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戦姫絶唱シンフォギア/K
EPISODE9 片翼
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〜PM 17:00 風鳴邸〜


「・・・・ホントにいいの?」


門前に愛車を停車させヘルメットを響から受け取る。バイクから降りる響は雄樹の言葉に何も言わず、ただ笑顔でサムズアップで返す。「大丈夫」と力強いものが伝わってくるのを感じ雄樹はそれならとそれ以上なにも言わずに響と同じように返す。

成長したな、とそれを見て思う。具体的になにがとは言葉にしずらくとも感じるものはたくさんある。幼い頃から見てきた雄樹には、それがわかった。だからこそ雄樹はいつものように彼女の笑顔を受けて発進する。そしてそれを見送ったあと響は目の前の門をたたく。

示すんじゃない。伝えるんだ。自分の想いと・・・・・それに恥じない“覚悟”を。

 重い門が鈍い音を立てて開く。その奥から放たれる刺すような気迫に押されながらも響はそれに臆することなく一歩を踏み出す。


「…よく来たな」


風鳴弦十郎。現特異災害対策本部二課の課長、つまり司令官という立場に値する。そんな人物がこんな時間に、しかも自宅でスーツではなくジャージ姿でいるということは現在二課には最高指揮権を持つ人物が留守ということになる。普通に考えればありえないことなのだが、彼にとっては職場を離れてまで“見届けなければならない”重要なことなのだ。彼の表情をみても、決していまから起こることが楽観視できるものでないことを物語っている。


「…はい」


決意の目が弦十郎を射抜く。ついこのあいだまで一般人だった少女を何がここまで変えたのか。


「・・・・翼なら奥だ」


弦十郎に案内され、中庭へと向かう。邸内は広く門構えからしてかなりの豪邸だっただけに驚きはしなかったがこの家、話によると翼と弦十郎の二人と使用人の人しかすんでいないと聞いていたが掃除が大変そうだな、と気が緩むのをまた引き締めなおす。

 そして、その時はやってきた。袴姿に木刀を携え静かに佇む風鳴 翼の姿が。そこにはトップアイドルとしての風鳴 翼の姿はなく防人として、覚悟を決めた戦士としての顔がそこにあった。静かに目を閉じ精神統一した後響が来たことを感じて目を開く。姿勢よく立ち上がる姿は袴も相まってさあんがら武士のような風格さえ感じる。


「・・・・何故、だろうな」

「?」

「おまえがガングニールを初めて纏ったあの日からこんな風になる予感がしていた」



木刀を抜き、構える。



「構えろ立花。おまえの覚悟・・・・この私に示してみろ。防人としての意志の体現を!」


殺気すら感じさせる翼の瞳、その眼光はまさに剣。あらゆるものを薙ぎ払い切り裂く研ぎ澄まされた刃の光は冷たく・・・・・哀しく、響を映す。その眼光に響は眉を垂らし、首を振る。戦いに来たとばかり思っていた
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