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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
初めての都市
シキの苦悩
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 拝啓、皆様、元気でしょうか。
 私は元気……だと思います。身体が色々とありましたが元気です。
 メンドくさい、敬語はここまで。とりあえずそっちにどのくらいで着くのか、検討が付かないから俺がいる都市には来ないように、と釘を刺しておく。
 正直、帰るべきだと思うよ。みんなに心配かけて、突然失踪してさ。
 俺さ、いろんな都市を見て回りたいんだ。
 ゴメン、ワガママで。でも、そっちにはレイフォンがいるし、最悪師匠たちに頼めば、孤児院は大丈夫だと思う。人間的に最悪な人たちだけど、外道じゃないからさ。
 天剣授受者みたいに、強い人には会ってないよ。今のところは、だけど。
 今、俺がいるヨルテムって都市は、グレンダンと全然違うんだ。
 綺麗だし、朝うるさくないし、汚染獣があんまり来ない。なんでも四十年くらい来てないらしいよ、グレンダンじゃ考えられないよな。
 あと物価が信じられないほど安い。やっぱ、戦闘しないと金あるんだな。
 ……うん、ごめんなさい。姉さんや父さん、レイフォンたちには迷惑をかけたことには変わらないよね。
 大丈夫、いつか帰るからさ。
 その時にはもっと成長して帰ってくるから、今はワガママでいさせてください。
 
 最後に、写真を同封します。
 写っているのは、俺と向こうで仲良くなった子達です。裏に名前も書いています。

 じゃあ、元気で。
そしてレイフォン、サイハーデンの当主おめでと。こんなこと頼むのは酷いと思うが、クラリーベルを弟子に取ってやってくれ。
基礎は叩き込んであるから、後は本人がサイハーデン流を習いたいと言ったら教えてやってくれ。

                              シキ・マーフェスより

 追伸
 シノーラさんって、本当に女王なのか聞いておいて。
 帰ってきたら聞くから。


 こんな手紙が、孤児院のポストに入っていた。
 長い旅をしてきたのだろう。四隅が擦れてボロボロになっていた。
 新聞を取ろうとしたリーリンはそれを読んで、声を上げて泣き出した。
 物凄い形相で走ってきたレイフォンは、事情を聞いて目を見開いて、内容を読んでさらに目を見開かせた。

「生きてた、生きてた!」

「うん……そうだね」

 泣きじゃくるリーリンの頭を撫でながら、レイフォンは手紙に書かれていた内容を思い出し、どうやって説明しようかと考えた。
 とりあえず……今日は忙しくなる、そう確信した。
 そして、ヨルテムにいるであろうシキに向かって呟いた。

「まったく、ワガママだよ、シキ」


既にあの汚染獣襲撃から二週間経っていた。
 あの時の戦いで、実力を隠すことを止めたシキは開き直って、幼生体を鋼糸で切り刻んだ。
まぁ、そんなことをして目立たないわ
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