つぶやき

海戦型
 
提督日記4
 飛鷹さんは何かと小うるさい。神経質というか、ヒステリックというか。いや、悪い人だとは全然思っていないのだが、出撃するたびに消火ポンプを故障させてアーチーチーアーチーってなりながら帰ってきては「艤装のメンテどうなってんのよ!!」と怒られるのが様式美みたいになっている所もある。

 そんな彼女だが、時々センチな所もある訳で。

「サンフランシスコ講和?」
「ええ……過去は変えられないけど、艦娘になったらいつか、なんて……可笑しい?」

 なんかの資料に書いてあったが、飛鷹さんのオリジナルは本当は豪華客船になってサンフランシスコと日本を往復する筈だったらしい。まだ気にしてるというか、未練があるのだろう。何と言うか、ヘンな言い方だが、そういった考え方を持っていながら普段はつんけんしている彼女に少しだけ理解が深まった気がした。

「可笑しかないさ。戦いが終わった後に艦娘がどうなるかっての、まだ決まってないのが実情だしなぁ」

 そもそもこの戦争終わるんか、という果てしない疑問はひとまず置いて。戦争が終わった後は綺麗にドレスアップして海上スキーで一世を風靡。全然ありだと思う。艤装は基本戦うための物だけど、装着する道具にはドラム缶とか必ずしも兵器に直結するわけじゃないものもあるし。
 まぁ、人権に関しては何とかなるだろう。今や数えるのも億劫なほど海岸線に立ち並んだ鎮守府の提督たちの艦娘愛といったらこの上ない。一部ブラックとかいろいろあるけれど、既に終戦を見越して色々動いている提督もいるらしい。

「綺麗に着飾ってサンフランシスコまで優雅な遠征。特注の艤装が必要だな」
「予算通らないでしょ、軍じゃ」
「武装する訳でもないんだから民間委託すりゃいいじゃん。駄目ならもう本物の船建造して「飛鷹二世」とかにしようぜ。ヤメ提で艦娘バックアップしてる人とかに声かけて、鎮守府のみんなで乾杯ってのも面白いと思わないか?」

 世の中そう捨てたもんじゃない。捨てる神あらば拾う神も当然いる。
 旧陸軍みたいに絵空事ばかり描いて行動するのはカンベンだが、艦娘が夢を見て悪い道理は俺には思いつかない。そういうと飛鷹さんは「カッコつけてるつもり?あと名前は出雲丸以外ありえないから」と鼻で笑った。

 翌日から、少しだけ飛鷹さんが優しくなった気がした。


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「漣、なんか任務の中に式の準備ってのがあるんだけど。どこの提督の事なの?」
「書いてませんねぇ。誰の事なんでしょう?」
(翔鶴さん、この人たちどこまで本気なのでしょうか……)
(分からないわ祥鳳さん。でも提督って時々マジボケする人だから本当に本気かも……しかしそれ以上に分からないのが、漣さんはどっちなんだって事ですね)
(確かに。漣ペディアとやらの中にケッコンカッコカリが載っていないというのはちょっと考え辛いですし)


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「提督、奴ら(深海棲艦)は何故攻めてくるのだ?」
「いい質問だな日向。それはだな……多分世界中の海洋国家と海に面した国家の皆さんも知りたがってると思う」


「提督!千代田が大破しました!」
「いつもの事だろ!ドックに放り込んで修復剤ぶち込んどけ!」
「あと吹雪が!ついでに北上も!」
「大破トリオめ……ええい、まとめてドックに放り込め!」


「摩耶と曙が何かとクソクソ言って聞き苦しいから乙女らしさを身に着けさせろとの苦情が……」
「曙のクソはこんにちわぐらいの意味だと思っとけ!摩耶は俺も時々傷つくから何とかする!」


「提督!58と168から働かせすぎだと苦情が来てます!」
「最低でもあと三人潜水艦が来るまでシフトは変えん!」
「三人来たら改善しますか!?」
「オリョクルに決まってんだろぉぉぉぉッ!!」
(この人いつかお尻に魚雷刺されるんじゃないかな)


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天龍「神に会うては神を斬り……」
木曾「悪魔に会うてはその悪魔をも撃つ!」
天曾「「俺たちが地獄だッ!!」」

木曾「……はぁ。最近出番無くて提督の部屋からパクったDVDで見たマジンカイザーSKLごっこが唯一の楽しみだぜ」
天龍「たまに出撃できるだけいいだろ?俺なんか補給部隊だぞ?」
木曾「ばーか、補給部隊でも外に活躍してから羨ましいんだろ?」
天龍「……お前は改二があるだろ。オレ、ないから。多分おこぼれなんだよ……ぐすっ」
木曾「そんなヒネクレたこと言うなって。龍田は改二実装されたんだろ?姉妹艦のお前も時間の問題だって!」