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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―我/汝、悪である― A
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「アジ=ダカーハを倒すには、三つの弱点を同時に討たなければならない。」
「三つの弱点?」

一輝は精神の中で、示道からの話を聞いていた。

「ああ。頭蓋、双肩、心臓の三か所を、な。」
「・・・それで、三つの頭に杭が、肩には変なボルトが入ってたのか。」
「そうだ。双肩については心当たりがないが、各頭蓋の杭は俺達が施した封印の一つだ。そして、分身体を全て吐き出させれば・・・最後の弱点である心臓が、浮かび上がってくる。」
「で、そこを討てばいいわけだな。なるほどなるほど、中々に無理ゲーなわけだ。」

一輝がそう言いながら肩をすくめると、示道もまた肩をすくめる。

「だけど、俺はお前ならそれができると思ってる。・・・俺がぬらりひょんと契約したのは、お前みたいなのが生まれるという可能性にかけてのことだ。」
「俺みたいなの・・・?」
「ああ。幼くして外道を名乗り、歪みから力を得て、一族の功績を一身に受けるような、そんな奴をな。」
「うっわー・・・ほとんど俺じゃん、それ。」

湖札の功績だけは一輝に含まれてないが、その問題は湖札が生み出した奥義によって解消された。

「だけど、わざわざ俺を選ぶ必要はあったのか?・・・はっきり言っちゃえば、もっと後の時代であれば、さらに功績を積み重ねたやつもいるだろ?」
「いやいや、お前も湖札も箱庭に来てんじゃん。そうでなくとも、白澤襲来なんて案は事件、中々起きないし。」
「立体交差並行世界論・・・だったか?あの考え方でいけば、未来の可能性は無限だろ?」
「確かに、そうだな。・・・けど、残念ながらその考えは通用しない。」

そして示道は、その事実を伝えた。

「俺とぬらりひょんが契約をした世界は、それ以降の分岐がほとんど、存在しない。」
「・・・・・・つまり、俺がいた世界では、全ての道が確定されていた、ってことか?」
「まあ、ほとんどそうだな。その少ない分岐も、一輝が生まれた瞬間に統合されてからは一度も存在していない。」

つまり、一輝のいた世界は一輝という存在によって、統合されている。
それによって得る霊格は・・・想像を絶するものとなるだろう。

「だからこそ、箱庭の世界にお前たち二人が来た時点でお前が救う以外の選択肢はないんだ。」
「・・・まあ、それには納得するとしよう。悪を討つのに悪を使うという考えも、かなり同意できる。悪を討てるのは、正義か悪のどちらかでしかない。」

そして、正義は悪を討ち取ることで己の正義という属性を強め、悪は悪を討つ事でさらなる悪を抱え込む。

「・・・で?まさかアジ=ダカーハを倒すための要素が、まさかこれだけだなんて言わないよな?」
「まさか。ちゃんと、必要になると思ったものはそろえてある。」



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