感がするのは俺だけだろうか。

「行くぞ、遊矢……俺は《融合》を発動! 手札の《サイバー・ドラゴン》二体と、フィールドの《プロト・サイバー・ドラゴン》を融合し、《サイバー・エンド・ドラゴン》を融合召喚する!」

サイバー・エンド・ドラゴン
ATK4000
DEF2800

「ふ……ふざけんな!」

 亮の切り札である、サイバー・エンド・ドラゴンの登場に、ついつい声を荒げる。
先程の貪欲な壺で、《サイバー・ドラゴン》二体を戻したばかりなのだ。
一体は元々あったとしても、貪欲な壺の二枚ドローで、サイバー・ドラゴン二体を引いてきたというのか……!

「フッ……デッキも応えてくれている、ということか……バトル! サイバー・エンド・ドラゴンで、ライトニング・ウォリアーに攻撃! エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 この攻撃を受ければ俺は負ける……!

「負けてたまるか! リバースカード、オープン! 《ガード・ブロック》!」

 ライトニング・ウォリアーは、残念ながらエターナル・エヴォリューション・バーストに吹き飛ばされてしまうが、ガード・ブロックが俺への戦闘ダメージを0にする。
加えて、ガード・ブロックの効果で一枚ドローする。

「まだ攻撃は残っている。サイバー・ドラゴンで、遊矢にダイレクトアタック! エヴォリューション・バースト!」

「二枚目のリバースカード、オープン! 《ダメージ・ダイエット》! 戦闘ダメージを半分にする……ツッ!」

遊矢LP1500→450

 戦闘ダメージを半分にしたおかげで、首の皮が一枚つながる。

「……攻めきれなかったか……ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー!」

 やはり、一気にフィールドの状況が逆転する……油断していたつもりは無いのだが……
しかし、亮のデッキの弱点は手札消費が荒いこと。
切り札である、サイバーエンド・ドラゴンの登場の代わりに、俺の攻撃を防ぐリバースカードは無い。

「俺は《マッシブ・ウォリアー》を召喚!」

マッシブ・ウォリアー
ATK600
DEF1200


「更に、通常召喚に成功したことにより、《ワンショット・ブースター》を特殊召喚する!」

ワンショット・ブースター
ATK0
DEF0

「そのモンスター達は……!」

 俺のフィールドに現れた、要塞の機械戦士とミサイルを積んだ機械を見て、亮の顔が少し歪む。

「この組み合わせで、何が起きるかはわかるだろ? バトル! マッシブ・ウォリアーで、サイバーエンド・ドラゴンに攻撃!」

 攻撃力の差分は、ざっと3600。
当然適うはずも無いが、マッシブ・ウォリアーは一度の戦闘では破壊されず、戦闘ダメージも受けない。


 そして、マッシブ・ウォリアーが攻撃したことにより、ワンショット・ブースターの効果が発動出来るようになる!

「メインフェイズ2、ワンショット・ブースターの効果を発動! ワンショット・ブースターは自身をリリースすることで、戦闘で破壊されなかった相手モンスターを破壊出来る! 蹴散らせ、ワンショット・ブースター!」

 ワンショット・ブースターから放たれた二つのミサイルが、サイバー・エンド・ドラゴンの首の連結部分に寸分違わず当たり、サイバー・エンド・ドラゴンの機能を停止させた。

「更にカードを一枚伏せ、ターンエンド!」


「俺のターン、ドロー
……通常魔法《天よりの宝札》! お互いに、手札が六枚になるようにドローする」
 噂に名高い最強のドローカードにより、俺と亮はお互いに手札が六枚になるようにドローする。

「装備魔法《再融合》を発動! 800ポイントのライフを払い、墓地のサイバー・エンド・ドラゴンを特殊召喚する!」


亮LP1400→600

 先程、マッシブ・ウォリアーとワンショット・ブースターにやられた筈のサイバー・エンド・ドラゴンが、亮のライフ800を犠牲に墓地から蘇ってくる。

サイバー・エンド・ドラゴン
ATK4000
DEF2800

「バトル! サイバー・ドラゴンで、マッシブ・ウォリアーに攻撃! エヴォリューション・バースト!」

「だが、マッシブ・ウォリアーは戦闘ダメージを無効にし、一度だけ戦闘では破壊されない!」

 サイバー・ドラゴンから放たれた光弾に、持ち前の効果でマッシブ・ウォリアーは耐える。
だが、まだ亮のフィールドにはモンスターがいる。

「分かっている……続けて、サイバー・エンド・ドラゴンで攻撃! エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 一つの光弾に耐えているところに、更に強力な三つの光弾がマッシブ・ウォリアーを襲い、盾が防ぎきれず破壊された。

