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問題児たちが異世界から来るそうですよ?  〜無形物を統べるもの〜
一族の物語 ―我/汝、悪である― @
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た。
 歪みを殺し、さらには得た力で霊獣を殺して見せた。

 一人(十三代目)は、ひたすらに強かった。
 人望があるわけでもなく、ほかに何かあるわけではなかったが、力のみはあった。
 寡黙な彼は、一族のために何も出来ないと考え・・・
 せめて、と。霊獣を二体、殺して見せた。
 人間には到底倒せないとされた、神に近い霊獣を、殺して見せた。

 一人(十四代目)は、ひたすらに弱かった。
 だがしかし、父と違って力以外の全てを持っていた。
 彼はその人望で、一族の汚名を雪ぐ努力をした。
 弱いなりに努力し、力ない人たちのために働いた。
 だがしかし、一族の汚名は中々雪ぐことはできなかった。

 一人(十五代目)は、何も持っていなかった。
 感情すら持たずに、ただ何も感じずに生きていた。
 そんな彼女だったからだろうか。
 その肝を狙う霊獣がいた。
 感情を持たず、しかし確固とした力を持った彼女の肝を、狙われたのだ。
 だがしかし、そんな霊獣でさえも彼女には何の感情も抱かせなかった。
 恐怖も何もなく、ただ淡々と霊獣を殺し、その配下も殺していく。
 その様子は、ともに捕まっていた少女達に一つの存在を思わせた。
 鬼を、感じさせた。

 一人(十六代目)は、ある意味不幸であった。
 先代がそんな人であったせいか、感情が豊か過ぎた。
 そして同時に、鬼道の名を持つ最初の一人となってしまった。
 先代が鬼と呼ばれ、それからはそれまでの呼び名と混ざって鬼道となったのだ。
 そんな彼は、感情が豊か過ぎたせいでその声に押しつぶされていき・・・
 最後には、豊かだった感情を失い、生と死の区別すらつかなくなった。

 一人(十七代目)は、自ら鬼道を名乗った。
 民に認識された以上、それが我らだと。
 胸を張り、堂々と名乗った。
 そんな彼は、歪みを殺して見せた。

 一人(十八代目)は、何もかもが中途半端だった。
 良いわけでもなく、悪いわけでもなく、平均にいるわけでもない。
 どこにも属さない、ひたすらに中途半端な存在だった。

 一人(十九代目)は、英雄だった。
 民の一人も認めない、英雄だった。
 善を愛し、悪を憎む。
 どれだけ民から憎まれようとも、民を守り続けた。
 そして、彼は歪みを殺し・・・強すぎる力ゆえに、民によって殺された。

 一人(二十代目)は、完全に無であった。
 才能はあるがなく、感情はあるがない。
 全てがあるのに全てがない。ありとあらゆる無を感じ取る、そんな人間であった。

 あぁ、何故我らは存在するのだ!
 あぁ、何故我らは生まれたのだ!
 あぁ、何故我らは生きているのか!
 あぁ、あぁ!世界よ、何故我らを求める!
 あぁ、あ
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