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異伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(ヴァレンシュタイン伝)
異聞 第四次ティアマト会戦(その2)
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、さぞかし悔しそうにしているだろうと思ったが違った。表情が硬く青白くなっている。怒っているのか? どうも違うな、悔やんでいるようにも見えるが……。まさかな……。

艦隊に出動命令を出し、キルヒアイスと伴にブリュンヒルトに向かう。このイゼルローン要塞で馬鹿どもの相手をしているよりは遥かにましだ。こればかりはフレーゲル男爵に感謝しなければならないだろう、そう思った時だった。

「ラインハルト様」
キルヒアイスが気遣わしげな声を出した。
「どうした、キルヒアイス」
「フレーゲル男爵が」
確かに通路にフレーゲル男爵が居た、俺の方を硬い表情で見ている。

自分の表情が強張るのが分かった。フレーゲル、まさかここでも絡んでくるつもりか?
「ミューゼル提督」
身構えているとフレーゲル男爵が近づいて話しかけてきた、硬い声だ。

「何かな」
こちらも声が硬くなった。
「先程は大人げない事をした。水に流してもらえれば有難い」
「……」

イマ、コノオトコハナニヲイッタ? オレハナニヲキイタ?
「ミューゼル提督?」
えっと、俺は何を言えば良い? 謝るのはおかしいし、責めるのも大人げない……。大人げない? そうだ大人げないだ。

「いや、こちらこそ大人げない事をした。水に流してくれれば有難いのはこちらも同じだ」
フレーゲルがホッとした様な表情をしている。どうやら俺の対応は間違っていなかったらしい。

「ミューゼル提督、惑星レグニツァだがあそこは自然環境が厳しいそうだ。索敵はかなり困難らしい。気を付ける事だ」
「……そうしよう」
惑星レグニツァは確かに自然環境が厳しい。だがそれは良い、問題はこの事実だ。おかしい、俺の前に居るのは本当にフレーゲル男爵か? この男が俺を心配している? 何故だ? 悪い物でも食ったか? それとも二日酔いか?

「それと叛徒どもの艦隊はかなりの確率で居るようだ、気をつけることだ」
「……当てにならない情報だと思ったが」
俺の言葉にフレーゲル男爵が首を横に振った。

「惑星レグニツァは索敵が難しい、つまり敵に出会えない可能性が多分に有る。そのため分析官達が情報の確度を下げて報告したのだ」
「……」
ぶっきらぼうな口調ではあるが悪意は感じられない。そして嘘と否定することも出来ない。有りそうなことではある。

「武勲を期待している」
「感謝する」
互いに敬礼をして別れた。“武勲を期待している”、“感謝する”、俺とフレーゲルの間で出る会話か? なんかおかしい、今回の出撃、嫌な予感がしてきた……。

「キルヒアイス」
「はい」
「俺の対応は間違っていなかったよな」
「はい、間違っていません」
大丈夫だ、キルヒアイスが保証している、間違っていない。こういう場合のキルヒアイスの判断に
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