「……だが、マッシブ・ウォリアーの効果によって、俺は戦闘ダメージを受けない」


 マッシブ・ウォリアーは、エターナル・エヴォリューション・バーストを俺まで貫通させずに破壊された。

「カードを一枚伏せ、ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

 戦闘ダメージを二回も防いでくれたマッシブ・ウォリアーに感謝しつつ、先程とほぼ同じ状況である亮のフィールドに目を向ける。
《再融合》を装備した、亮の切り札《サイバー・エンド・ドラゴン》に、主力モンスターである《サイバー・ドラゴン》とリバースカード一枚。
こちらはリバースカード二枚のみ。


「速攻魔法《手札断殺》を発動! お互いに二枚捨て、二枚ドロー!」

 とりあえず対処法は、ドローしてから考える。
さあて、毎度お馴染み……はなし。
墓地発動のカードを捨てたわけじゃない。

「リバースカード、オープン! 《リミット・リバース》! 攻撃力1000以下の、《ガンドレッド・ウォリアー》を特殊召喚!」

ガンドレッド・ウォリアー
ATK500
DEF1600

 先程、手札断殺によって墓地に送ったガンドレッド・ウォリアーを特殊召喚する。

「更に、《ハイパー・シンクロン》を召喚!」

ハイパー・シンクロン
ATK1600
DEF800

 蒼色のボディのシンクロン。
チューナーと非チューナーが揃い、シンクロ召喚の準備が完了する。

「レベル3のガンドレッド・ウォリアーに、レベル4のハイパー・シンクロンをチューニング!」

ハイパー・シンクロンが胸部のパーツを開け、四つの光体がガンドレッド・ウォリアーを包む。


「集いし刃が、光をも切り裂く剣となる。光差す道となれ! シンクロ召喚! 現れろ! 《セブン・ソード・ウォリアー》!」

セブンソード・ウォリアー
ATK2300
DEF1800

七つの剣を持つ、金色の鎧の機械戦士が現れる。
更に八つめを装備することで、更なる力を発揮する。

「セブンソード・ウォリアーに《神剣―フェニックスブレード》を装備する」

セブンソード・ウォリアー
ATK2300→2600

「そして、セブンソード・ウォリアーの効果を発動! 装備魔法を装備した時、相手ライフに800ポイントのダメージを与える!」


 亮のライフは残り600。
セブンソード・ウォリアーが持つ剣を投げ、亮に当たれば俺の勝ちだ。

「イクイップ・ショット!」

「リバースカード、オープン! 《ダメージ・ポラリライザー》! ダメージを無効にし、お互いに一枚ドローする!」

 ……終わらなかったか。 
亮の偏光ガラスが、セブンソード・ウォリアーの投げた剣を防いでどこかに吹き飛ばした。

「くっ、防がれたか……だが、セブンソード・ウォリアーの第二の効果を発動! このカードに装備されている装備魔法カードを墓地に送ることで、相手モンスターを破壊する! 俺は神剣―フェニックスブレードを墓地に送り、サイバー・エンド・ドラゴンを破壊する! ソードブレイカー!」


 先程と同じように、神剣―フェニックスブレードをサイバー・エンド・ドラゴンに投げる。
今度の剣は妨害されず、神剣―フェニックスブレードは確実にサイバー・エンド・ドラゴンを仕留めた。

「くっ……! サイバー・エンド・ドラゴンが……!」

 再融合が破壊されたわけでは無いため、サイバー・エンド・ドラゴンは破壊され墓地に送られる。

 そして、残りはサイバー・ドラゴン一体。
ここで、墓地の神剣―フェニックスブレードの効果を使うかどうか。
墓地の戦士族二体を除外することで、神剣―フェニックスブレードは手札に戻るが、墓地アドバンテージを失う上に、セブンソード・ウォリアーの攻撃力が上がったとしても亮にはトドメはさせない。
ならば、次のターンの効果ダメージを与えるのにとっておく。

