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とある少年の不屈精神
プロローグ
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「はぁ…疲れるなぁ…」
すでに、一日に半分以上が終わってしまった無気力な夕方の頃。
みんながみんな、揃って下校の準備をし、あるいは部活動に励み青春の汗をかいている真っ只中で、校舎のその教室には、何人かの脱力しきった学生たちが集められていた。
もちろん、今日の授業は終了している。
いわゆる、補習だ。
「なぁ、かみやん? このまま抜け出して帰ろうぜ〜」
「何言うてんねん。小萌先生のありがたい授業がまた聞けるんやで!プラス怒られるなんて最高やないか!」
「お前…補習の意味間違えてないか?」
金髪の学生に、青髪の学生が騒ぎ立てる。隣にいた黒髪の学生もはいはいとなだめるものの、正直、この補習には乗り気ではないのだろう。
遊び盛り学生が、時間外まで熱心に勉強する方が稀である。そして別に、好きで補習に来たわけではない。
Level0。彼らのことを、ここではそう言う。能力開発において何も成長がなかった人間のことだ。
その時、ガラガラガラッ、と教室の扉が開いた。
入って来たのは、まるで小学生のような小さい容姿の先生。ニコニコしながら、補助椅子を使って 教壇に立つ。
生徒たちは観念したように机の前で身を 縮こまらせた。
「それではみなさん、授業を始めますよー」
笑顔で授業開始の合図を送った先生は、あることに気づくとあたりを可愛げにキョロキョロ見渡した。
「あら、九重ちゃんがいませんね…」
「あー、九重なら帰りましたにゃ〜小萌先生」
「ええ!? あの子もバッチリ補習組ですよー!? ちゃんと先生はあれだけ出席するよう連絡したのにー!」
「小萌先生の愛を裏切るなんて九重、なんちゅうやつなんや!? 僕は、あえて補習を受けてるっちゅうのに」
「それもそれで困ります!ちゃんとテストは受けてください!」
先生が来てから逆に騒がしくなった教室の窓際で、「不幸だ…」とつぶやくと黒髪の少年は外の景色に目を向けた。
楽しそうに帰る学生に羨望の眼差しを送る。
その片隅で、あいつ、九重もあの中にいるのだろうかとふと思ったり。
「し、静かに!! もー…」
うるうると瞳を潤わせ、小萌先生は大きな声で叫んだ。
「もー!!ちゃんと補習は受けてくださいー!!」

「ん?」
街中。この場合、帰宅の道中で、であろうか。
ある高校の制服を着た、どこにでもいる平凡そうな茶髪の少年が、足を止めた。
音楽プレイヤーのイヤホンを外して、周りを見渡す。なんだか、呼ばれた気がしたのだ。
「ま、あり得ないか」
ため息を一つついた後で、再び歩みを進める。
できるだけ、少年は早く帰宅したかった。
理由は簡単だ。別に、補習をサボったことに罪悪感を覚えているわけでも、見たいテレビがあるわけでもない。
できるだけ外にいたくないのだ。
「、」
楽しそうに歩く学生をよ
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