悪魔の島編
EP.16 復活の兆し
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せんか。そうは思いませぬか?」
子供のような期待を夢中で語るザルティに対し、ナツは落胆したかのように嘆息して、吐き捨てた。
「なーんだ、くだらねえな。散々引っ張っといてそれかよ」
「ほっほっほ。若いあなたには分かりますまい。“力”が必要な時は必ず来るのですよ」
感慨深く語るザルティ。そんな彼に何かを感じ、ワタルも口を開いた。
「分からんでもないが……振るう当てのない力なんて、持ってても邪魔になるだけだ。自分を縛る力なんて本末転倒もいいところだぞ」
「……それは教訓ですか、黒き閃光。いや……」
一度言葉を切って、仮面の下に見える口をさらに歪ませ、ザルティは言った。
「最後の星屑と呼んだ方がよろしいですかな?」
「! お前――」
目を大きく見開き、息をのむ。ワタルはすぐに答えられず、沈黙した空気に不気味なデリオラの唸り声が響く。
久しく聞かなかった言葉だが、かつては自分はそう呼ばれていた。
だがなぜそれを知っているのか。それを知っている者は少ない、ならコイツはいったい何者なのか……様々な疑問が頭を巡り、ワタルを混乱させようとした。
だが……
「んなことどうでもいい! “力”が必要なら自分と仲間の力を信じるだけだ。妖精の尻尾の魔導士の“力”をな!!」
動揺が詰問となって表に出る前に、ナツが拳に炎を纏わせて大声を張り上げた。
自分と仲間の力を信じる……そうだ、今は自分も妖精の尻尾の魔導士だ。
仲間を信じ、仲間のために己の力を振るう事に何の躊躇があろうか。
頭に上っていた値が下がり、思考を冷静に持ち直す。左手を鎌から鎖に持ち替えてゆっくりと回しはじめ、短く規則的な風切音とともに回転数を上げていく。
戦士になったワタルの鋭い視線はまっすぐ標的を捉え、動揺はもはや見られない。
「問答は終わりのようですね……ならば一気に決めさせてもらいますよ――!」
「上等だ!!」
「行くぞ」
ザルティは水晶に魔力を流し込み始め、ナツは雄たけびをあげ、ワタルは半身になって投擲のタイミングを計った。
三者三様に戦闘態勢を整える中、最初に動いたのはやはりというべきか、血気盛んなナツ。両手に纏わせた炎を激しく燃え上がらせ、ザルティ向かって一直線に走りだす。
「芸のない!」
「よっ、と」
対するザルティは水晶をナツに向かって操作。ワタルは様子見と援護を兼ねて左の鎌をナツに当たらないように弧を描かせて投げて操作。
水晶はワタルの鎌を回避。だが、ナツの拳は鎌を躱した水晶をしっかりと捉えて破壊した。
「ほっ!」
「また直った!」
「ナツ!」
「うわ!?」
完全に破壊したはずだったが、水
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