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FAIRY TAIL 忘却の最期

作者:大牟
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第14話 ラストVS.セリア

ルーシィは攻めてくる敵に対抗するため

バルゴを呼び出し、巨大な穴を掘っていた。

「姫、準備が整いました。」

「ありがとうバルゴ、さすがに早いわね」

「お仕置きですか?」

「褒めてんのよ!」

バルゴとのやり取りの中、ハッピーが話しかけてきた。

「ねえルーシィ」

「何?」

「オイラやっぱりルーシィってバカかもって本気で思うんだ」

「淡々とそんなこと言われても・・・」

「こんな子供騙しの罠に引っかかるなんてどうしても思えないんだ」

ハッピーの心配とは裏腹に、ルーシィは自信満々な顔をしていた。

「何言ってんのよ、完璧な落とし穴じゃない!」

その落とし穴は、穴の部分だけ藁を敷いて隠すだけの、いくら油断してても気付くものだった

「あい、その発想自体がバカかと」

ルーシィが言うには、この村の入り口は一つだけで後は壁に囲まれている。

敵もそこから入ってくるしかなく、そこに落とし穴を仕掛けて落とす
という作戦を思いついたとのこと

「そんなものに引っかかるとは思えないけど」

「わ、私も」

「恐れながら自分も」

村人も不安の声を上げ

「姫、私もです」

仕掛けさせたバルゴにまで言われる始末

「あんたもか!!」

ツッコミをいれた後、ラストの方へ向いた。

当のラストも、引っかかるとは思えなかった・・・・・・・・・が

「ウン、完璧ナ作戦ダト思ウ」

視線が怖く棒読みで賛同した

「なんか素直に喜べないんだけど」

しかし真意を悟られ落胆するルーシィだった

その時、見張りの村人が叫んだ

「ルーシィさん!誰か近づいてきます!」

「奴等だわ、門を開けて!」

村人が門を開き、ラストは剣を呼び出し戦闘態勢に入る

「おーい無事か~!!」

そこに来たのは氷漬けのナツだった。

「ナツ!?」

「待って来ないで~!!」

このまま走ってきたら落とし穴に落ちてしまう。

そうならないために必死にナツに呼びかけた。

「スト~ップ!!」

間一髪、落とし穴の手前でナツが止まった。

「何だコレ?」

と、ナツが迂闊にも落とし穴を隠した藁を踏んでしまい

「おわっ!?」

見事、落とし穴に落ちてしまった。

「落ちる奴、いたんだ・・・」

「まさかとは思ったけどね・・・」

「おいおいこんな時にお茶目した奴は誰だコラ?」

「ルーシィに決まってるじゃん」

「やっぱりか!!」

「違うのよ~!!」

おバカなやり取りの最中、ラストはグレイを見て顔をしかめる。

「グレイは重傷か・・・やはり残るべきだったか・・・」

ふとナツが気付いた
凍らされた部分がなくなっていた

「お?氷が消えたぞ!火でもダメだったのに」

「さ、作戦通りだわ~」

ルーシィはナツの氷を砕く作戦に白々しく修正しようとしていた。
実際はリオンから離れて魔法の効果が薄まったからではあるのだが

「そういえばあいつらまだ来てねえのか?」

ナツの指摘通り、リオンの手下の4人はまだ村に到着していなかった。
普通ならナツより先に村に到着し戦闘が起こっても不思議ではない

しかし、氷漬けになって移動速度が遅くなったナツが先に村に到着している

不審に思ってたラストだったが

「チャンス!今のうちに穴を隠すのよ!」

「まだ落とし穴やる気か」

さすがにナツもツッコミをいれた

「な、何だあれは!?」

村人が空を指差した

そこには、なんと巨大なネズミが空を飛んでいた

「ネズミが空を飛んでる!?」

「何だあのバケツは」

「ちょっと!空からなんて落とし穴の意味ないじゃないの!!」

ネズミが持っているバケツから、雫が落ちていった

「何これ・・・ゼリー?」

まっすぐルーシィの方へ落ちていき

「ルーシィ!!!」

ナツがルーシィを抱えて跳んだ

ゼリーが落ちた地面は音を立て溶けて穴を開けた

「何だこの危ねぇニオイは!?」

「強力な酸!?遅くなったのはこれを準備していたせいか!」

「あんなものがバケツ一杯に入っているのか!?」

「まさかこれを撒くつもりじゃ!?」

村人達が怯えている様を、ネズミの上で4人が見下ろしていた。

「醜い。月の雫(ムーンドリップ)の影響が人間をこうも醜くするとは」

「まるで悪魔、デリオラの子のようで不愉快ですわ」

「アオーン!!」

