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ドリトル先生と伊予のカワウソ
第二幕その九

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「タオルで拭くだけです」
「そうでしたね」
「しかし日本では」
「はい、お水は軟水で」
「それで、ですね」
「泡も洗い落とします」 
 加藤さんはこう先生にお話します。
「そうします」
「そうですね、日本では」
「そこもイギリスと日本の違いですね」
「ここまでお風呂を楽しむ国はそうはないかと」
「ドイツやハンガリーにも温泉はあるのでは」
「いえ、それ以上です」
 欧州のそうした国の人達よりもです、日本人はお風呂を楽しんでいるというのです。
「凄いですよ」
「そうなのですね」
「それで温泉に入ってですね」
「そうです、お酒も」
「日本酒ですね。何かすっかり親しんできました」
「そうそう、先生ご自身も」
 松山は夜も賑やかです、その人が多く明るい街の中を進みながらです。加藤さんは一緒に歩いている先生に顔を向けつつ言いました。
「日本人に見えますよ」
「雰囲気がですか」
「はい、何か浴衣が似合いそうですね」
「よく言われます」
 実際にというのです。
「浴衣が似合うと」
「そうでしょうね」
「はい、嬉しいですね」
「l着物とかは」
「実は家で甚平とか着ていまして」
「おお、それはそれは」
 加藤さんは先生が甚平を着るということを聞いてです、夜道の中でさらに明るいお顔になって言うのでした。
「かなりのものですね」
「日本ですか」
「はい、日本的ですね」
「そうですか、僕は日本人になってきていますか」
「相当に日本のことをご存知ですし日本語も」
 先生が使っているその日本語もというのです。
「相当に流暢ですね」
「まだまだ勉強中です」
「いやいや、言葉は一生のものです」
「一生学んでいくものですか」
「そうです、ですから」
「このことはですね」
「勉強中とかではないと思いますよ」
 こう先生にお話するのでした。
「とにかく先生の日本語は」
「これはですか」
「とてもいいと思います。日本人みたいですよ」
「そうですか、だといいですが」
「それで旅館に戻ったら」
「温泉ですね」
「それに今の時間ですと」
 加藤さんは自分の左手の腕時計で時間を確認して言いました。
「旅館の夕食も」
「それもですね」
「松山は海もありますので」
「海の幸もですね」
「はい、楽しんで下さい」
「お刺身でしょうか」
 先生は楽しそうな笑顔で言いました。
「それは」
「それもあるでしょうが」
 加藤さんはここで、です。先生のこのお料理の名前を出しました。
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