「バトル! セブンソード・ウォリアーで、サイバー・ドラゴンに攻撃! セブンソード・スラッシュ!」

 七つの剣閃が煌めき、サイバー・ドラゴンを切り裂いた。

「ぐうっ……!」

亮LP600→400


 ライフポイントがたった50の差に詰まり、伯仲としたデュエルである事を証明する。
逆転し、逆転の連続だった。

「決めるつもりだったけどな……ターンエンドだ」

「俺のターン、ドロー」

 もういい加減、ハイパワーのモンスターを倒すのに疲れたんだが、どう来る?

「……フッ。通常魔法《オーバーロード・フュージョン》を発動! 墓地の機械族、七体を除外し……《キメラテック・オーバー・ドラゴン》を融合召喚する!」

キメラテック・オーバー・ドラゴン
ATK?→5600
DEF?→5600

 七つの頭を持つ機械龍――サイバー・エンド・ドラゴンが表の切り札ならば、このキメラテック・オーバー・ドラゴンは裏の切り札――!

「行くぞ、キメラテック・オーバー・ドラゴンで……」

「そいつを待ってた! 手札から《エフェクト・ヴェーラー》の効果を発動! 相手モンスターの効果を無効にする!」

 キメラテック・オーバー・ドラゴンの身を、俺の手札から現れたラッキーカードが包む。
いくら攻撃力が5600であっただろうと、効果を無効にされては力を失った。

「キメラテック・オーバー・ドラゴン……そいつの登場を待ってた」

 亮との初めてのデュエル。
エフェクト・ヴェーラーによって効果を無効にし、スピード・ウォリアーによって勝負を決めた。

 ――だが待て。
あの亮が、同じミスを二度もするか?

「フッ……やはりな……速攻魔法《トラップ・ブースター》を発動! 手札を一枚捨て、手札からトラップカードを発動することが出来る! 俺が発動するのは――《異次元からの帰還》!」

「何ッ!?」

 まさかオーバーロード・フュージョンは、キメラテック・オーバー・ドラゴンよりこっちが目的だったのかッ……!?

「ライフを半分払い、《サイバー・ドラゴン》を三体、《サイバー・ヴァリー》を一体特殊召喚する!」

亮LP400→200

サイバー・ヴァリー
ATK0
DEF0

サイバー・ドラゴン×3
ATK2100
DEF1600

「サイバー・ヴァリーの効果発動。このカードと、キメラテック・オーバー・ドラゴンを除外することで、カードを二枚ドローする」

 サイバー・ヴァリーとキメラテック・オーバー・ドラゴンが時空の渦に消え、エフェクト・ヴェーラーを使って出た隙も消えた。


「そして通常魔法《融合》! サイバー・ドラゴン三体を融合し、《サイバー・エンド・ドラゴン》を再び融合召喚する!」

サイバー・エンド・ドラゴン
ATK4000
DEF2800

「……マジかよ」

 何度破壊しても蘇ってくるサイバー・エンド・ドラゴンに、若干辟易としながらも、倒すべきモンスターを見据える。

「バトル! サイバー・エンド・ドラゴンで、セブンソード・ウォリアーを攻撃! エターナル・エヴォリューション・バースト!」

「忘れられてるトラップカード、《死力のタッグ・チェンジ》を発動! 表側表示のモンスターが破壊される時、手札から戦士族モンスターを召喚することで、戦闘ダメージを0にする! 来い、《レスキュー・ウォリアー》!」