「シェリーの言う通り視界に写したくもないわ、さっさと撒いちゃって。」

蒼髪の女、セリアが不快感を露わにし吐き捨てる。

「アンジェリカ、おやりになって」

「チュー!!」

アンジェリカと呼ばれたネズミは、バケツに入った毒々ゼリーを村に向け一気に撒き散らした。

「おいおい本当にやったぞあいつら!?」

「こんなのどうやって防げばいいのよ~!!」

「みんな!村の真ん中に集まれ!!」

ナツがそう指示を出しハッピーを呼び空へ舞いあがる。

それで全てを察したラストは村人を誘導する。

「村の中央はここだ!急げ!!」

「ワシはボボの墓から離れんぞ!!」

しかし村長だけが息子の墓の前を動こうとしなかった。

「村長さん!!」

「ダメだルーシィ!今からじゃ間に合わない!!」

助けに行こうとするルーシィをラストが肩を掴み引き止めた。

「右手の炎と左手の炎!二つの炎を合わせて!!」

ナツは両手の炎を合わせ巨大な火球を作り

「これで吹っ飛べ!!火竜の煌炎!!!」

毒々ゼリーに向け火竜の煌炎を放つ

火球が爆発し、中央に大きな穴を開けた。

爆散させたおかげでゼリーは村を中心に周囲に散らばっていた

しかし、ゼリーの一粒が不運にも村長目がけて飛んでいった。

「村長!!」

ゼリーが村長に直撃したかと思えば

「この村長、お仕置きですね」

「バルゴ!」

バルゴが地中から村長を引きつりだし、難を逃れていた。

「村が・・・全部溶けちまった・・・」

ゼリーの融解が治まると、村人がいた部分を中心に全て溶けてなくなっていた。

「けが人はいないか!?」

「ナツの機転のおかげだ。全員無事だ」

ナツが機転を利かせて行動していなければ、全滅しているところだった。

「ボ、ボボの墓が・・・!」

墓はゼリーを食らっても多少形が残っていた。
しかし・・・・・・・・・・

それを犯人の一人が蹴り飛ばした。

「零帝様の敵は全て駆逐せねばなりません。」

「せめて一瞬で済ませてあげようって思ってたのに・・・血を見るハメになったわね」

セリアが殺意を剥き出しにし口角を吊り上げ微笑んだ。

「ああ?」

「村人約50、魔導士3・・・20分ってところか?」

村長の息子を埋葬した墓を、平気で蹴り飛ばした。

その所業に3人は怒りを露わにする。

「行くぞ!!」

「ええ!!」

「オイラもいるよ!魔導士4だ!!」

「そんなに血が見たいなら見せてやる。自分自身の血をな!!」

村人は戦いに巻き込まれまいと暴れる村長を抑え避難した。

「俺もやるぞ・・・!」

目を覚ましたグレイが立ち上がった。

「グレイ!?気が付いたの」

「オメェは行け、足手まといだ」

「ナツ・・・なめんなよ・・・・ぉ!!」

ナツはグレイの腹を殴りつける

「怪我人は黙って寝てろ」

「テメ・・・いつかぶっ・・・殺・・・」

グレイは再び気絶した。

「何で」

「ナツなりの思いやりだよ」

「あのリオンという奴に手ひどくやられたらしい、あの状態じゃ戦うのは無理だ。」

「これが妖精の尻尾の絆・・・」

グレイを村人に任せ、ナツ達はシェリー達の前に立つ。

「逃がしませんわ。零帝様の命令は全滅・・・アンジェリカ」

「チュー!!」

「私も行くわ」

アンジェリカは尻尾をプロペラの様に回して空を飛び、シェリーとセリアを連れて村人を追撃し始める。

「私だって妖精の尻尾の一員なの・・・おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

無意識にアンジェリカの足にしがみついたルーシィはそのまま何処かへ飛んでいく

「あれー勢いでしがみついちゃった~!!」

「やっぱりバカかも!!」

「バカすぎる!!」

「バカバカ言い過ぎだアホコンビ!!!」

ラストがそうツッコミをいれた後

ルーシィはアンジェリカの足をこちょがして

「ちょっとアンジェリカ!?尻尾を止めてしまったら」

「え、ちょっと冗談でしょ!?」

「あたしも落ちる~!!」

そのまま地面に落ちていった。

「あ~あ、ありゃキレるぞ」

「キレてねえよ!!!」

「お前じゃねえよ」

「ナツ、俺が様子を見てくる。」

「ああ、頼んだぞ」

ラストがルーシィを助けに向かおうと数歩駆け、途中で止まった。

「相手は二人だ、任せてもいいんだな?」

「ああ、こんな奴らヨユーだ」

聞くまでもなかったことに、お互いに笑いあい

「負けるなよ!」

「おお!そっちも負けるんじゃねーぞ!」

ラストはルーシィを助けるため森へ向かった。








てなわけで?









