暁 〜小説投稿サイト〜
『自分:第1章』
『12月/退園式』

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18歳なって1ヶ月チョット経ってる。
施設からは暫く姿を消してた。
式の日の朝、チャリで施設に入った。
変な感じ。
入所した頃の気持ちを思い出した。
あの頃の自分とは違う自分が居た。
自分で言える程、自分は成長した。
変わったとおもう。
勿論、良い方向に。
元が超マイナスやったから普通レベルにはマダ達して無いかもやけど。


自分みたいな形の自立、退園の仕方は異例らしい。
帰る処ナイから仕方ないやん。


式は泣くと想ったけど何故か涙出ず。
女子寮代表から別れの言葉。
普通なら読む子は決まってる。
古株順やから。
でも違った。
何かとトラブルばっか起こしてた子が読んでくれた。
しょっちゅう喧嘩。
掴み合い。
年上とか関係ない。
腹立つモンは腹立つし。
言わな気が済まん。
お互い正直過ぎるとこがぶつかってただけ。
冷静になると解る。
お互い一時期ホンマ嫌ってた。
一時期だけ。
後は、馴れ合いとはいかんし争いながらも理解し合った。

本人が、職員に『自分がスピーチしたい』って頼んだらしい。
可愛い奴め。
凄く温かくなった。
泣くのが勿体ない。
笑ってたい。


最後、児童皆と握手して門を出て行く。
泣いてしもた。

今みたいにネットとか知らんかったし。
住所も電話番号も知らん。
聞けれん。
教えれん。
凄く悲しかった。
永遠の別れだと想ってた。
二度と逢えんって...

同じ時間を共に生きた。
同じ苦しみを味わった。
乗り越えてきた同志。
勝手にそんな想いを抱いてる。
此処の子は特別な存在。

『友達』とも違う。
『特別』な想いが在る。


此処の子みんなが、もう二度と犯罪に手を染めず...躓きながらでもユックリで良いから、前進していって欲しいなって真剣に想う。
其れはいつまで経っても変わることは無い強い想い。


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