レスキュー・ウォリアー
ATK1600
DEF1700

 セブンソード・ウォリアーは破壊されたものの、レスキュー・ウォリアーが俺への衝撃の余波を防ぐ。

「……ターンエンド」

「俺のターン、ドロー!」

 紙一重でサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃を避け、カードをドローする。


「俺は《マジック・プランター》を発動! フィールドの《死力のタッグ・チェンジ》を墓地に送り、二枚ドローする!」

 手札にサイバー・エンド・ドラゴンを破壊出来るカードは無い。
死力のタッグ・チェンジを捨ててでも、二枚ドローする。

「……よし。《セカンド・ブースター》を通常召喚!」

セカンド・ブースター
ATK1000
DEF500

 ひさびさに出て来た強化パーツが、レスキュー・ウォリアーの背後を飛ぶ。

「墓地の《ADチェンジャー》の効果を発動! サイバー・エンド・ドラゴンの表示形式を変更し、バトル!」

 手札断殺の時に墓地に送ったADチェンジャーにより、サイバー・エンド・ドラゴンは防御体勢をとる。

「更に、セカンド・ブースターの効果を発動! このカードをリリースすることで、レスキュー・ウォリアーの攻撃力を1500ポイントアップする!」


レスキュー・ウォリアー
ATK1600→3100

 セカンド・ブースターが、レスキュー・ウォリアーの背中にピタリと付き、まさしくブースターとなってレスキュー・ウォリアーをサポートする。
そして、レスキュー・ウォリアーがサイバー・エンド・ドラゴンにそのホースを突き刺し、直接内部に攻撃してサイバー・エンド・ドラゴンを破壊した。
しかし、守備表示である為にダメージは通らない。

「カードを一枚伏せ、ターンエンドだ……!」

「俺のターン、ドロー
……《強欲な壺》を発動し、二枚ドロー!」

 ここに来て強欲な壺……!
相変わらずの亮に舌を巻き、どうかこれ以上、サイバー・エンド・ドラゴンが現れないでくれと願う。
……だが、それとは裏腹に、俺は、サイバー・エンド・ドラゴンがまた現れると思っていた。
……そうでなくっちゃ、面白くない……!

「俺は、《サイバネティック・フュージョン・サポート》を発動! ライフを半分払うことで、機械族融合モンスターを融合する時、墓地のモンスターを融合素材に出来る!」

亮LP200→100

 やはり現れる。
亮のライフはわずか100ポイントになったが、最強のサイバー・エンド・ドラゴン――!

「《パワー・ボンド》を発動! 墓地のサイバー・ドラゴンを三体融合し……《サイバー・エンド・ドラゴン》を融合召喚!」

サイバー・エンド・ドラゴン
ATK4000→8000
DEF2800

 最後まで俺に立ちふさがる、サイバー・エンド・ドラゴン。
しかも、丸藤兄弟の思い出の魔法カード《パワー・ボンド》によって、攻撃力は倍の8000。

「バトル! サイバー・エンド・ドラゴンで、レスキュー・ウォリアーに攻撃! エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 今までで一番強い光弾が俺に迫るが、レスキュー・ウォリアーも負けじと応戦した。
残念ながら負けてしまうが……レスキュー・ウォリアーが放った水は、俺の周りを覆う障壁となり、俺のライフを守る。

「レスキュー・ウォリアーは、自分への戦闘ダメージを0にする!」

「メインフェイズ2、《サイバー・ジラフ》を召喚し、リリース」

サイバー・ジラフ
ATK300
DEF800

 デュエル・アカデミアのカイザーとまで呼ばれた男が、レスキュー・ウォリアーの効果を知らない筈がない。
戦闘ダメージを受けないことも想定済みなのだろう、さほど表情を変えずに次の行動へ移った。


「カードを一枚伏せ、ターンエンド……サイバー・ジラフの効果により、俺はパワー・ボンドの効果を受けない」

 かくして、亮のターンが終了する。
マッシブ・ウォリアーとレスキュー・ウォリアーが破壊された今、俺のデッキに貫通効果を持つサイバー・エンド・ドラゴンを止められるモンスターはおらず、そもそも攻撃力8000のサイバー・エンド・ドラゴンを倒せるモンスターはいない……

「俺のターン……」

 それでも、決意を胸にカードを引く。

「ドローォォォッ!」

 引くときの気合いで、カードが決定するわけではない。
だが、どうか来てくれという願いと共に来たカードは――

「俺は通常魔法《アームズ・ホール》を発動! デッキからカードを一枚墓地に送り、デッキ・墓地から装備魔法カードを手札に加える! 俺が選ぶのは、《魔界の足枷》!」

 デッキからカードを一枚墓地に送り、デュエルディスクから一枚のカードが飛び出した。

「魔界の足枷……装備モンスターの攻撃力・守備力を、強制的に100にするカード……確かにそれなら、サイバー・エンド・ドラゴンと言えども破壊されるだろう。だが、遊矢。デメリット効果を忘れるお前ではあるまい」

