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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第131話 孫家の人々
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 長沙郡の治所・臨湘県の城下の中心街から離れた場所にある酒家(居酒屋と食堂が一つになった飲食店)の前で女が周囲を窺いつつ入って行く。女は桜色の美しい長い髪と深紅の艶やかなチャイナドレスが印象的だった。彼女の名は孫策。長沙郡大守・孫堅の長女だ。

「これはこれは、伯符様」

 孫策が店に入ると店主が応対した。店主は中年の恰幅の良い男で顎に立派な髭を蓄えていた。店主の声を聞き店内の奥から中年の女が一人出てくると孫策に笑顔で挨拶した。夫婦で店を営んでいるのだろう。

「伯符様、こんな時間からよろしいのですか?」

 店主の妻は愛想良い笑いを浮かべ孫策に言った。孫策は彼女の言葉に一瞬困ったような苦笑いをするものの直ぐに開きなおったように快活な笑みを返し、客の疎らな店内を見渡し空いている窓際の席に座った。

「大丈夫、大丈夫。おばさん。母様と蓮華に任せてきたから大丈夫! お酒頂戴!」
「ハイハイ、かしこまりました。少々お待ちください。あんた、伯符様のお相手お願いね」
「おう」

 店主は妻に言われるまま孫策の向いの席に腰掛ける。

「おじさん、面白い話無いかな?」
「面白い話ですか? そうだな〜」

 店主は筋肉質の腕を組み考え込む。その様子を孫策は面白そうに見ている。

「伯符様、お待たせしました」
「おばさん、ありがとう」

 店主の妻が盆に徳利と猪口、乾き物の乗った皿を乗せ、それを孫策の前に配膳していく。

「ごっゆくり」

 店主の妻は笑みを浮かべ店の奥に戻って行く。その様子を孫策は目で追って眺めていた。

「そうだ。南陽郡が最近景気がいいらしいですぜ。新しい大守は清廉な人物と評判です」
「ふ???ん」

 孫策は面白くなさそうに返事をした。

「お気に召しませんか?」

 店主は困った表情で苦笑いを孫策に返す。

「本当に清廉な人物なんているのかなと思っただけ。民への人気取りじゃないの?」
「そうなんですかね。俺には難しいことはわからないですけど」
「けど?」
「新しい南陽郡大守は中央から来た人物で着任早々悪吏を強引に武力で排除したらしいんです。その後は自ら率先して清貧を貫き南陽郡を立て直すべく行動し、今じゃ昔の荒廃振りが嘘の様な栄えっぷりだと旅人のもっぱらの評判ですぜ」
「清貧ね。私達だって苦労しているのよ。酒代捻出するのにどれだけ苦労していると思うのよ」

 孫策は愚痴りながら酒を猪口に注ぐと一気に飲み干す。

「んんん。美味しい」

 孫策は歓喜の声を上げ、猪口に再び酒を注ぐ。

「伯符様、いつもながらいい飲みっぷりだ」
「数週間振りのお酒だもの。本当に蓮華が五月蝿いのよね。お酒くらい好きなだけ飲ませてくれてもいいじゃない」

 孫策は愚痴を言い
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