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マクレガーさんのお話
第三章

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「何なの、それ」
「ああ、これがな」
「日本の畑にあるものなの」
「そうらしいな」
「それで音を鳴らしてなのね」
「兎共を追っ払うらしい」
「へえ、日本人って色々と工夫するって聞いてたけれど」
 奥さんもこのことは聞いています。
「そういうこともするのね」
「ああ、だからわしもな」
「村長さんから教えてもらったのね」
「実際にしてみるな」
 こう奥さんに答えながらです、マクレガーさんは作っていきます。
「これで大丈夫ならいいな、後な」
「後って?」
「目も付けるな」
「目!?」
「ああ、目だよ」
 こう言って出してきたのはです、人の頭程もあるかなり大きな目の模様が描かれたボールの様なものでした。
「案山子と棒もロープでつないでな」
「そこにそれを吊るすのね」
「そうするよ」
「動物は目を怖がるのね」
「日本人はそう言うんだ」
「じゃあそれも吊るして」
「防ぐな」
 動物達をというのです。
「音も付けて、目も置いてな」
「そうしてなのね」
「完全にな」
 それこそ、というのです。
「畑を守るぞ」
「完全になの」
「当たり前だ、この畑はわし等のものだぞ」
 だからだというのです、マクレガーさんは奥さんに怒った口調になって言います。
「それならだ」
「全部誰にもなのね」
「動物達にやるものか」
「それでなのね」
「連中が来たら音が鳴る仕掛けも置くしな」
「目も置いてね」
「万全にするんだよ」
 その備えを整えているというのです。
「こうしてな、とにかくな」
「お野菜を全部守って」
「食って余ったら売ってな」
 お金も必要だからです、マクレガーさん達にも生活があるのです。
 だからです、とにかくお野菜を完全に守るのでした。
 こうしてです、マクレガーさんは音を鳴る仕掛けを置いて目の模型も吊るしました。そうして万全の備えを敷きました。
 その畑を見てです、ピーターラビットはお家に帰ってお父さんに言いました。
「お父さん、マクレガーさんのところの畑だけれど」
「ああ、かなりな」
「人が多くなったよね」
 案山子がです、彼等にはそう見えるのです。
「しかも音が鳴るし」
「おかしな目もあってな」
「何か怖いよ」
「これまでは時々マクレガーさんか奥さんが出て来るだけだったのにな」
「それが今ではああだよ」 
 だからだというのです、ピーターラビットは。
「どうしたものかな」
「危ないな、お父さんも穴熊さんと一緒に見たけれどな」
「あの畑をだね」
「ああ、あの畑はな」
「近寄らない方がいいかな」
「そうだな、止めておこう」
 お父さんはこう自分の息子に言いました。
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