暁 〜小説投稿サイト〜
『自分:第1章』
『夏休み』

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夏休みの登校。
施設から逃げる為。
バスの定期は無い。
貸し出し自転車で行く。
峠を越えて何時間かかけて行く。

そのおかげで、より親密になれた子ができた。
クラスでも普通に喋ってた子。
明るくて良く笑ってて、おもしろくて素直な子。

零那に無いモノばっかり持ってて羨ましいと感じてた子。


そんな子が1人で、何をしてるでもなく、中庭にポツ-ンって...
声をかける。

『なんか用事で来たん?』

首を横に振る。
『...家から逃げてきてるだけ。』

『そっか...一緒やん。』

ビックリした表情で見てきて、すぐ笑いに変わった。


なにか、吐き出したそうだった...けど、心の闇を誰かに吐き出すのは凄く勇気の要る行為...

でも、吐き出したいなら、ほんの少しでもラクになるんなら、吐き出して欲しかった。


零那は、自分のことを話した。
施設から通ってること。
保護された経緯。
簡単にザッと。


暫く泣いてた桃ちゃんは、話し出した。
此処を受けた理由。
家庭環境。
中学でのイジメの事。


誰かに話すつもりも無く、グループの子も知らん事実らしい。

それは、お互い同じ。

少し解り合えたような、今からの関係が良くなるような...


登校してきてる別の科の子とも喋るようになった。

色んな部活を見て廻った。

零那は、入学当初、弓道か空手がしたかった。
同じ施設に、他校に通う3年が居て、フェンシングが強かったらしく、遠征や試合やら何かとお金がかかってたらしい。
だから零那は部活は見るの専門。

お金かからずに出来る部活や、マネージャーの手伝いとか色々廻ってた。
其れは其れで楽しかった。


サッカー部のOBから直々に指導して貰ったり、部室の掃除や飲料の買い出し...やりがいがあった。


テニスの球拾いは、ラケットに綺麗に乗せるのが難しくて、落として笑われたり。
コートにローラーかけるのも、2人でどっちが綺麗に出来るかって競ったり。


バスケは、人数が少なくて殆ど遊んでるような状態。
一番上手な人にフリースローと低い姿勢でのドリブルを教えて貰った。
楽しかった。


色んな部活に、迷惑かからん程度に教えて貰ったり手伝ったり。
色々さして貰えて、贅沢やなぁって思った。


施設にはなるべく遅く帰った。
風呂は浸からんから最後で良いし掃除も毎日する。
児童から文句は言われん筈。


毎日峠越えなあかんのがキツかった。
それでも施設に居るより断然良かった。
楽しく過ごせれた。
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