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渦巻く滄海 紅き空 【上】
七十五 反逆
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いる綱手に対する各々の反応は三者三様だった。

綱手の威勢の良い宣言に、にやりと口許に弧を描く自来也。火影に反応し、驚くシズネ。
そしてナルはというと、突然の事態に反応が出来ずに呆けていた。

だが最も狼狽したのは、三忍二人を敵に回した大蛇丸本人。表情にこそ出さないものの、この思わぬ事態に彼は内心驚愕していた。


綱手は血液恐怖症だったはずだ。一週間前の交渉時にそれは確認済み。だから彼女の弱点をカブトに伝え、そこを狙うよう仕向けた。
だが現在、カブトの血を頭から諸に被ったはずの綱手は平然としている。血を克服したらしき彼女からの強い眼光に射抜かれながら、(雲行きが怪しくなってきたわね…)と大蛇丸は眉を顰めた。


大蛇丸の隙を見て取って、自来也がナル達の許へ向かう。
何故自分達の居場所が解ったのかと彼は疑念を抱いたが、その疑問はシズネの足下にいるパックンを目にするや否や解消された。

一方、大蛇丸もまた、自来也同様、何時の間にかカブトの傍らに佇んでいた。膝をつき、耳元で囁く。
「…今は耐えなさい。あの子が来るまでの辛抱よ」
「……判っています」
小声でのやり取り。秘かに交わされた大蛇丸とカブトの会話は、シズネと綱手の対話を聞いていた自来也の耳には届かなかった。


綱手はどうもシズネを巻き込まずに、自来也と二人で大蛇丸と決着をつけたかったようだ。
病院のベッドで寝たきりのアマルはともかく、シズネは自分について来るだろうと推測した綱手は手製の痺れ薬を昨夜彼女に盛ったのである。
自来也もまた、ナルが眠っている間に大蛇丸の件を済ませるつもりだったので、綱手の考えが手に取るようにわかる。

だがシズネ当人はその勝手な判断が不満だったようで、未だ痺れの取れない身体で綱手に細々と「私は貴女の付き人ですよ?」と言い聞かせていた。


大蛇丸とカブトを警戒しつつも、説教を受ける綱手を愉快そうに眺めていた自来也ははたと隣を見た。てっきり自分もナルに文句を言われると思ったのだが、先ほどからやけに静かだ。
窺うと、彼女は呆然と大蛇丸とカブト……いや、カブトだけを注視していた。

不意にナルの口から「カブトさん、どうして…!?」という声が零れる。明らかに狼狽する弟子の言葉に、自来也は片眉を吊り上げた。


「なるほど…顔見知りか」
「……一緒に中忍試験を受けたんだってばよ。なんで此処に…?」
ようやっと会えた師の存在でナルは少しばかり落ち着きを取り戻す。それでもやはり取り乱したまま、彼女は再度声を荒げた。
「カブトさん……っ!?」

カブトは何も言わない。沈黙する彼の前で、自来也が乱雑に頭を掻いた。
いい加減必死な弟子の姿を見るに忍びなくて、「額当てをよ〜く見てみぃ。そいつは大蛇丸の部下だ」と決定的な一
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