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SWORD ART ONLINE ―穿つ浸食の双刀―

作者:黒翼
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04:フラグが立つ

「どっ 、どうなってるんだっ!?」

僕――ハリンは、新聞の一部に載せられた記事を見て疑問の叫び声を上げた。新聞の内容曰く――

――元攻略組の《H》と中層プレイヤーの《O》さんの交際発覚か!?
  昨日の昼頃、少し下の層にて某情報屋の《鼠のA》氏が、抱き合う二人を発見。写真も付属されている。
  危機感のない二人であったが、今後の関係の発展が期待される――

――なるものだ。先ず、《H》とはハリン、つまり僕。《O》とは、昨日出会ったオウカという少女の事だろう。何であんな所に人がいるんだど脳内でツッコミをいれるが、生憎お返事はない。そして、何より一番怒りたい人物。

(······アルゴおぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!)

これでもかと言う程頭の中で憎き情報屋(あいて)の名前を叫ぶ。某情報屋の鼠のA氏だと、アルゴ以外に誰がいるんだ?

これはプライバシーの侵害とかではないのだろうか。それ以前に新聞に堂々と載せた人も載せた人だ。常識的に考えてほしかった。この世界は本当に非常識の塊だ。不確定要素で満ちすぎている。普通であってほしかった。

「······はぁ、まぁ今更過ぎた事をいくらぼやいても、現状が変わる訳でもないしね······」

無理矢理に納得し、溜め息を吐く。朝一番から頭の痛くなりそうな文面を見せられて気分が最悪なのは言うまでもないが、行動しない事にはどうにもならないだろう。今日一日は人気のない狩り場で経験値でも稼いでこよう。僕は立ち上がり、戦闘用の装備に着替えてからその場を後にした――


* * * * *


場所は変わって、ここは現在の最前線かつその中で殆どのプレイヤーに知られていない狩り場だ。正直、僕がこの狩り場を発見出来たのも偶然とまぐれだろう。それくらい分かりにくい所にあるのだ。方向音痴な僕だからと、納得している。

「さて、と······始めようかな······っ···!?」

抜刀し、後ろに飛ぶ。さっきまでいた位置に短剣が突き刺さっていた。どうやら、モンスターではなくプレイヤーに狙われてしまっているようだ。厄介この上ない。相手は姿も見せない。一応索敵はしているが、反応はない。

(逃げたのか······?···いや、それならどうしてあの一撃だけ······)

思考を張り巡らせてみるが、これと言った答えは浮かばない。取り敢えずその事は脳の隅に置き、警戒しつつ先に進む事にする。

「やれやれ······厄日って言うのは、意外にもあるんだね······」

本日二度目の溜め息を盛大に吐き、瞳を閉じてまた開ける。無駄な動作にも感じたが、これが僕なりの《気持ちの落ち着かせ方》なのだ。高レベルの索敵に引っ掛からないあたり、相手もかなり隠蔽のレベルを上げているに違いない······結晶による離脱も視野に入れておこう。僕は愛刀を強く握り、警戒しつつ足を進めた――


* * * * *


「······はぁっ!」

相手の突進攻撃を右に大きく跳ぶことで避け、後ろにあった壁を蹴りつつ胴体部に刀を突き刺す。じわじわと永続ダメージを与え、相手の体力が無くなった事を確認すると刀を抜いて腰に吊るしてある鞘に納める。短剣が降ってきた以外特に危険な目にあっていない僕は楽々狩りを続け、レベルも一上がっている。何も無い事が逆に心配になってくるが、あってほしくはないのでまぁいいだろう。

「リポップした······コイツ等を仕留めたら、一度街に戻ろう」

澄んだ音と共に刀を抜刀し、袈裟斬りで斬り込む。相手に姿を認識させないように高速ステップで動き回り、腹部、脚部、腕部に切り傷を付けていく。確実に一体ずつ仕留める予定だったが、軌道を狂わせた刀が他にいた二匹にもヒットし、三対一になってしまう。前にもあったような光景な気がするが······今度は、逃げる必要もなさそうだ。両手持ちで刀を構え、ソードスキルを発動させる。淡い赤のエフェクトが刀身を包み込む。敵に近くにいた敵に一撃浴びせ、バックフリップしつつもう一体の首を跳ねる。着地の衝撃を殺し、そのまま前転で最後の一体の足下に潜り込む。寝たままの体勢で足払いをし、敵を転けさせてから素早く手をつき立ち上がって二連撃を浴びせる。刀と体術を合わせたソードスキル、《零の斬撃》。ポリゴン片と化した相手を横目に見つつ刀を納め、転移結晶を取り出す―――

「っ······!?」

動作をしたところで、殺気を感じた僕は刀を右手で抜刀して振るう。また短剣······それに、今度は二本。

「そろそろ姿を見せたらどうかな、いい加減隠れられるのも迷惑なんだ!!」

僕の叫びに応じたのか、二人の男が姿を現した。深くフードを被った二人からは表情こそ読み取れないが、殺気は読み取れる。

(まったく······僕は何かしでかした覚えがないんだけど······)

少々どころか、かなり厄介な事になった······。キッと睨み付け、刀を構える。相手の抜刀と共に走りだし、叫び声を上げた――― 
 

 
後書き
はぁ······久しぶりの更新。最近はネタが浮かばないやら塾やらいろいろとあって、読み専状態になっていました。

ハリン「ちなみに更新は3ヶ月ぶりくらいだよ」

マジか(笑)意外と経ってるし······僕の実力不足だね(笑)次回の更新は未定ですが、なるべく速めにしたいなぁと言う願望が(笑)

ハリン「それじゃあ、次回もお楽しみに!」

 
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