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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
28.観測者たちの宴
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「この世界が呪われている、というのはどういう意味ですか?」
鳥籠の中に囚われたまま、雪菜が火眼の魔女に訊く。絃神島が崩壊していく音を、聞いていた魔女が雪菜を見て愉快そうに微笑む。
「不思議……か、剣巫?」
モノクロームの十二単を揺らして、仙都木阿夜がゆっくりと鳥籠の方へと向き直る。
「ならば問おう。汝は、今のこの世界の姿が正しいと思うか? 人が平然と魔術を行使し、吸血鬼や獣人が闊歩するこの世界……が」
唐突な阿夜の質問に、友妃と雪菜は違和感を覚えた。
その質問は自らの存在を否定しているようなものだ。
「……この世界を支配する原理には、多くの謎が残されていますが、実際に魔術と魔族が存在する現実を曲げることはできません」
「ならば、おまえは魔術や魔族が、存在する理由を疑ったことはないのか。たった一人の吸血鬼に、巨大な都市を壊滅する力が与えられおり、それすらも殺す吸血鬼の存在──こんなアンバランスな姿が、世界の正しい在り方だと言い切れるのか?」
仙都木阿夜は、かすかに嘲笑うかのような口調に聞こえた。
「それは……」
雪菜が思わず言葉に詰まる。
「それでもそれがこの世界なんだよ。たとえ間違ってるとしてもね」
友妃は強い口調で仙都木阿夜を睨んで言った。阿夜が唇を吊り上げて笑う。
「そうだ。だから、この世界は呪われていると言っている」
「たしかにそうなのかもしれません。でも、その世界で人類は生きてきたんです。何千年も」
雪菜の言葉を聞いた火眼の魔女が、不意に真顔で首を傾げた。
「何千年も……か。本当にそうかな?」
「どういう意味ですか」
「世界五分前仮説という考え方を、知っているか?」
聞き覚えのない言葉に二人は首を振った。
阿夜は、淡々と説明を口にする。
「──この世界が今のような姿になったのは、ほんの五分前の出来事で、それ以前は存在していなかったという仮説だ。人間の記憶も歴史も、過去の記録や建造物も、すべて五分前に何者かによって生み出された、と」
「……ただの仮説……証明できない思考実験ですね」
雪菜は溜息混じりに指摘した。
だが、その仮説を否定することも出来ず、真実であると証明することも出来ない。
しかし阿夜は、その反論を待っていたように愉しげに微笑んだ。
「たしかに仮説だ。だが、証明する方法はある。実際に我が、世界を好きなように創り出してみせれば、それが可能であることに疑いの余地はなくなるだろう?」
阿夜の言葉の意味を理解して、友妃は血の気が引く。
「まさか、あなたは……そのために闇誓書を……!?」
「そう……だ。世界を我の望むままに書き換える。これはそのため
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