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強さのみを
第三章
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「あいつの銃を」
「兄貴よりもですか」
「ああ、そうだよ」
「あっしはあの旦那を見たことはありやせんが」
 フィルダーはまだ会っていない、ワープには。それでこう言うのだ。
「兄貴よりも凄いってなると」
「まだまだだな、だからな」
「もっとでやんすか」
「射撃の腕を磨いてな」
 そして、というのだ。
「あいつを越えるさ」
「そうしやすか」
「銃の腕を磨くにはな」
「やっぱり実戦が第一でやんすね」
「実戦には困らないからな、西部は」
 荒くれ者にならず者ばかりの世界だ、東部とは違う。だから西部において銃を撃つ機会はそうしたいと思えば何時でもだ。
 だからだ、アープはこう言うのだ。
「次の仕事に向かうぜ」
「今度は牛泥棒のルチアーノ=サバッティーニでやんすね」
「あのイタリアから来た奴をな」
「狙うでやんすね」
「ああ、行くな」
 こう言ってだ、彼はフィルダーと共に馬に乗ってだった。
 次の獲物を狙いに行った、彼はひたすら獲物を相手に腕を磨いていた。そうして彼は確かに腕を上げていただ。
 ただひたすら相手を狙う中でだ、フィルダーもこう言うのだった。
「何か兄貴段々」
「何だ?」
「目が鋭くなってきているでやんすよ」
 こう言うのだった、共に馬で荒野を進みながら。
「どうにも」
「そうか」
「何ていいやすか」
 フィルダーはこうも言った。
「最近ずっと賞金首のことばかり言ってやすし」
「獲物のだな」
「へい、他のことは」
 言っていないというのだ。
「どうにも」
「そうかもな、けれどな」
「けれどでやんすか」
「俺はそれでいい」
 別に、というのだ。
「俺はただな」
「ワープの旦那を超えることがでやんすね」
「そうだ、目標だからな」
 だからだというのである。
「俺は獲物を狙ってな」
「獲物を倒して腕を磨いていってでやんすね」
「強くなる」
 ガンマン、それとしてというのだ。
「それだけだからな」
「そうでやんすか」
「他のことはどうでもいい」
 彼自身のことですら、というのだ。
「そういうことだ」
「ううん、兄貴がそう思ってるのならいいでやんすが」
「御前は嫌か」
「いや、そうは思わないでやんす」
 実はフィルダーはホープを嫌いではない。彼のそうしたストイックで一途なところが好きなのだ。だから兄貴と慕って共にいるのだ。
「あっしは兄貴のそうしたところが好きでやんすから」
「そうか」
「けれどワープの旦那は」 
 ワイアット=アープ、彼はというのだ。
「あの旦那はまた違うと思うでやんすが」
「あいつはか」
「ええ、もっと」
「何か違うか」
「ええ、そう思うでやんすが」
「射撃の腕や速さだけでなくか」
「そう思うでやんすが」
 こ
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