 そう、万能な装備魔法サーチカードではあるが、『このターン通常召喚出来ない』という重いデメリット効果がある。

「確かに、俺の手札にモンスターはあっても特殊召喚出来るカードは無い」

 俺の一言に、会場にどよめきが走る。
つまり、何をする気なのかと。

「だが、デッキの皆は俺に応えてくれた! 墓地に送られた、《リミッター・ブレイク》の効果を発動!」

「リミッター・ブレイク……だと!?」

 アームズ・ホールの二つのデメリット効果の一つ、『デッキの上から一枚、カードを墓地に送る』
……その時墓地に送られたのが、この《リミッター・ブレイク》

「これが、デッキの皆が応えてくれた証だ! リミッター・ブレイクが墓地に送られたことにより、デッキから《スピード・ウォリアー》を特殊召喚する! 来い、マイフェイバリットカード、スピード・ウォリアー!」

『トアアアアッ!』

スピード・ウォリアー
ATK900
DEF400


 デッキから現れたスピード・ウォリアーが、正面から亮のサイバー・エンド・ドラゴンと応対する。
たとえ、ステータスが雲泥の差でも関係はない。

「装備魔法《魔界の足枷》を、サイバー・エンド・ドラゴンに装備する!」

 その効果は、先程亮が言った通り。
装備モンスターの攻撃力・守備力を、100ポイントに固定する。
……それが、サイバー・エンド・ドラゴンであろうと例外ではない……!

サイバー・エンド・ドラゴン
ATK8000→100
DEF2800→100


「バトル! スピード・ウォリアーで、サイバー・エンド・ドラゴンに攻撃! ソニック・エッジ!」

 スピード・ウォリアーが、即座にサイバー・エンド・ドラゴンに接近し、強烈な回し蹴りを放つ。
これで俺の……

「リバースカード、オープン! 《収縮》!」

「なんだとッ!?

 言わずとしれた、優秀なコンバットトリックである速攻魔法《収縮》
対象モンスターの攻撃力を半分にするという、シンプルかつ強い効果……!

「収縮の対象は……俺のフィールドの、サイバー・エンド・ドラゴン!」

 ……ッ!
《収縮》の効果を正確に言うと、対象となったモンスターの攻撃力は、元々の攻撃力の半分の数値になるということだ。
つまり、サイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力は……

サイバー・エンド・ドラゴン
ATK100→2000

亮の収縮の魔法効果は、サイバー・エンド・ドラゴンにつけられた魔界の足枷に降り注ぎ、サイバー・エンド・ドラゴンは再び眼に光を取り戻した。

「迎撃しろ、サイバー・エンド・ドラゴン! エターナル・エヴォリューション・バースト!」

 普段の威力には到底及ばないものの、俺とスピード・ウォリアーを仕留めるには充分な光弾が発射され、スピード・ウォリアーを飲み込んだ。

 だが、まだ俺にもリバースカードは残っている……!

「リバースカード、オープン! 《シンクロ・ライブラリー》!」

 つい一ターン前に伏せたばかりの、リバースカードが発動する。

「シンクロ・ライブラリーの効果! 自分の墓地に存在するシンクロモンスターを全てゲームから除外し、戦闘するモンスターの攻撃力は、ダメージステップの間、除外したカードの枚数×300ポイントアップする! 俺の墓地にいるシンクロモンスターは……!」

 墓地から、白色の背景で描かれたカードが、何枚か飛びだしてくる。

「一枚目! 《スカー・ウォリアー》!
二枚目! 《パワーツール・ドラゴン》!
三枚目! 《ライトニング・ウォリアー》!
四枚目! 《セブンソード・ウォリアー》!
よって、スピード・ウォリアーの攻撃力は1200ポイントアップする!」

スピード・ウォリアー
ATK900→2100


 破壊されたシンクロモンスターたちの力を受け継ぎ、スピード・ウォリアーはエターナル・エヴォリューション・バーストをかき消した。
スピード・ウォリアーとサイバー・エンド・ドラゴンの攻撃力の差分は100……そして、亮のライフは、残り100ポイントだ。