「おかしいな・・・」

アンジェリカが落ちた場所に行けば

「チュ~・・・」

のびているアンジェリカだけがそこにいて、ルーシィとシェリー、セリアがいなかった。

「一体どこに」

「ここよ」

声が聞こえてきた瞬間、水の弾がラストの方へ向かっていき
寸で避け、弾は木に着弾した。

「水の魔法・・・」

「シェリーの邪魔はさせない。あなたの相手は私よ」

「悪いがお前に構っている暇はなくてな」

セリアを無視してルーシィを探しに行こうとしたが、セリアが魔法弾を撃ち足止めする。

「邪魔はさせないって言ったはずよ」

「ちっ、今はこいつを叩くしかないか」

ラストはセリアが撃つ魔法弾を掻い潜り、森を抜け海岸へ出た。

「ここなら動きやすい。お前の魔法弾を避けて攻撃することも容易くなる。」

状況は若干ラストが有利になった・・・しかし、セリアは不敵な笑みを浮かべる。

「この私を相手に海岸にでるなんて・・・よっぽど死にたいらしいわね」

セリアは指を鳴らすと、轟音と共に津波がラストに襲い掛かる。

「な!?」

津波に呑まれ、ラストは海中へ引きづりこまれた。

(まずい!このままじゃ息が・・・・・・・ん?)

