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魔王の友を持つ魔王
§59 叛旗の理由
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てしまい。

「あぁ、別にいいですって気にしてませんし!!」

 嘘です。義妹人質にとった事超気にしてます。

(でもまぁ、あんなに言われたら責められないんだよなぁ……そこまで考えてあんな平身低頭、とかでなく素でやっているのが手に負えない)

 つまり毒気を抜かれてしまったのだ。

「れーとさんの負け、だね」

 それを悟ったような恵那の笑い声に、黎斗は同意の言葉しか出せなかった。

「全くだ。なんかもう、敵わんね」



―――



「れーとさん、広く作りすぎ……」

「うん。正直ゴメン」

 大迷宮を抜けると、そこは夜でした。どれだけ大迷宮に時間をとられていたのだろう。少しげんなりしたが、突破できたから良しとしよう。終わりよければすべてよしだ。あとは自分を直すだけ。

「さてそろっと大丈夫かな。恵那、僕の首を投げて」

「え?」

 理解できないよなそりゃあ、と苦笑しながら黎斗は付け加える言葉を述べる。

「これから僕の身体を再構築するからさ。今のままだと恵那の手の上に僕が正座する羽目になるし」

「首から全身再生できるってアメーバじゃないんだからさ……」

 その言葉に異論を挟みたいが、冷静に考えればもっともだと、黎斗は溜息一つで諦めた。喋る生首とかどう考えてもホラーだし。

「投げるよー」

 恵那が高くに頭を投げる。目まぐるしく変わる景色。自分の頭が回転しているのが実感できる。

「……乗り物酔いしそうだなコレ」

 多用するのはやめておこう、と密かに誓って身体を構築。正直今回は再生というよりは生える、という表現の方が正しいであろう復活方法だ。

「じゃーん、と」

 軽く砂利を踏みしめて。身体の調子を確認。

「うん。異常ないかな」

「一応気にするんだ」

「まーねぇ。これだけ長い間身体がサヨナラしてたの久しぶりだし」

「……前もあったのね」

 呆れ顔の恵那に言い訳をしようとして、磯の香りに気をとられる。なんだろう、この嫌な予感は。

「……ここから海は遠い筈。一体何が」

「れーとさん、どしたの?」

 途端に動作不良になったように周囲をみやる黎斗に、恵那のみならず魔導師たちも困惑の様子を隠せない。

「なんだ、この気配は……」

 さっきまでとは違う気配。すごい嫌な予感がする。これが意味するところはただ一つ。

「まだ終わってない!!」

 刹那、狂気が夜の闇に浸透する――――!!

「……惜しかったな。もう少し早く起きれれば、もう一人敵が居たのだが。今生の神殺しはなかなかやる」

 唸るようなしわがれた声。聞くものを不快にさせるような、声。眼前の山、だろうか。そこから聞こえる歪な
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