「スピード・ウォリアー! シンクロ・ソニック・エッジ!」

 スピード・ウォリアーが俺のかけ声に応え、サイバー・エンド・ドラゴンに渾身の蹴りを喰らわせる。
サイバー・エンド・ドラゴンは爆発し……その爆発は、そのまま亮を襲った。

「ぐわあああッ!」

亮LP100→0

 双方のデュエルディスクが、亮のライフが0になったことを示す。
何秒間だったか……双方、そして観客席共に無言だったものの、いつしか歓声が上がっていた。
その歓声に負けじと声を張り上げ、勝利宣言を行う。

「よっしゃあああッ!
……楽しいデュエルだったぜ、亮!」

「……ああ。俺もだ」

 ライフが0になった時に倒れた亮が起き上がり、こちらに握手を求めてくる。
当然、応じない理由が無く、握手しつつも笑い合う。

「だが、今度は俺が、リスペクトしながら勝たせてもらう」

「また俺が、楽しんで勝たせてもらうぜ!」

 こうして拍手と共に、卒業デュエルは決着を迎えた。


 その後、亮はプロリーグへ入り、今日もオベリスク・ブルーの制服を模した服を着た、『カイザー亮』としてデュエルをしている。
彼曰く、まだリスペクトしながら勝つ、真のリスペクトデュエルにはたどり着けていないらしいが……まあそれは、亮にしか分からないことだろう。

 俺や三沢、明日香は二年生へと進級すべく、進級テストの真っ最中だ。
学園対抗戦、セブンスターズ、三幻魔……この一年間のデュエルを思い返しつつ、俺は三沢と明日香と三人で、実技試験の会場へ向かうのだった。

―一年生、了― 
 

 
後書き
 はい、一年生編が終了致しました!
これも全て、こんな駄作を読んでくださっている読者様のおかげでございます。

 これからは、アニメでも十代以外がスポットライトを浴びることの多くなる、光の結社編……アニメもうろ覚えだし、正直書けるか不安でいっぱいですが……まあ、頑張っていこうと思います。

ありがとうございました!


※ここからは、感想で要望があった、遊矢のデッキ【機械戦士】の基本形となります。
基本がこのカードで、様々なカードを入れたり抜いたり、と言ったところでしょうか。
見たくない、という方はここまでで。



【機械戦士】
デッキレシピ(仮)

モンスター合計 22枚

スピード・ウォリアー×3
マックス・ウォリアー
ガントレット・ウォリアー
マッシブ・ウォリアー
ドドドウォリアー
ターレット・ウォリアー
シールド・ウォリアー
レスキュー・ウォリアー
ワンショット・ブースター
速攻のかかし
チューニング・サポーター×3
ターボ・シンクロン
アンノウン・シンクロン
ニトロ・シンクロン
ドリル・シンクロン
ロード・シンクロン
ハイパー・シンクロン
エフェクト・ヴェーラー


魔法カード合計11枚

サイクロン
団結の力
デーモンの斧
ファイティング・スピリッツ
魔界の足枷
進化する人類
ダブルツールD&C
手札断殺
機械複製術
地獄の暴走召喚
ダブル・アップ・チャンス

罠カード 合計7枚

ガード・ブロック
くず鉄のかかし
奇跡の残照
リミッター・ブレイク×2
リミット・リバース
強制終了

エクストラデッキ 合計13枚

アームズ・エイド
スカー・ウォリアー
グラヴィティ・ウォリアー
マイティ・ウォリアー
ターボ・ウォリアー
ドリル・ウォリアー
ニトロ・ウォリアー
セブンソード・ウォリアー
ライトニング・ウォリアー
パワーツール・ドラゴン
ロード・ウォリアー
ライフ・ストリーム・ドラゴン
サイバー・ブレイダー

 ……うーん、こんな感じでよろしいのでしょうか?
微妙に違う感がヒシヒシと伝わってきます。

 ……それにしても……何だ、この紙束は……
自分がTFで作ったデッキを元にしたのですが、主力カードがこれほど紙とは……
興味があったら、是非本家遊星とでもデュエルしてみてください。
勝つと、「よっしゃあああッ!」と言いたくなる気分になれま、す……?

では、感想・アドバイス待っています。 
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