海中にいるというのに、何故か息苦しくなかった。

「息ができる・・・?何で」

「私の魔法よ。あなたは私がいたぶって殺してあげるんだから、溺死してもらったら困るの」

セリアの声が聞こえ、振り向くと

「な!?」

ルーシィの星霊、アクエリアスと同じ下半身が魚の姿をしていた。

「星霊・・・じゃないな。アクエリアスは星霊界で1体しかいないはずだからな」

「私は人魚族・・・デリオラに滅ぼされた亜人種よ」

亜人・・・人間と同じ姿をしながら他の動物の特徴や能力を兼ね揃えた種族のことだ
星霊ではあるが、タウロスやキャンサーも亜人種と言える。

「デリオラに滅ぼされた・・・?」

「私の故郷・・・海中都市ミルデスタは大陸を渡るデリオラの通り道にあった。デリオラは・・・私の故郷を攻撃した・・・!」

話すうち、セリアの身体がわなわなと震えだす。

「ただ通り道にあっただけで・・・私の友達が、私の家族が・・・姉さんがデリオラに殺された!!デリオラの通り道だった、ただそれだけのために!!」

セリアは、涙を流しながら叫んだ。

「それとデリオラを復活させるのに何の関係がある!あのままにしておけばいずれは」

「零帝が・・・リオンが仇を取ってやると言ってくれたの・・・人魚族の無念を晴らしてやると!」

セリアの右手に海水が凝縮されていく

「邪魔はさせない!!デリオラを倒して私はみんなの仇を討つ!!水砲の弾(ウォーターシーザー)!!」

巨大な魔法弾を放つ。海中で思うように動けないラストは直撃を受けた。

「ぐあっ!?さっきと威力も速度も桁違いだ、いったい・・・!」

「私の魔法・・・海魔法は水中で真価を発揮する!」

セリアは常人離れのスピードで泳ぎ回り、 水砲の弾(ウォーターシーザー)を連射しラストに浴びせていく。

フルメタルを使い防御していたが、水圧でダメージを負い続けていた。

「くそ・・・!ノアズウィンド!!」

DB「ノアズウィンド」を呼び出し、自身を風に変換し攻撃を避ける
風になるとはいえ、水中でも使用が可能である。

「やるわね・・・人間の魔導士風情が」

「たしか人魚族は人間と友好的・・・だったはずなんだが」

「今はそんなことはどうでもいい、私は・・・デリオラを倒す!!死んでいった仲間たちの無念を晴らす!!」

セリアは水砲の弾(ウォーターシーザー)を放ち再び攻撃する。

「いつまでも好き勝手にさせるか!!」

ラストは攻撃を避けて風の刃をセリアに向けて撃つ

盾となる波(シールドウェイブ)!!」

セリアは水流の膜を生成し、風の刃を防いだ。

「くそ・・・向こうの魔力が上か・・・!」

「無駄よ!海魔法の前では人間は勝つことはできない!!海洋の風景(シーイングオーシャン)!!」

半透明の水の膜がラストを包む

「しまった!?」

水の膜に包まれラストは身動きがとれなくなる。

「これで終わりよ!!」

セリアはラストを中心に泳ぎ回り、水中に文字を刻まれていく

「これは・・・魔法陣!?」

「水中魔法陣・・・この中にいる限り私の魔力は増幅される!そして!!」

セリアの右腕に、膨大な魔力が集まっていく

「海の大魔法が完成する!!青い有頂天(ブルーエクスタシー)!!!」

セリアの放つ膨大な魔力が、身動きができないラストを押しつぶす

「ぐあぁぁぁぁ!!!」

ラストは吹き飛ばされ、海底の岩場に叩き付けられた。

「アッハハハハハハ!!人間なんてこの程度!私に勝てないようじゃ零帝リオンに勝つことはできないわ!!」

高笑いをするセリアは狂気じみていた。

ラストは、崩れてきた岩をオールクラッシュで砕き起き上がる。

「はあ・・・はあ・・・」

「まだやる気?いくら立ち上がっても私達の理想は崩れないわ!」

「何が理想だ・・・!!」

ラストは怒りの表情でセリアを睨み付ける。

「あの村人達は・・・お前達のせいで住む場所を失った・・・!」

ラストはナツ達と合流する前に村人の様子を思い浮かべる。

それは、自分が悪魔の姿となり希望を失い笑顔を失くした表情

そして、息子の墓を無残に壊された村長の涙と怒り

「仲間を・・・家族を失い泣いていた・・・!お前達のやっていることはデリオラと同じなんだぞ!!」

「わ、私達がデリオラと同じ!?」

「そうだ!!我が物顔で島に住みつき、月の雫(ムーンドリップ)で村人を苦しめる!お前達はデリオラがしたことをあの村人にも与えているんだ!!」

ラストは怒りに任せ叫び続ける。

「そんなお前達がデリオラを復活させ倒すだと?白々しいにも程がある!!!」

「黙れぇぇ!!!私達は仲間の仇を討つ!!そのためならどんなことだってしてやるわ!!」

セリアは再び右腕に魔力を集中させ攻撃態勢にはいる

「これで死ね!!青い有頂天(ブルーエクスタシー)!!!」

再び青い有頂天(ブルーエクスタシー)をラストに向け放つ

ラストは、その場から動こうとしなかった。

「お前を倒してルーシィを助けに行かなければならない。だから・・・」

ラストは、DBを呼び出し右腕から黒い球体を生成する。

「歪んだ理想と共に滅び去れ!!漆黒弾・・・ブラックゼニス!!!」

ラストが放った暗黒物質は、水を切り裂き
セリアの放つ青い有頂天(ブルーエクスタシー)をも消滅させ

「そ、そんな!?水中魔法陣で増幅した青い有頂天(ブルーエクスタシー)が!?」

ブラックゼニスはセリアへ向かっていき

「きゃあああああああああ!!!」

海面まで弾き飛ばされ、そのまま海岸へ投げ出された。

ラストは海岸に上がり、セリアを睨み付ける。

「人々を傷付けるような理想を持った時点で、デリオラを復活させる権利なんてありはしなかったんだ」

ラストは、セリアに勝利した。

しかし・・・・・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

それを、遠くから見ている者がいた。


第14話 完
 
 

 
後書き
次回予告

ルーシィ「うわーんどうしよ~!エルザがすっごく怒ってるよ!!」

ラスト「掟を破ったんだ。当然だろ」

ルーシィ「ていうかラスト、あんたも共犯だと思われてるけど?」

ラスト「な!?俺は事態が急変したから臨機応変に・・・!」

ルーシィ「・・・ダメね、聞く耳を持ってないわ」


次回 勝手にしやがれ!!


ラスト「おいナツからも何か言ってやってくれ!」

ルーシィ「そういえば、ナツってどこ行ったの?」

ラスト「あいつ逃げやがったなぁぁぁぁぁぁ!!!」
 
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