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SAO─戦士達の物語
GGO編
八十四話 三人目の幼馴染
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その菊岡との話し合いから二日後の、十二月九日。涼人と美幸は授業を早めに終え、二人で、ある場所に来ていた。

東京都文京区。湯島。
この街に、二人の幼馴染のもう一人が住んでいると、福島での墓参りで知ったのだ。
一応住所ももらってきたが、電話がうまく繋がらず、アポなしでの訪問となってしまった。

「この先か?」
「うん。えっと、四丁目だから……」
時刻は午後三時半。アーケードにはまだ人はまばらで、そんなに人は多くない。と、そこで涼人が声を上げる。

「……ん?」
「……?どうしたの?りょう」
「あー……」
涼人は立ち止まって、アーケードの天井を見上げていた。やがてその支援をゆっくり、此方を見て首をひねる美幸に戻す。

「美幸、ちょっとそれ貸してみ?」
「え?はい」
美幸は今、携帯端末の地図を見て行動している筈だった。しかし涼人の記憶が正しければ……

「美幸さーん、湯島四丁目此処な。だいぶ前に通りすぎたぞ」
「え、えぇっ!?」
涼人が呆れ顔でそう言うと、美幸は驚いたように端末を覗き込む。数秒後……「あっ!?」と驚いたかと思うと、「あうぅ……」とかなんとか妙な声を上げてうなだれた。
別段彼女が驚異的に方向音痴だと言うわけではない筈なのだが、時折好娘はこういう妙なミスをする。

「ま、そう落ち込むことでもねぇさ。ほれっ、引き返すぞ」
「うん……ごめんね……?」
「気にすんなっちゅーに。さっきまでの元気は何処行った。ほらっ、行くぞ」
「はい……」
うなだれたまま美幸は歩きだす。こりゃしばらく続くかな……?と涼人が頭を掻いた時、それが目に映った。

「ん……?」
どこかで見たような後ろ姿だった。それが一瞬だけ横顔を見せてスーパー脇の路地へと吸い込まれる。……手首を掴まれて。

「…………」
記憶と姿を照合し、一致率が高いと判断した時点で、涼人は声を上げた。

「……美幸」
「え……?」
「此処に居ろ」
そう言うと、美幸をそこに置いて涼人は歩きだす。一瞬美幸の呼び止める声が聞こえたが、こういう場合、此方の後ろ姿で彼女が自分が従うか否かを判断することは良く知っているため、リョウは無言で来るなの意思を示した。

────

路地裏に入ると、そこには分かりやすい恐喝の現場が有った。
しゃがみこむような体をくの字に折り曲げた姿勢の制服姿の女子生徒一名を、三人程の同じ制服(スカート丈がだいぶ違う)の女子生徒が囲んでいる。

「ちょいちょい姉ちゃん何してんだ?俺も混ぜろよ」
いきなり声を掛けたリョウに、囲んでいた女子高生ズは驚いたようにギョッと目を剥く。

「……な、何アンタ」
マズい所を見られたからか、あるいは相手が男だったからか。三人の内リーダーらしき女がドモリながら聞いた
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