第一章
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骨董品屋
シチリアの古い店だ、商いは骨董品屋である。古いがとても小さな店でいつも店に着ているルチアーノ=モナコは難しい顔で店のもう髪の毛がすっかり白くなりよぼよぼになっている店の親父に心配している顔でよくこう言った。
「親父、いや爺さん」
「何だい?」
「この店大丈夫かい?」
その彫が深く黒く太い眉が目立つ顔で言うモナコだった。小柄だがでっぷりとしていて顎は割れている。仕事はパン屋である。
「本当に」
「ははは、先祖代々の店だがね」
親父は好々老爺といった顔でカウンターに座ったままモナコに応える。
「別にね」
「お客さんは?」
「たまに来るよ」
一応来るというのだ。
「ごくごく稀にね」
「それで商売になってるのかい?」
モナコは心から心配して親父に尋ねた。見れば骨董品も碌なものがない。
「本当に」
「もうわしも歳で息子や孫達も働いているからね」
「じゃあ道楽っていうのかい」
「まあそんなところだね」
親父も笑って応えてきた。
「正直」
「道楽かい」
「代々の店だけれどね」
「ただやってるだけか」
「そんなところだよ」
こうモナコに話すのだった。
「わしにとってもなあ」
「他に収入あるんだな」
「そうだよ、昔からね」
「じゃあ代々この店は」
「そうさ、道楽さ」
笑って言う親父だった、この時も。
「心配は無用だよ」
「だといいがね」
「それはそうとモナコさん」
親父は自分から彼に言ってきた。
「一ついいかい?」
「?何だい?」
「いや、シチリアは物騒だね」
「シチリアだけじゃなくてナポリもな」
イタリア本土の南部もだとだ、モナコは親父に答えた。
「マフィアにカモラにな」
「そうだよな。何かと」
「シチリアなんて警察は飾りだからな」
口の左端を歪ませてだ、モナコは親父に言った。
「全部マフィアが仕切ってるからな」
「そうだよな」
「この辺りもそうだろ。俺の店にはちょっかい出してこないけれどサッバティーニ=ファミリーがな」
彼等が今いる辺りはその家が仕切っているというのだ。
「何でも自警団あがりだろ」
「みたいだな」
「そこに何かモディリアーノ=ファミリーが来ているってな」
「相当タチの悪い奴等らしいな」
ここで親父の目が光った、だが。
モナコは親父の目には気付かなかった。それでそのまま親父に話した。
「何でもありらしいな」
「マフィアはそうだって言われてるがね」
「その中でも特にだろ」
「ああ、あの連中は屑だよ」
親父はその家についてこうも言った。
「麻薬に売春、強盗にな」
「本当に何でもありだな」
「元々あそこの家は山賊だったからな」
「山賊あがりだからか」
「何
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